鉛筆画・デッサンで捉える花々の繊細な瞬間!

花の描き方

 どうも。私は、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

 さて、「鉛筆画・デッサンで捉える花々の繊細な瞬間!」へようこそ。ここでは、一筆一筆に込められた情熱と繊細さで、花々の美しさを鉛筆画やデッサンで捉える技術と魅力をご紹介します。

 初心者の人から上級者のひとまで、誰もがデッサンの技術を磨き、花の瞬間を美しく表現できるヒントやインスピレーションを見つけることができます。

 この記事を通じて、鉛筆画やデッサンの奥深さと、花の美しさの新たな発見を共有しましょう。

 それでは、早速どうぞ!

  1. 鉛筆画・デッサンで花を描くための基本技法
    1. 適切な材料の選択
    2. 花の構造を理解する
    3. 陰影で立体感を出す
    4. 細部への注意
    5. 練習を重ねる
  2. 花の鉛筆画・デッサンにおける陰影のつけ方
    1. 光源を特定する
    2. 影の強さを調整する
    3. ハイライトと影を使って形状を強調する
    4. 細部に注意を払う
    5. 実践を通じて技術を磨く
  3. 鉛筆画・デッサンで表現する花の質感とは
    1. 質感の基礎を理解する
    2. 線の種類と強さで質感を表現
    3. 陰影を使って質感を強調
    4. 細部に注目して質感を細かく描く
    5. 実践を通じて質感の描写を磨く
  4. 初心者向け:鉛筆で描く花の簡単なステップ
    1. 準備を整える
    2. 基本形状から始める
    3. 花びらを加えていく
    4. 葉や茎を描く
    5. 陰影で立体感を出す
    6. 細部を調整し完成
  5. 「ひらめき」を形に – デッサンで表現する独創力
    1. インスピレーション(ひらめき)の見つけ方
    2. クリエイティブな表現の追求
  6. 鉛筆画・デッサンを通じた情景並びに雰囲気及び感情や思考の表現方法
  7. 独創力の育み方と持続的な維持方法
    1. 独創力を育む方法
    2. 独創力を維持する方法
    3. 独創力は構想を練ることから出発する
  8. 上級者向け:花の鉛筆画やデッサンで細部を捉えるコツ
    1. 細かい観察から始める
    2. 多様な線のテクニックを駆使する
    3. 陰影で細部の質感を強調
    4. 細部の比較を忘れずに
    5. 実験と練習を重ねる
  9. 鉛筆画やデッサンにおける花の構図の選び方
    1. 目的に合わせた構図を考える
    2. バランスと比率を意識する
    3. 焦点となる花を決定する
    4. 鑑賞者の視線の流れを創り出す
    5. 背景との関係を考慮する
  10. 鉛筆画やデッサンで描く、季節ごとの花の瞬間
    1. 春 – 新しい生命の象徴
    2. 夏 – 豊かさと活力の表現
    3. 秋 – 落ち着きと深みのある色合い
    4. 冬 – 静けさと清純さの表現
  11. まとめ

鉛筆画・デッサンで花を描くための基本技法

境内にてⅡ 2021 F4 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画やデッサンは、花の繊細な美しさを捉える方法として最適な芸術の表現手法です。この技術を習得することで、あなたは制作する作品に生命を吹き込むことができます。

適切な材料の選択

 花の鉛筆画やデッサンを始める前に、適切な鉛筆(2Hから4Bまでの7本)とスケッチブックや紙を選ぶことが重要です。扱いやすい道具が、細かな線や陰影を正確に表現するための基礎を築きます。

 鉛筆及びスケッチブックや紙には、さまざまなメーカーや種類がありますが、その特性や入手のしやすさを充分考えて購入しましょう。詳細は、次の2つの記事を参照してください。

