初心者必見!鉛筆画・デッサンで最適な鉛筆の選び方とその特性ガイド

デッサン

 どうも。私は、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

 さて、鉛筆だけで、美しいアートが生まれる鉛筆画・デッサン。しかし、多くの初心者はどの鉛筆を選べばよいのか悩むこともあるでしょう。

 この記事は、そんな初心者の人に向けて、鉛筆画・デッサンに最適な鉛筆の選び方とその特性をわかりやすくガイドします。

 硬さ、材質、種類など、鉛筆の基本的な知識から、それぞれの特性が作品に与える影響までを解説していきます。アートの第一歩として、適切な選択をして最良の結果を得ましょう。

 それでは、早速見ていきましょう!

  1. 鉛筆の硬さとその特性: ソフトからハードまでの区別
    1. 基本的な硬さのカテゴリ
    2. 硬さが作品に与える影響
      1. Hシリーズの特性
      2. HBの特性
      3. Bシリーズの特性
  2. 鉛筆画・デッサンにおすすめの鉛筆の種類: 一般的なブランドとモデル
    1. デッサン初心者向け: 安定性と使いやすさを重視
      1. ステッドラー
      2. トンボ モノ100
    2. 上級者やプロフェッショナル向け: 細密性と表現力を追求
      1. カランダッシュ
      2. ファーバーカステル9000
    3. 環境を考慮したエコフレンドリーな選択
      1. ダーウェント
  3. 鉛筆の材質と影響: セダー、リンデンの違い
    1. セダー材の特性と利点
      1. 香り
      2. 硬度
      3. 均一性
    2. リンデン材の特性と利点
      1. 柔軟性
      2. 軽さ
      3. 滑らかさ
    3. どちらの木材を選ぶべきか?
      1. セダー材の鉛筆
      2. リンデン材の鉛筆
      3. ステッドラー (Staedtler)
      4. ファーバーカステル (Faber-Castell)
      5. 三菱ユニ (Mitsubishi Uni)
      6. トンボ モノ100
  4. 正しい鉛筆の保管とメンテナンス: 寿命を延ばす方法
    1. 保管場所の選び方
      1.  湿度と温度
      2.  安定した場所
    2. 鉛筆を削る作業とケア
      1.  定期的な削る作業
    3. 鉛筆の汚れや傷を防ぐ
      1.  クリーンな環境
      2.  専用のケースやホルダー
  5. 初心者がよく犯す鉛筆選びのミス: 避けるべきポイント
    1. 価格が高ければ良い鉛筆とは限らない
    2. 一つの硬さだけを選んでしまう
    3. ブランド名に囚われすぎる
    4. 見た目やデザインだけで選んでしまう
    5. 各メーカ製品との描き味を比較するための方法とは
  6. まとめ

鉛筆の硬さとその特性: ソフトからハードまでの区別

 鉛筆の硬さは、線の質や描画のニュアンスを大きく左右します。理想的な鉛筆を選ぶためには、その硬さと作品に及ぼす影響を理解することが不可欠です。

基本的な硬さのカテゴリ

 鉛筆の硬さは、主に「H」(ハード)、「HB」(ミディアム)、および「B」(ソフト)の範囲でカテゴリ分けされます。Hの前の数字が大きくなるほど硬く、Bの前の数字が大きくなるほど柔らかくなります。

 一般に、10H~10Bまで21本の種類がありますが、ステッドラーでは、何と11Bと12Bまであります。ファーバーカステルは、6H~8Bまでです。三菱ユニは、10H~10Bまでとなっていて、トンボモノ100では、9H~6Bまでのラインナップです。

硬さが作品に与える影響

 鉛筆の硬さは、描画時の筆圧や特性により、異なる効果や表現を生み出します。

Hシリーズの特性

 硬さがあるため、細かい線が引きやすく、細密描写に向いています。しかし、強く押しすぎると紙が傷つく危険性があります。

HBの特性

 この中間の硬さは、さまざまな筆圧での描線が可能です。一般的なスケッチやアウトラインに適していますが、鉛筆を優しく人指し指・中指・親指でつまむように持つ「画家の持ち方」の場合には、スケッチブックや紙に鉛筆が乗りにくいこともあります。

Bシリーズの特性

 筆者の場合には、2Bくらいの柔らかく少し濃いめの鉛筆を使ってスケッチやデッサンに向き合っています。そして、この柔らかく濃い色の鉛筆を使う理由の一つには、筆圧を高めなくても描けるので、練り消しゴムで線を整理する際にはとても楽なのです。

 柔らかいので、深みのある陰影画法や濃淡の強い描写に向いています。しかし、頻繁に削る作業が必要となることもありますので、鉛筆を選ぶ際は、目的や描きたい表現を考慮しながら、上記の硬さと特性を参考に最適なものを選びましょう。

