どうも。私は、プロ鉛筆画家の中山眞治です。
さて、今回の記事は、「鉛筆画・デッサンで初心者が簡単にグロリオーサを描く方法!」というテーマで進みますが、鉛筆画・デッサンの制作にあたっては、最初のうちは構図を意識せず自由に10作品以上描いて、描くことにある程度慣れることが必要です。
その理由は、最初からいろいろ考え込んでしまうと挫折につながるからです。そして、鉛筆画・デッサン制作の基本的なことに慣れてきた後は、作品をより魅力的に構成することのできる「構図」についても研究していきましょう。
構図を導入する理由は、作品をより魅力的に仕上げるために必要になりますし、各種展覧会や公募展へ出品して、入選以上の大賞・優秀賞・奨励賞などの「入賞」を目指す場合には、なおさら必要になってくるのです。
尚、あなたが構図について興味のある場合には、私の「鉛筆画で初心者が簡単に構図を取り込む方法とは!」の5記事がこの記事の最下部にありますので、是非参考にしてみてください。
そして、私の作品に基づいた具体的な構図の取り込み方は、あなたが構図に取り組む初めの段階で、この5種類の構図を用いれば当面の展開ができるはずです。
また、鉛筆画で花を描くうえで、初歩的な部分につきましては次の記事も参照してください。幅広く基本的なことから、たくさんのことをご説明しています。
関連記事:鉛筆画で初心者が簡単に花を描くポイントとは?
グロリオーサについて
この花の呼び方は、グロリオサやグロリオーサなどさまざまですが、スペルはGloriosaで正しくは「グローリオーサ」だそうです。
しかし、ラテン語の母音の長短は単語ごとに決まっていて、綴り字だけでは推定できず、面倒なのでカタカナ書きする場合はとりあえず母音の長短の表記なしでもかまわない、という方針で表記したのが「グロリオサ」とのことです。
一方、ラテン語の末裔、現代のイタリア語では多くの単語が「後から二番目の音節にアクセントを置き長く伸ばす」という決まりごとに則っていて、この場合には「グロリオーサ」となります。欧米各国の普通の人が普通に読むと、この読み方に近いということです。
また、名前はラテン語の「gloriosus(光栄、立派)」に由来し、燃え立つようなこの花を形容したものになります。尚、あまり使われていませんが、和名は「キツネユリ(狐百合)」、または葉が輪生するので「ユリグルマ(百合車)」です。
グロリオーサの花言葉
グロリオーサの一般的な花色は赤です。他にも白、ピンク、黄色などもありますが色別の花言葉は特につけられていません。グロリオーサには、栄光・勇敢・燃える情熱・頑強、という花言葉です。
グロリオーサの花言葉はお年寄りに人気?
グロリオーサには、先ほど紹介しました4つの花言葉がありますが、栄光や勇敢を讃えたい人へのプレゼントにぴったりです。
過去の栄光という意味にすると、お世話になった上司の定年のプレゼントや敬老の日に、おじいちゃんおばあちゃんへのプレゼントなど、年配の方へのプレゼントにも人気があります。
グロリオーサの咲き姿
グロリオーサは、アフリカから熱帯アジア原産の半つる性の球根植物で、日本には明治の末頃に輸入されました。この花は、葉の先端部分が長く伸びて巻きひげ状となり、他物に絡みついて生長します。
花は分枝した枝先に下向きに咲き、花弁が波打つように反り返り、雄しべ・雌しべが目立つ独特な姿をしています。花色は赤や黄色、赤紫、赤橙のほか金色の縁取りがあるものもあり、大部分は2色に染め分けたように咲きます。
鉛筆画・デッサンでグロリオーサを描く際の基本的な取り組み方
グロリオーサの花は、それぞれの花弁を燃え立つような形状で描きます。この花弁の形状の描き方を鉛筆画で描く場合には、背景を黒くして浮き立たせる(抜く)ことになるので、その複雑な形状を「抜く」際に、面倒臭さを感じます。
しかし、つぼみは単純な形状であり、この花の特徴的な形を的確にとらえられれば、楽しい作品になります。カーネーションや薔薇などのように、花が複雑な形状をしているわけでもないので、是非取り組んでみましょう。
そして、安定感のある花瓶や一輪挿しに活けてある花は、見る人に安定感や安心感を与えることができるので、花瓶などに活けた状態の制作がおすすめです。
また、一つの花瓶に複数のグロリオーサを描くような場合には、さまざまな角度に花が向いていると多様性を表すことができます。
鉛筆画・デッサンのグロリオーサの描き方
第2回個展出品作品 グロリオーサ 1998 F10 中山眞治
グロリオーサの花は、花びらを描くのに少し「面倒臭さ」はありますが、複雑な花ではありません。一方で、一重咲きのコスモスやトルコ桔梗の花などのように、すべての花びらの陰影を細密に描き込むこともできます。
画面上の主役の引き立て方を考えましょう
グロリオーサを描く際には、数本の花を自由に組み合わせて、あなたの狙う主役の花を画面の中央に置き、背後をすっきりさせると画面全体が引き立ちます。