関連記事:初心者必見!鉛筆画・デッサンで最適な鉛筆の選び方とその特性ガイド

関連記事:鉛筆画・デッサンで初心者~中級者必見!最適なスケッチブックと紙の選び方

花の構造を理解する

 花を描く際は、対象となる花の構造を理解することから始めます。

 制作時の第一歩では、大まかで基本的な形から描画をスタートし、徐々に詳細を加えていきましょう。特に制作に入る前の、花全体の成り立ちや、花弁、葉、茎の各部分がどのように構成されているかを観察することが重要です。

出典画像:アブラナ科(あぶらなか)とは? 意味や使い方 – コトバンク (kotobank.jp)

陰影で立体感を出す

 そして、全体の輪郭が描けましたら、花全体の位置や花を構成する花びらを、花全体に対する比率や向きを入念に確認後、まず最初に入れていく陰影には、あなたの描こうとしているモチーフの一番暗いトーンへ、3Bの陰影を入れていきましょう。

 また、花のデッサンに立体感を加えるためには、光と影のバランスを理解することが欠かせません。光が当たる部分と影になる部分を識別し、鉛筆を使ってこれらの陰影を細かく描き加えていきます。

 続いて、その次に暗い部分には2Bで描き込み、だんだん明るいところへと描き進み、全体のトーンを入れ終わりましたら、仕上の一番暗いところへは、4Bを使って引き締めて、一番明るい「ハイライト」部分は紙の色をそのまま使います。

 あなたは、既述していますように、当初一番濃い色は4Bまでしか持っていないとすれば、やがて、あなたが鉛筆画やデッサンをもっと極めたいと考えるならば、それ以上に濃い色の鉛筆は10Bまで簡単に購入できます。

 逆に、薄い色の鉛筆は、微妙な陰影部分では必要になってきますので、この部分でも鉛筆は10Hまでありますので、必要に応じて揃えていきましょう。

※ 濃い鉛筆は、最大で12Bまでの鉛筆があります。詳細は、前掲の「関連記事:初心者必見!鉛筆画・デッサンで最適な鉛筆の選び方とその特性ガイド」を参照してください。

細部への注意

 花のデッサンでは、細部に詳細な描写が必要になりますので、特にこの部分へ注意を払うことが美しい作品を生み出す鍵になります。具体的には、花弁の縁の微妙なカーブや葉脈の繊細なパターンを丁寧に描くことで、作品に深みと写実が加わります。

 ここで、初心者の人が花を描き始める場合のアドバイスとして、花びらの複雑なものを避けることがおすすめです。例えば、コスモス・チューリップ・トルコ込桔梗などがおすすめです。複雑な花から始めてしまうと、挫折につながります。

 そして、色は白い花が描きやすいです。それは、微妙な陰影をハッキリと確認でるからです。また描く際には、背後に暗いトーンの背景を持ってくると、前面の花が際立ち、描きやすいと同時に、仕上がりにおいても見映えが得られます。

練習を重ねる

 どんな技術でもそうですが、上達の秘訣は練習にあります。さまざまな種類の花を描いてみて、それぞれの特徴を捉えることを目指しましょう。時間をかけて技術を磨くことで、あなたの花の鉛筆画やデッサンは、より魅力的なものになるでしょう。

 そのためのポイントは、あわただしい時間の中で何とか割いた短時間などでは、落ち着いて取り組めません。描き始めの当初では、少なくとも2時間以上は「ゆったりと、他のことを全部忘れて取り組める時間」を造りましょう。

 この基本技法をマスターすることで、あなたも鉛筆画やデッサンで花の美しさを捉えることができるようになれます。花の鉛筆画やデッサンは、自然の美をスケッチブックや紙の上に再現する素晴らしい方法です。

花の鉛筆画・デッサンにおける陰影のつけ方

境内にて 2021 F4 鉛筆画 中山眞治

光源を特定する

 陰影を描く以前に、光源を決定することは重要です。光がどの方向から来ているのかを理解することで、影がどの方向に落ちているかを実際に確認できます。このステップは、作品に一貫性のある陰影をつけるための根本的な基盤です。

影の強さを調整する

 花の各部分に影をつける際には、光の強さに応じて影の濃淡を調整します。光が弱い部分では薄い影を、光が強い部分では濃い影を描きます。このバランスが、花の形状と質感をリアルに再現する上で重要です。