鉛筆画・デッサンにおすすめの鉛筆の種類: 一般的なブランドとモデル

 鉛筆画・デッサンをする際には、適切な鉛筆の選択が不可欠です。鉛筆画・デッサンでよく使用される鉛筆のブランドと、モデルについて解説します。

デッサン初心者向け: 安定性と使いやすさを重視

ステッドラー

 世界的に知られるブランドで、初心者からプロまで幅広く利用されています。描き心地の安定感が特徴で、簡単に表現すれば、それ以外の鉛筆と比較すると「カリカリ」とした描き心地です。

 どこの画材店でも置いているので、探す必要もありません。ただし、前述しました9B~12Bまでは、どこにでも置いているわけではありませんので注意が必要です。

トンボ モノ100

 日本製の品質と、抜群の耐久性を持つ鉛筆です。さまざまな硬さがラインナップされているので、自分に合ったものを選ぶことができます。

 ただし、前述していますが、9H~6Bまでのラインナップなので、特に濃い黒を使いたいと考えた際には、6Bから上の品揃えのあるメーカーの商品を揃える必要もあるでしょう。

上級者やプロフェッショナル向け: 細密性と表現力を追求

カランダッシュ

 スイス製の高級鉛筆で、一本一本の重量バランスが絶妙です。細密な陰影画法や濃淡表現に適しています。

ファーバーカステル9000

 このブランドの鉛筆は、均一な線質と繊細な陰影画法が可能です。多くのアーティストに愛用されています。

環境を考慮したエコフレンドリーな選択

ダーウェント

 英国製のエコフレンドリーな鉛筆で、深みのあるダークトーンが特徴です。

 この製品は、環境や社会に配慮しながら管理されている森林から採取され、パッケージングやその他の印刷物には、再生紙や環境に優しいインクを使用していると同時に、廃棄物の再利用やリサイクルにも努めています。

 鉛筆画・デッサンに挑む際、鉛筆の選択は表現の幅やクオリティに直結します。初心者であっても、質の良い鉛筆を使用することで、より高度な技法の習得や美しい作品の制作が可能になります。

鉛筆の材質と影響: セダー、リンデンの違い

        この画像は鉛筆の材料の板です

 鉛筆の芯の硬さや種類はよく取り上げられるテーマですが、実は鉛筆の木材にも、描写や使用感に影響を及ぼす特性があります。

 特にセダー材とリンデン材は、良質な鉛筆の材料として知られる木材です。これらの違いと、それぞれがアートにどのような影響を持つのかを探っていきましょう。

セダー材の特性と利点

香り

 セダー材は独特の香りを持ち、多くの人々に愛されています。この香りはリラックス効果があり、創造的な作業をサポートすると言われています。

硬度

 セダー材は比較的硬いため、鉛筆としての形状を保持するのに適しています。これにより、削る作業がスムーズに行えるのが特徴です。

均一性

 木目が細かく均一であるため、筆圧が均等に伝わりやすくもあります。

リンデン材の特性と利点

柔軟性

 リンデン材は柔軟性が高く、筆圧を変えることでさまざまな描写が可能です。これは特に線の太さや濃淡を変えたいときに有利です。

軽さ

 リンデン材製の鉛筆は軽く、長時間の作業でも手の疲れを感じにくいという特性があります。

滑らかさ

 リンデン材の木目は滑らかで、スケッチや紙上での滑りが良くもあります。これにより、スムーズな描写に役立ちます。

どちらの木材を選ぶべきか?

 選択の際のポイントは、使用する目的や好みによります。例えば、細密な描写を行いたい場合はセダー材が適しています。一方、表現の幅を広げたい、あるいは手の疲れを軽減したい場合はリンデン材がオススメです。

 鉛筆の選び方は、芯の硬さだけでなく、使用される木材にも注意を払うことが大切です。セダー材とリンデン材、それぞれの特性を理解し、あなたの描きたいアートに最適な鉛筆を選びましょう。

セダー材の鉛筆

Palomino Blackwing: パロミノ ブラックウイング シリーズは、アーティストやデザイナーに愛されている高品質な鉛筆で、セダー材が使用されています。

Tombow Mono: この日本製の鉛筆も、品質の高さで知られ、セダー材が使用されています。

リンデン材の鉛筆

 リンデン材は、主にアジア製の鉛筆に多く使用されることが一般的です。比較的安価な鉛筆に多く見られる木材であり、特定の高級ブランド名というよりも、大量生産される鉛筆の中で広く使用されています。