この場合、仮に2~3本のグロリオーサの花を描くことにした場合には、それぞれ別の方角に向けて、一番細かく細密に描くのは、あなたが主役に選んだ一輪にしましょう。
それ以外の花には、若干手を抜いて、あるいはまばゆいハイライトを使わないように描いてみましょう。あなたが、できあがった作品を見てくださる人に、一番見せたい輝いている花の表情を伝えることができます。
モチーフの配置の仕方やトーンの入れ方は工夫次第で大きく変化を得られます
尚、仮に、他の種類の花を混ぜて配置する場合には、花の向きや高さを揃えない方が単調にならずに変化のある画面が生まれます。
また、この場合、あくまでも制作は鉛筆画なので、他の花を混ぜる場合には陰影のハッキリと識別できる「白い花」を選びましょう。陰影をハッキリととらえることができれば、リアルな描写ができます。できれば、一重咲きのコスモスやトルコ桔梗などが良いでしょう。
同時に、小さな花がたくさんついているようなものや複雑な咲き姿の花は避けましょう(カーネーションや薔薇など)。挫折してしまいます。^^
そして、上記の画像のように、モチーフは光を受けて輝いていますが、その背景を暗くすることで、その輝き具合をさらに高められます。また、モチーフは左側から光を受けていますので、ガラス製の花瓶の中の光を影の中に作ることでバランスを取っています。
尚、花びらには、薄い影と濃い影がありますのでよく観察してトーンを入れていきましょう。因みに薄いトーンは2HやHで、濃いトーンについてはBや2Bを使ってみましょう。
配置の明暗とバランス
グロリオーサを配置するときは、つぼみや咲いている状態など形の組み合わせだけを見て構図を決めてはいけません。白と黒の鉛筆デッサンでは、明暗のバランスを考慮した配置が必要になります。
明るい調子、中間の調子、暗い調子を持ったモチーフを配置する場合には、暗い部分や明るい部分を重ねず、それぞれの形や特徴があいまいにならないように、明暗の対比を効果的に生かすことも大切な要素なので、注意しながら配置しましょう。
明るい、暗い、中間の調子の順に配するなどで、モチーフを重ねても形があいまいにならないようにすることでメリハリがつけられます。
尚、画面全体の構成では、手前が薄暗い・中間が暗い・一番奥が明るいというレイアウトは、遠近感を表現できるということも覚えておきましょう。
一番最初に花を描く場合の注意点
グロリオーサにかぎらず、花全般の制作を行う際には、制作に入る前には必ず写真を撮っておきましょう。その理由は、花はすぐにしぼんだり・枯れたりするからです。
そこで、一番傷みやすい花の部分を最初から描くように心がけて、花びらよりも傷むスピードの遅い枝葉の部分は、時間の経過によっては画像を手掛かりとして制作を続ける、という取り組みもできるからです。
できるものであれば、本当に初めて花の制作に取り組む場合には、「造花」で2~3枚描いてから取り組んだ方がスムーズに「生花」と対峙できるのではないでしょうか。
ただし、造花では、本来の活きた花の持つ微妙な陰影は観察できないことを承知しておく必要があります。そして、造花の花を描く際には、できるだけ花びらの少なめのものを描くようにしましょう。
また、生花でも、造花の場合であっても、あなたの自宅のスタンドの光を当てて、陰影がはっきりと掴める状態で描くことがおすすめです。尚、黒い下敷きの上に花瓶に活けたモチーフを置くと、きれいな影まで描くことに役立てられます。
花瓶や水差しについて
グロリオーサを描くにあたって、花瓶などの備品も用意するべきでしょう。だからと言って、高い花瓶などは必要ありません。100円ショップなどで販売している、例えば日本酒などを飲むときに使う「とっくり」や、なべ物を食べる際の「アク取りの器」などでも良いのです。
私の場合には、艶消しのこげ茶の花瓶を使うことが好きで、よく制作に活用しています。ぼんやりと光っている花瓶などをグロリオーサと一緒に描くと、味のある作品に仕上げることも可能です。
あるいは、あなたの家にある、シャンパン・グラスなどを一輪挿し代わりに使うなどでも面白いのではないでしょうか。高いものを揃えるのは、あなたが制作に慣れてからで充分です。私も、そのようにしてきました。
尚、少し鉛筆画・デッサンの制作に慣れて来ましたら、見映えのする花瓶や一輪挿しを一つ用意しましょう。作品に一段と味が出ます。
たまには絵画鑑賞に出かけましょう
絵画を見に行く際のおすすめな公募展
ところで、たまには絵画鑑賞に出かけませんか。私の印象では、日展は「きれいなだけで個性的で野心的な作品は少ない」記憶しかありません。
おすすめは第一に、国画会の展覧会である「国展(4月末~5月中旬)」、次いで独立美術協会の展覧会である「独立展(10月)」や、新制作協会の展覧会である「新制作展(9月下旬~10月上旬)」です。
展覧会(全国公募展等)へ行きましたら、細かな技法ばかりを見るのではなくて、作品から受けるあなたの印象が重要です。最初の内はよくわからなくても、あなたが強く惹かれた・感性に響いた作品の印象をあなたの作品にどう反映できるかを考えるのです。