ハイライトと影を使って形状を強調する

 陰影をつけることで、花の立体感を出すことができます。光が当たっている部分はハイライトを入れて輝かせ、反対に影が落ちる部分はより濃くします。これにより、花びら及び葉の曲線や質感が強調され、視覚的な奥行きが生まれます。

 この、輝かせる部分の手法とは、例えば光を直接受けているのが花びらだとすれば、その背景には初心者のあなたが持っている鉛筆の、最大濃度である4Bを背景に持ってくるということです。

 下の作品の、一番輝いて見える部分の背景を確認してください。画面寸法上の中央やや右の植物の芽の背後は枯葉ですが、そこには8Bまでを使っていますし、周囲も暗いということもあって、主役が輝いて見えているはずです。

国画会展 入選作 誕生2001-Ⅱ F80 鉛筆画 中山眞治

細部に注意を払う

 陰影をつける際には、花びらの縁や葉脈の細かな部分にも注意を払います。これらの細部に対しても、光の当たり方に応じた陰影を加えることで、作品に現実性を与えることができます。

 例えば、花びらは「縁の部分」が僅かに「カール」しているような種類も多かったり、「くびれ」があるようなものもありますし、「シワ」のようなものが入っている花びらも存在します。

実践を通じて技術を磨く

 陰影の技術は、実践を通じて徐々に向上します。さまざまな種類の花や光の条件下で練習を重ねることで、より自然でリアルな陰影を描けるようになります。

 花の鉛筆画やデッサンにおける陰影のつけ方をマスターすることは、あなたの制作活動へ深みと生命を吹き込むことにつながります。

 正確な光の方向の特定、影の強さの調整、ハイライトと影のバランス、細部への注意、そして継続的な実践は、鉛筆画やデッサンの技術を磨き上げる上で不可欠です。

 尚、窓辺で陽光を頼りに制作する場合には、時間とともに太陽は動くので、同時にあなたの制作するモチーフの影も変化します。一定の光と影の状況を望むのであれば、室内の照明によって制作しましょう。

 その際には、カーテンは閉じた方が、複数の影によって生じる混乱を避けられます。また、強烈な光と影のコントラストで描きたい場合には、スポットライトや、デスクで使っている自在に向きを変えられるスタンドを使うことも有効でしょう。

鉛筆画・デッサンで表現する花の質感とは

     第2回個展出品作品 君の名は? 2000 F30 鉛筆画 中山眞治

質感の基礎を理解する

 花の質感を表現する最初のステップは、その基礎を理解することです。花びらがもつ滑らかさ、葉の状態、茎のざらつきなど、花の各部分が持つ独特の質感を観察しましょう。この観察が、鉛筆画やデッサンに質感を加える際の指針となります。

 尚、初心者の人が描く花の葉は、毛などの生えていない、単純な葉のモチーフを選びましょう。最初から複雑なモチーフでは、繰り返しますが挫折につながります。

線の種類と強さで質感を表現

 鉛筆を使った線の種類や強さの変化は、花の質感を表現する上で重要な役割を果たします。柔らかい花びらは、H系統の優しい細い線で表現することで、その繊細さを捉えることができます。

 一方、茎や葉の硬さやざらつきは、B系統の強く太い線で描くことで表現します。また、茎にも影はできますし、葉には「厚み」があることを忘れてはなりません。

 この、葉の部分を、紙のように薄く描いてしまっては、花の部分がうまく描けていても、全体の写実性を損なってしまいます。

陰影を使って質感を強調

 花の質感をよりリアルに再現するためには、陰影の技術が不可欠です。光と影を適切に配置することで、花びらの柔らかさや葉の厚みを強調できます。光の当たり方を意識しながら、花の質感に合わせた陰影を加えましょう。

 花びらは、光を受けている部分ではあっても、微妙な陰影が入っています。この部分では、特に慎重な観察が必要です。筆者も花を描く際には、花びらの「ハイライト」の部分であっても、9Hや10Hをよく使います。