 しかし、それぞれの鉛筆ブランドやシリーズによって、使われている材質やその特性は異なる場合がありますので、購入の際は商品の詳細や説明をよく確認することをおすすめします。

 ただし、使用される木材は時期や生産地、また製造ラインによって変動する場合があるので、最新の情報は各ブランドの公式サイトや製品のラベルなどで確認するのがベストです。

ステッドラー (Staedtler)

 ステッドラーの多くの鉛筆は、PEFC認証のセダー材を使用しています。PEFCは持続可能な森林管理を証明する認証です。これにより、ステッドラーの鉛筆が環境に優しい方法で生産されていることが示されています。

ファーバーカステル (Faber-Castell)

 ファーバーカステルは、持続可能な森林経営から得られる木材を使用しています。特に、FSC(Forest Stewardship Council)認証を取得した森林からの木材が多く使われています。具体的な種類としては、主にジャカランダ材が使われることが多いです。

三菱ユニ (Mitsubishi Uni)

 三菱ユニの高品質な鉛筆、特に「ユニ」や「Hi-Uni」シリーズでは、赤松を主な材料として使用しています。赤松は、その均一性と削りやすさから、高品質な鉛筆に適しています。

トンボ モノ100

 「トンボ モノ100」は、日本の筆記具メーカーであるトンボ鉛筆が生産する高品質な鉛筆の一つです。モノ100は、その高い品質と素晴らしい描き味で、プロのアーティストやデザイナーをはじめ、多くの人々から高い評価を受けています。

 モノ100で使用されている木材は、インキャンセダー材(またはアメリカンセダー材)です。インキャンセダー材は、その均一な木目や香り、さらには削りやすさから、高品質な芯を持つ鉛筆製造において非常に好まれる材料として知られています。

 これらの情報は、特定の時期のものや一般的な傾向を示すものであり、全ての製品に当てはまるわけではありません。購入前に製品の詳細を確認し、あなたの求める特性や環境への配慮などに合わせて選ぶと良いでしょう。

正しい鉛筆の保管とメンテナンス: 寿命を延ばす方法

筆者の鉛筆ケースです

 鉛筆は、適切なケアと保管方法でその性能や寿命を最大限に引き出すことができます。

 特に良質な鉛筆やお気に入りの鉛筆を長持ちさせたい場合、正しい保管とメンテナンスの方法を知ることは欠かせません。以下で、鉛筆を最高の状態で保つための方法を解説します。

保管場所の選び方

 湿度と温度

 鉛筆は湿度が高すぎる場所や直射日光を避けて保存することが望ましいです。過度な湿度は木材の変形や芯の劣化を引き起こす可能性があります。

 安定した場所

 鉛筆は縦に立てて保管するか、平らな場所で横にして保管することが推奨されます。これにより、鉛筆が他の物に圧迫されることを避けることができます。

 筆者の場合には、100円ショップで買ってきた「A4サイズの書類入れ」に、バンダナを敷いて、その上に鉛筆を乗せています。かれこれ、29年も使っていますが、まだまだ使えそうです。

鉛筆を削る作業とケア

 定期的な削る作業

 木材が乾燥したり古くなると、削る作業が困難になる場合があります。定期的な削る作業で、鉛筆の木材を新鮮に保ちましょう。

 鉛筆の寿命を延ばすためには、質の良い鉛筆削りを使用することが大切です。これにより、芯の破損や木材の無駄な消耗を防ぐことができます。

 尚、鉛筆が短くなって「鉛筆削りで削れなくなった場合」には、100円ショップで売っている「果物ナイフ」やカッターなどを使いますが、そのためにも「鉛筆ホルダー」を2~3個買っておくと便利でしょう。

         筆者の使っている鉛筆削りです

         筆者の使っている鉛筆ホルダー

鉛筆の汚れや傷を防ぐ

 クリーンな環境

 鉛筆は油や手の汚れに敏感です。描画の際、手が清潔であることを確認し、鉛筆をきれいに保ちましょう。

 専用のケースやホルダー

 鉛筆の傷を防ぐために、専用のケースやホルダーで保管することを推奨します。正しい保管とメンテナンスの方法を実践することで、鉛筆は長持ちし、その描写性能を維持できます。大切な鉛筆を大切に扱い、最高の状態での使用を楽しみましょう。

 前述しましたように、筆者も使っている「鉛筆ケース」は、100円ショップへ行けばサイズもいろいろ選べて便利です。

初心者がよく犯す鉛筆選びのミス: 避けるべきポイント

 鉛筆選びは、デッサンやスケッチの質に大きく影響します。

 初心者の中には、鉛筆選びに関する一般的な誤解やミスをしてしまう人が少なくありません。本章では、初心者がよくやってしまう鉛筆選びのミスと、それを避けるためのポイントを紹介します。