絵画鑑賞では大掴みな印象を得ることが重要です
私は恥ずかしながら、抽象画がいまだによくわかりませんが、印象に残る具象画を見て帰ってくると、その印象を自分の作品に、どのように取り込むことができるかを考えるようにしています。
しかし、そっくりまねることはやめましょう。著作権がありますし、意味もありません。細かいところまでを全部取り込もうとするのではなく、構図などの大きな成り立ち及び配置や濃淡のつけ方、画面の持っている「新たな着想」などを取り込むようにするということです。
とにかくいろいろな作品を見ることで、知らず知らずのうちに、あなたの作品に対するレイアウトや一緒に描く小物類や背景の取り方などの知識は増えていきます。
絵画は大きな視野の中から切り取った一部という認識が大切です
もっと具体的に言えば、構図やデッサンは当然一番重要であり充分観察が必要ですが、あなたの感性に響いた作品の4隅(4つの角の周辺処理)は、どのように充実させているかということを研究することはとても重要です。
言い換えれば、「自分だったらどう描くかを考える」ことが、生きた勉強になります。また、デッサンの仕方とともに、濃淡のつけ方や、4隅の充実などについても研究することは、あなたの制作に役立ってきます。
4隅の充実とは、絵画の4隅がその外へ広がる表現をどのように行っているのかを研究することです。私たちの見ている絵画の画面は、全体の大きな視野から切り取った一部なので、外界へと繋がる広がりを見てくださる人へどのように伝えるかという認識を持つことが大切です。
参考情報
国展:第96回国展デジタル版 | 日本最大級の公募展。第96回国展web 版。 (kokuten.com)
独立展:独立展|第89回独立展 (dokuritsuten.com)
新制作展:2022年第85回新制作展 日程 | 新制作協会 (shinseisaku.net)
まとめ
今回の、鉛筆画・デッサンで初心者が簡単にグロリオーサを描く方法!では、描くことの基本を見てきましたが、最初からこれらのことすべてを何が何でも作品に盛り込もうとすると挫折します。あくまでも基本的なことと理解して、まずは描き始めることを優先させましょう。
そして、たまに時間があるときなどに、「繰り返し繰り返し」描いていく各段階でこれらのことを考えていくような状態がベストだと私は思いますし、私自身もそのようにしてきました。
尚、鉛筆画・デッサンは身近な文具から始めることができて、老若男女どなたでも、いつからでも気軽に楽しめるので、あなたが新たに鉛筆画・デッサンに没頭できるとした場合、次のような効果が期待できます。
- お金があまりかからない
- 没頭できる趣味になれば、おのずと浪費が減り節約ができて投資に充てられる
- 一人でも楽しめる
- いつでも(何時でも)できる
- 天候に左右されない
- 老後に備えた節約になる
- 全く別世界の友人が新たにできる(老若男女)
- 異性との出逢いにも連動できる場合がある
- 異性とのデートでも展覧会や美術館の常設展を有効に活用できる
- 趣味からプロへの道も開ける可能性がある
- 展覧会などで自分の作品の発表ができる
- 画家になった場合作品を販売できる可能性がある
- 画家になった場合作品の描き方をネットで販売できる可能性がある
- 国内や海外旅行の目的に展覧会・美術館訪問を加えることができる
- 年老いても続けられる
あなたは、もしも画家になりたいのであれば、私のように高卒で過去に全く絵を描いたことがなくても、自分自身の中の埋もれている「可能性」を目覚めさせる努力さえできれば実現できます。
逆に、美大を出たために、余計な知識が身についてしまったり、大して才能のない講師について、その講師を超えられず頭でっかちな屁理屈ばかりこねても、まったく意味などありません。
完成度が高く、人を惹きつけられるような、自分自身で納得できる作品をどのように制作するかを考えることが大切です。まずは、基礎を学んだあとに自分でいろいろ試行錯誤して、思い切って市の展覧会や公募ガイドなどに載っている企画などにもどんどん出品してみましょう。
やってみなければ解らないことはいくらでもあります。おじけづかないで、のびのびと楽しんで取り組んでいきましょう。
尚、県及び市や区の展覧会へ出品する際には、出品規定を確認しましょう。小さい作品でも出品はできるでしょうが、入選以上の入賞(大賞・優秀賞・奨励賞等)を狙うのであれば、大切なことがあります。
それは、出品規定の一番大きなサイズで、出品できる点数最大(2~3点等)で出品することをおすすめします。入選以上の入賞率が高まります。
個展や県展・全国公募展へ出品するのは、はっきり言って最初は「ドキドキもの」ですが、大胆に行くことも人生必要です。振り返ってみると、意外に大きな壁ではありませんよ!
ではまた!あなたの未来を応援しています。
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