細部に注目して質感を細かく描く

 花の鉛筆画やデッサンにおいて、細部への注意は質感を表現する上で非常に重要です。花びらの端の微細なカールや、葉脈のパターンなど、細かな特徴を丁寧に描くことで、質感がより際立ちます。

実践を通じて質感の描写を磨く

 花の質感を表現する技術は、実践を通じて磨かれます。異なる種類の花をモチーフにして練習を重ねることで、さまざまな質感の描写に対応できるようになります。各花に特有の質感を捉えることが、作品に深みを与える鍵です。

 鉛筆画やデッサンで花の質感を表現することは、観てくださる人に花の美しさをより深く感じてもらうことができる芸術的技術です。

初心者向け:鉛筆で描く花の簡単なステップ

      第1回個展出品作品 薔薇 1995 F10 鉛筆画 中山眞治

準備を整える

 まずは、描き始め当初のデッサンに適した鉛筆(Bや2Bなど)と、スケッチブックや紙を用意しましょう。鉛筆を選ぶ際は、柔らかさや濃淡が出やすいものを選ぶことがポイントです。

 そして、初めて花を描く場合には、細部の特徴を捉えることに時間がかかりますので、生花をモチーフにすると、途中でしおれてしまうことがあります。せっかく描き始めても、形が変化していくようですと、あなたの制作意欲が低下してしまいます。

 そこで、花を描くことに対する「苦手意識」が芽生えても困りますので、そんな場合には、花を描く最初の5枚くらいまでは、造花をモチーフにすることをおすすめします。

 尚、上のバラの作品は、筆者が大昔、最初に描いた花です。最初に取り組んだ時には、それまでは描いたこともなかったので、試行錯誤の連続で、仕上がりまでに35時間くらいかかってしまいました。当然造花です。

基本形状から始める

 花を描く際には、まずは花全体をシンプルな円や楕円形を描いてスタートします。これらの形状が、花びらの配置や全体のバランスを決める基礎となります。複雑に見える花も、基本形状に置き換えることで簡単に描けるようになれます。

花びらを加えていく

 基本形状を描き終えましたら、次に花びらを一枚づつ加えていきます。各花びらの形や大きさが多少異なることで、自然な印象になります。花びらの先端やカーブに注意しながら、ゆっくりと形を整えていきましょう。

 ここで大切なのは、花全体に対する、各花びらの比率及び向きや大きさです。花びらそれぞれがうまく描けているようでも、全体を実物と比べて、比率が間違っていると、花全体の印象が変化してしいます。

 そこで、大まかな輪郭に花びらを描き終えましたら、全体と花びら及び、それぞれの比率や向きと大きさなどを入念に点検しましょう。ここで点検を怠ってしまうと、途中から変更しにくくなってしまうからです。

葉や茎を描く

 花びらを描き終えたところで、次は茎や葉を加えていきます。茎は直線やわずかに曲がった線で表現し、葉の形状には多少の変化をつけることで、よりリアルな花を描くことができます。

陰影で立体感を出す

 花や葉に陰影を加えることで、作品に立体感を与えることができます。光源の方向を決め、その反対側に軽い陰影技法を施すことで、形状が浮かび上がってきます。

 また、葉に落ちている花の影や、茎やそれ以外の葉の影などもよく観察して入れるようにしてきましょう。リアルな描写につながります。

細部を調整し完成

 最後に、全体を見ながら細部の調整を行います。花びらのエッジをなめらかにしたり、葉脈を細かく描き加えたりすることで、作品に仕上がりの良さをもたらします。

 鉛筆で花を描くこのプロセスは、初心者の人でも簡単にトライできる方法です。繊細な花びらから茎や葉まで、少しづつ丁寧に描くことで、あなたも美しい花の作品を創り上げることができるでしょう。

 尚、この制作における最終の点検事項として、ハイライトの部分を再度、練り消しゴムを練り先端を鋭くして、入念に拭き取りましょう。

 一方、陰影の一番濃いところは、それまでモチーフには3Bを入れていたはずですから、今まで一番濃い色の部分として扱っていたところに4Bを入れましょう。そうすることで、画面全体に「メリハリ」が生まれます。