価格が高ければ良い鉛筆とは限らない

 多くの初心者は、価格が高い鉛筆ほど質が良いと誤解してしまうことがあります。

 確かに高価な鉛筆には優れたものが多いのですが、必ずしも初心者にとって最適とは限りません。初心者には、まずは基本的な鉛筆から始めることをおすすめします。

一つの硬さだけを選んでしまう

 初心者は、自身の好みの硬さの鉛筆だけを選ぶ傾向があります。

 しかし、デッサンやスケッチでは、異なる硬さの鉛筆を使い分けることで、より豊かな表現が可能になります。複数の硬さの鉛筆を取り揃えることで、あなたの描きたい表現を広げることができます。

ブランド名に囚われすぎる

 特定のブランドや、有名なアーティストが使用している鉛筆を選ぶことが、必ずしも最適とは限りません。大切なのは、あなたの描き心地や必要に合った鉛筆を見つけることです。多くの鉛筆を試し、あなたに合うものを見つけることが大切です。

見た目やデザインだけで選んでしまう

 鉛筆の見た目やデザインも魅力的ですが、それだけを基準に選んでしまうと、描き心地や品質が合わないことがあります。実際に手に取り、描き心地を確かめることが重要です。

各メーカ製品との描き味を比較するための方法とは

 描き味の違いをどのように実感したらよいのかといえば、あなたがこの先も、鉛筆画・デッサンを続けていけると決心できましたら、当初お伝えしましたように、ステッドラーで2H・H・HB・B・2B・3B・4Bの7本を揃えたとします。

 そこで、例えば、Bのファーバーカステルを1本と、2Bの三菱ユニを1本買って来て比較してみてください。ステッドラーよりも「しっとりとした」描き味を実感できるでしょう。

 また、ファーバーカステルと三菱ユニの違いについては、ここも違いはありますが、そう大きくは違いはありません。なぜ違いを味わうためにこの2本を選んだかと言いますと、一番たくさん使う鉛筆で、あなたが仮にあまり気に入らなかったとしても無駄にならないからです。

まとめ

 鉛筆は、アーティストやデザイナー、学生からプロフェッショナルまで、多くの人々に使われるツールです。しかし、そのシンプルさの裏には、深い知識と技術が隠れています。

 適切な選び方や使い方、メンテナンス方法を知ることで、鉛筆によって最大限の可能性を引き出すこともできます。鉛筆の選び方は、まず硬さとその特性から始めると良いでしょう。

 ソフトからハードまで、それぞれの鉛筆が持つ独特の描写性能を知ることで、あなたの求める表現に最も合った鉛筆を見つける手助けとなります。

 また、デッサンに特化した鉛筆や、さまざまな材質の違いによる特性も理解することで、より繊細な作品制作が可能になります。

 そして、鉛筆を長持ちさせ、いつでも最適な状態で使用するためには、適切な保管とメンテナンスが欠かせません。湿度や温度、削る作業の方法など、日常のケアが鉛筆の性能を維持するカギとなるのです。

 しかし、初心者が鉛筆選びでよくやってしまうミスも忘れてはなりません。価格やブランド名、見た目の魅力に囚われすぎず、実際の描き心地や使用感も重視することが大切です。

 尚、あなたが最初に鉛筆を選ぶ際には、色々難しく考えずに、さしあたり、どこでも買えるステッドラーの2H・H・HB・B・2B・3B・4Bの7本を揃えてはいかがでしょうか。

 あとの種類は、あなたがこの先も鉛筆画・デッサンを続けていくことができると決心できましたら、徐々に揃えていけばよいでしょう。そして、やがて、他の種類の鉛筆も試してみて、あなたの描きやすい種類と幅を揃えていきましょう。

 筆者の場合には、前述の写真にもありますが、基本をステッドラーで揃え、10H・3B・4B・10Bは三菱ユニ、9Bはレクセル ダーウェント、HB~8Bまではステッドラーと一緒にファーバーカステルを使っています。

 多くの鉛筆を試し、あなたに合うものを見つける過程も、アーティストとしての成長に繋がります。結局、鉛筆選びは個人の好みやスタイル、そして目的に合わせて進めるべきものなのです。

 この記事を参考に、あなた自身の感情の旅を豊かにする最適な鉛筆を見つけてください。そして、その鉛筆とともに、無限の表現の世界を楽しんでください。

 尚、あなたが展覧会や公募展へ出品を希望する際には、ただモチーフを上手に描けるだけでは入選できません。それは、あなたの制作する画面全体を使って、作品全体を魅力的な構成にする必要があるのです。その内容について興味のある人は、次の関連記事を参照してください。

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 ではまた!あなたの未来を応援しています。

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