「ひらめき」を形に – デッサンで表現する独創力

水滴Ⅶ 2019 F3 鉛筆画 中山眞治

 あなたが、初心者の場合には、楽しく描くことに専念することが一番重要であり、5~10作品ほど描き進んでいきましょう。そして、あなたが鉛筆画やデッサンを趣味で終わらせる場合には、ここまででよいのです。

 しかし、制作を続けていくからには、各種展覧会や公募展へ出品して入選も狙うということになりますと。それ以上のノウハウが必要です。

 鉛筆画やデッサンは、アーティストのインスピレーション(ひらめき)を形にする強力なツールです。本章では、独創力を最大限に引き出すデッサンテクニックをご紹介します。

インスピレーション(ひらめき)の見つけ方

 創造的な鉛筆画やデッサンを始める前には、インスピレーションを得ることが重要です。日常生活、自然、他者の作品など、周囲の環境からインスピレーションを得る方法を探りましょう。

 また、異なるアートスタイルや、過去の著名な作家の作品を研究することも、新たなアイデアを生み出す源になります。この部分では、次の関連記事も参考になるはずです。

関連記事:鉛筆画・デッサンで初心者から中級者まで必見!複合した構図で心象風景を描く方法Ⅱ

クリエイティブな表現の追求

 鉛筆画やデッサンで独創力を表現するには、伝統的な技法にとらわれず、自分なりのスタイルを開発することが重要です。

 実験的な線の使い方、大胆な構図(※)、独特の思い切った光と影の扱い方など、自分だけの表現を追求しましょう。このプロセスは、アーティストとしての個性を形成し、作品に独自性をもたらします。

※ 構図については、この記事最終部分に掲載しています、関連記事の「鉛筆画・デッサンの魅力を最大限に引き出す!構図導入の必要性と方法とは?」を参照してください。

鉛筆画・デッサンを通じた情景並びに雰囲気及び感情や思考の表現方法

    第2回個展出品作品 ランプのある静物 2000 F50 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画やデッサンは、情景並びに雰囲気及び感情や思考を表現する手段にもなります。

 澄明な空気感及び神秘的な雰囲気や癒される情景、悲しみ、喜び、安穏、平和など、さまざまな情景並びに雰囲気及び感情や思考を、鉛筆画やデッサンを通じて表現する方法を探り出しましょう。

 また、階調(グラデーション)の施し方、筆圧の強弱、構図や構成などを通じて、さまざまなニュアンスを伝えることができます。

 尚、鉛筆画やデッサンは、モノトーンの表現ではあっても、白と黒の鮮烈で劇的な対比によって得られる印象は、油彩や水彩にも負けません。   

独創力の育み方と持続的な維持方法

独創力を育む方法

 独創力を育む秘訣は、「何とかインスピレーション(ひらめき)を得なくてはならない」、と考えてしまうとなかなか見つけにくいものです。

 片や、あなたの主役にしたいモチーフを探し、他のどんなモチーフを組み合わせて、構図の本を参考に、どのような配置にしたら面白いだろうかと考えると、視野が広がってきます。

 そうです。何よりもあなたが、どうすればもっと面白くなるかなと「心が遊んでいる状態」で考えましょう。そうすることで、次から次へとイメージが膨らんできます。

 その最初の取り組みでは、あなたが描きたい対象をまず探して、関連性を膨らませることが必要です。

 例えば、ランプの明かりを中心にして描いてみたい・一輪挿しにあなたの好きな花を活けて、それを中心として描いてみたいなど何でも良いのです。

 あるいは、構図の本の中から、どれか一つを選び出して、あなたなりのモチーフをレイアウトしたシミュレーションを行ってみるとかです。

独創力を維持する方法

 そして、独創力を持続的に維持するには、常に新しいことに挑戦し、インスピレーション(ひらめき)を得る必要があります。異なるテーマや素材での実験や、新たな試みを積極的に行うことも重要です。

 具体的な一例では、モノトーンであっても、鉛筆の他に、木炭(チャコール)及びインクやボールペンなどでの制作や、場合によっては、同じ画面上で複合した素材による制作ということも手段の一つでしょう。

 ただし、この場合には、鉛筆が一番弱い色になりますので、強い他の素材による黒が入ると、バランスを崩しかねませんので、一番暗いトーンにのみ使うなどの検討も必要です。

独創力は構想を練ることから出発する

 尚、中級者以上の人は、やみくもに制作を進めるのではなくて、制作にあたってはまず、じっくりと構想を練ることから始めましょう。

 あなた独自の画面構成や構図を含んだ、あなたの世界を展開するための検討が必要だということです。

 つまり、あなたが各種展覧会や公募展へ出品する際には、入選するということは他者との競争に勝てなくては入選できませんので、観てくださる人や審査員を惹きつけるための魅力が必要なのです。

 その場合には、構想を練ることの重要性について、改めて考えてみることも必要になってきますので、興味のある人は次の関連記事も参照してください。

関連記事:鉛筆画・デッサンで差をつける:初心者から上級者までの制作構想の重要性とは?

上級者向け:花の鉛筆画やデッサンで細部を捉えるコツ

     第2回個展出品作品 一輪挿しと花 2001 鉛筆画 中山眞治

細かい観察から始める

 花の細部を正確に捉えるには、まず細かい観察が必要です。各花びらの形状、葉脈のパターン、茎の質感など、微細な特徴を詳細に観察し、記憶に留めましょう。これらの観察は、細部をリアルに再現するための基盤となります。

多様な線のテクニックを駆使する

 細部を表現する際には、H系統の鉛筆を用いて、筆圧の強弱及び線の太さや方向を変えることで、花の質感や立体感を表現できます。

 例えば、葉脈を描くときはH系統の細い線を使い、花びらの影を表現するときは少し太めのB系統の線で強調します。このように線の特性を活かすことで、細部の表現力を高めましょう。

陰影で細部の質感を強調

 細部の質感をよりリアルに再現するためには、陰影の技術が欠かせません。光と影を適切に配分し、細部にまで細かく陰影技法を加えることで、花の質感や立体感を強調できます。特に、花びらのカーブや葉の質感を表現する際に有効です。

 尚、花びらのように、曲線を伴う部分への陰影の入れ方では、曲線に沿った陰影を入れていきます。そうすることで、リアルな陰影が表現できます。

 また微妙な反射による陰影なども施せると、よりリアルな表現ができます。下の画像では、床面からの反射がタマネギの下側へ微妙に反射しているのが確認できるはずですが、このように、微妙な光は作品構成上非常に重要なのです。

細部の比較を忘れずに

 花全体の中で各細部が、どのように関連しているのかを常に意識することは重要です。例えば、花びらの一つ一つが花全体の形状にどのように関連しているか、葉や茎が花びらとどのように調和しているかを考えながら描き進めます。

 この比較により、全体のバランスを保ちつつ細部を捉えることができますし、単体の花だけではなく、複数の花を描く場合には、後ろのモチーフを暗めに描くことで、前後関係も強調できることにつながります。

 そして、あなたが複数の花で制作する場合には、主役や準主役を決めて制作しましょう。あなたの描こうとしている画面上の、構図の中心部分に主役や準主役の花を据えて、画面全体を使い切って、より見映えのする・魅力ある表現が必要です。

 ハッキリ言えば、主役や準主役を細密描写して、それ以外には「意図的に手を抜く」か、主役や準主役以外のモチーフには、ハイライトを抑えて描くなどを検討しましょう。そうすることによって、より主役や準主役が活き活きと描写できます。

 そうです。あなたの伝えたい感動を観てくださる人へ伝えることができるのです。そうすることによって、「何を言いたいのかよくわからない作品」などとは決して言われない、はっきりとした主張のある作品になります。

実験と練習を重ねる

 細部を捉えるテクニックは、実験と練習を通じて磨かれます。

 異なる種類の花を題材にして、さまざまな描き方を試し、どのテクニックが最も自然な質感を再現できるのかを見つけ出しましょう。練習を重ねることで、細部の表現力も自然と高まります。

 上級者が、花の鉛筆画やデッサンで細部を捉えるためには、細かな観察、線のテクニックの駆使、陰影の活用、細部の比較、そして継続的な実験と練習が必要です。

鉛筆画やデッサンにおける花の構図の選び方

    出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 高橋新三郎 氏

目的に合わせた構図を考える

 花を描く目的を明確にすることから始めましょう。写実的な表現を目指しているのか、それとも花の抽象的な美を捉えたいのかによって、構図の選び方が変わります。目的に応じて、花の配置やスペースの使い方を考えることが大切です。

バランスと比率を意識する

 構図を決める際には、画面内のバランスと比率を充分に検討することが重要です。

 黄金比や三分割法などの構図の原則を利用して、花を配置することで、視覚的に魅力的な作品を制作することができます。花の大きさや数、空間の開け方にも注意を払い、全体の調和を考えましょう。

焦点となる花を決定する

 作品において、中心となる焦点を決めることは、構図を決定する上で欠かせません。

 強調したい花を構図上の中心に配置し、その周りを補助的な要素で構成することで、焦点への注目を集めることができます。焦点となる主役や準主役の花は、特に細部まで丁寧に描き込むことがポイントです。

鑑賞者の視線の流れを創り出す

 視線が自然に作品内を流れるような構図(※)を心がけることで、視覚的な楽しさを提供できます。花や葉の配置、「構図分割基本線」や「抜け」の使用を工夫して、効果的な導線を創り出しましょう。

 この流れは、作品を観てくださる人を引き込む力があります。また、「抜け」とは、作品の中に意図的に窓や外部へ抜けている空間を設けることで、観てくださる人を「外界へつながる解放感」を与えられる重要なポイントです。

 この「抜け」は、花・静物・人物・動物・風景・心象風景すべてのジャンルに有効活用できます。この「抜け」に向かって、制作画面上に導線を築き、画面深度を伴って、観てくださる人を引き込む構成にすることもできます。

 ※ 構図については、この記事の最下部にあります、「鉛筆画・デッサンの魅力を最大限に引き出す!構図導入の必要性と方法とは?」を参照してください。「抜け」についても、この関連記事の中で詳細に説明しています。

背景との関係を考慮する

 花と背景との関係も、構図を考える上で重要です。背景をどのように扱うかによって、花の印象も大きく変わるからです。

 背景に、濃いトーンを入れることで花を際立たせるか、または背景に遠近法などの細かな要素を加えて深みを出すか、目的に応じて最適な選択をしましょう。

 主役や準主役となる花を手前にして、奥へと続く空間へは「空気遠近法」などを取り入れるなどです。下の作品を参照してください。

 鉛筆画やデッサンにおける、花を描くための構図を選ぶことは、作品の表現力を高める上で欠かせないステップです。これらのポイントを考慮して構図を選ぶことで、より魅力的で意図を伝えやすい花の作品を創り出すことができるでしょう。

      国画会展 入選作品 誕生2007-Ⅱ F130 鉛筆画 中山眞治

鉛筆画やデッサンで描く、季節ごとの花の瞬間

春 – 新しい生命の象徴

 春に咲く花は、新しい生命の始まりを象徴します。桜、チューリップ、水仙など、明るく柔らかな色合いの花が特徴的です。

 鉛筆画やデッサンでは、花びらの繊細さや透明感を表現することに焦点を当てましょう。軽やかな線使いで、春の爽やかな雰囲気を捉えることがポイントです。

夏 – 豊かさと活力の表現

 夏は花々が最も豊かに咲き誇る季節です。ひまわりやラベンダー、マリーゴールドなど、太陽の光をたっぷりと浴びて育つ花が多くあります。

 これらの花を描く際は、鮮やかな色彩と生命力あふれる姿を、濃淡や陰影を使って表現しましょう。夏の花の強い生命力と活力を、力強い線で表現することが重要です。

 夏の日差しを浴びた制作では、濃いトーンを背景に持ってくることで、強い日差しを浴びた劇的な光と影による対比によって、輝く花の印象を高められます。

秋 – 落ち着きと深みのある色合い

 秋には、コスモスやダリア、菊といった、落ち着きのある色合いの花が季節を彩ります。特に、コスモスは花びらが複雑ではないので、描きやすい花の代表格です。

 秋の花を描く際は、豊かな色彩の花ではあっても、モノトーンで少し哀愁を帯びた季節の変化を表現することがポイントです。深みのある陰影と細やかな線で、秋特有の雰囲気を捉えましょう。

     第2回個展出品作品 コスモス  2000 F10 鉛筆画 中山眞治

冬 – 静けさと清純さの表現

 冬には花の種類は減りますが、椿やクリスマスローズなど、寒さに耐える花が美しく咲きます。冬の花を描く際は、静けさや清純さを表現することを意識しましょう。

 冷たい空気感を感じさせるためには、シャープなH系統の鉛筆で花を描き、落ち着いたB系統の色合いで背景を構成して、花の美しさを際立たせます。

 季節ごとの花の特徴を鉛筆画やデッサンで捉えることは、自然の変化を感じながらアートを楽しむ素晴らしい方法です。

 春の柔らかさ、夏の活力、秋の深み、冬の静けさをそれぞれの花を通じて表現し、四季の花々の瞬間の美を作品に映し出しましょう。

まとめ

 花の鉛筆画やデッサンは、自然の美しさを捉え、スケッチブックや紙の上に再現する魅力的な方法です。

 この記事では、初心者から上級者まで、季節ごとの花の特徴を生かした描き方から、構図の選び方、陰影の技術まで、多岐にわたるテクニックを紹介しました。

 春の繊細な花びら、夏の生命力あふれる姿、秋の深みと哀愁、冬の静けさと清純さを表現する方法を探り、季節の変化を作品に反映させることができます。

 初心者向けには、「鉛筆・デッサンで描く花の簡単なステップ」を提供し、基本的な形から始めて、徐々に細部に注意を払いながら花の描写を進める方法を説明しました。

 一方、上級者向けには、「花の細部を捉えるコツ」を掘り下げ、細かい観察と多様な線のテクニックを駆使することで、花の質感や陰影をよりリアルに表現する方法を紹介しました。

 また、「花の構図の選び方」では、目的に応じた構図の重要性と、バランスや比率を意識することの大切さを掘り下げました。花の鉛筆画やデッサンにおいて、構図は作品の印象を大きく左右し、視覚的な魅力を高める要素です。

 それは、技術の向上だけでなく、四季を通じて変わる花々の美しさに寄り添いながら、鉛筆画やデッサンの奥深さを探求する旅であり、創造的な喜びと充実感をもたらします。

 これらの一連の、「没頭できる充実した時間」によって生み出される作品は、あなた自身の自己達成感につながります。描くから上達する、上達するからさらに「嬉々として没頭できる」へと「連続的な成功体験」へとつながっていきます。

 また、各種展覧会や公募展への出品や、大きな自分自身の区切りとなる「個展の開催」へと続いていけば、自然とプロ画家になることもできます。

 そこまで到達できれば、鉛筆画やデッサンは趣味を超えて、あなたの生活の「大きな核(生き甲斐)」となり、展覧会や公募展で知り合った仲間も増え、老後に何をしたらよいか「まごつく人々」をよそ目に、あなたに充実した日々を約束してくれます。

 尚、あなたが展覧会や公募展へ出品を希望する際には、ただモチーフを上手に描けるだけでは入選できません。

 それは、あなたの制作する画面全体を使い切って、作品全体を魅力的な構成にする必要があるのです。その内容について興味のある人は、次の関連記事も参照してください。

関連記事:鉛筆画・デッサンの魅力を最大限に引き出す!構図導入の必要性と方法とは?

 ではまた!あなたの未来を応援しています。

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