初心者必見!鉛筆画の基本「シャープな線と曲線」の描き方を徹底解説

デッサン

 どうも。私は、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

 さて、鉛筆だけで、感動的なアートが描けることをご存知ですか?デッサンや鉛筆画は、初心者にとっても取り組みやすい芸術表現の一つです。

 しかし、その基礎となるテクニックがしっかりと身についていないと、思うような結果にはなかなかつながりません。

 この記事では、鉛筆画・デッサンの基本とも言える「シャープな線(鋭利ではっきりくっきりした線)と曲線」の描き方に焦点を当てて、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 アートに興味があるけれど、何から始めたらいいのか迷っているあなた。あるいは、もう少し上手に描きたいと思っているあなた。この記事が、あなたの鉛筆画・デッサンのスタートラインとなることを願っています。

 それでは、早速見ていきましょう。

デッサンと鉛筆画の基礎知識

         第1回個展出品作品 葡萄 1997 F6 鉛筆画 中山眞治

デッサンの意義と特徴

 デッサンとは、フランス語で「描写」を意味し、美術における基本となる技法を学ぶための練習を指し、対象物の形や構造を正確に捉える力を養成することを目的としています。

 尚、デッサンとは、立体のモチーフを平面のスケッチブックや紙上に落とし込むことを指します。初心者の人たちは、最初は単純な石膏モチーフなどから始め、次第に複雑な物体や生き物のデッサンへと進行することが一番取り組みやすいのではないでしょうか。

 また、デッサンは、鉛筆・木炭・水彩などを使っても行うことができます。鉛筆画では、その実際のモチーフや撮りためた画像や写真、あるいはあなたの空想を構図に基づいた配置に従って、全体を魅力のある構成で仕上げることもできます。

鉛筆画・デッサンの魅力とその進化

 鉛筆画・デッサンは、その手軽さと直感的な表現力から、アーティストや初心者の間で非常に人気があります。線の太さや濃さ、質感を変えることで、多彩な表現が可能になります。

 また、鉛筆画の歴史をさかのぼると、ルネサンス時代の巨匠たちも習作としてこの技法を活用していたことがわかります。これら事実から、鉛筆画はアートの歴史においても、その重要性を保ち続けています。

デッサンと鉛筆画の関連性

 デッサンの練習は、鉛筆画の技法を磨くための土台となり、デッサンで養われる観察力や描写力は、鉛筆を使った作品制作にも直接的な影響を及ぼします。

 具体的には、シャープな線(鋭利ではっきりくっきりした線)の描き方や、質感の描写技法など、デッサンの練習を通じて鉛筆画の技法を向上させられます。

 したがって、デッサンの技法を習得することは、鉛筆画のクオリティを向上させる鍵となるとも言えます。

「シャープ」な線の特徴と基本的な描き方

         第1回個展出品作品 夜の屋根 1996 F10 中山眞治

「シャープ」な線の定義と特性

 「シャープ」な線とは、鮮明で、はっきりとした線を指します。特に、物体の輪郭や強い影、精緻な質感の表現に向いており、視覚的な重点及び力点や強調を求める場面で多用されます。

 このような線は、対象のモチーフの形状や特徴を明確に伝える役割を果たし、視覚的な深みや強度を作品に付加することができます。

基本的な「シャープ」な線の描き方

 「シャープ」な線を描くためには、まず筆圧のコントロールが必要です。強い筆圧で鉛筆を紙に押し付けると、線が太く濃くなります。一方、軽い筆圧では細く、繊細な線が描けます。

 尚、その際には、鉛筆の先端を描きやすく維持するための、頻繁な削る作業も必要になってきます。シャープな線を描く際には、鉛筆を垂直に近い角度で持ち、正確な線を引くことが重要です。動作はスムーズに、そして確実に行いましょう。

効果的なシャープな線の使用例

 「シャープ」な線は、特に物体の輪郭や細部の表現に適しています。例えば、人物の瞳や髪の毛、布のしわなど、細密な質感が求められる部分での使用が主な活用の場面でしょう。

 また、強い光や影が当たる分部での強調や、遠近感を表現するための背景とのコントラスト作りにも有効です。正確な「シャープ」な線の技法を習得することで、作品全体の質や写実性を向上させることができます。

曲線の魅力とマスター方法

曲線の持つ独特の表現力

 曲線とは、柔らかく滑らかな線を指します。この線は、穏やかさや柔軟性を伝えるのに最適であり、視覚的にも安心感や温かみを与えます。

 特に、自然のカーブや生物の形など、感情を優しく表現する際に多用される線です。人々は、このような滑らかな線に自然と引き込まれる傾向があり、作品全体の雰囲気を優雅に、または柔らかくする効果に期待がもてます。

 また、地平線や水平線は、巨視的(マクロ)な目で見れば曲線になっていますので、あなたの作品にこれらの地平線や水平線に穏やかな曲線を用いることで、地平や水平の大きな広がりを表現することもできます。

 このように曲線は、景観表現には重要な要素を醸し出すことができます。

曲線を描く基本テクニック

 曲線を上手に描くためには、リラックスした姿勢と、人指し指・中指・親指で鉛筆をつまむような持ち方による「画家の持ち方」によって、一定の筆圧と流れるような動きが必要です。

 つまり、筆圧を均等に保ちながら、肘や肩を中心に大きな動きで線を引くことがポイントです。また、紙の上で鉛筆を滑らせるように、一定のリズムで描くことで、線の流れがスムーズになります。

 練習方法としては、円や波の形を描き続けることで、手と目の連動性を高めることが近道です。つまり、たくさん描いていく中で慣れていくものであると認識してください。

 描き始めのデッサンでは、細かいことはあまり気にせずに、スケッチブックや紙上において、楽な姿勢で楽しんであなたの思い描く曲線を何本も引き、その中でこれだと思える線に絞って、不要な線は「練り消しゴム」で整理すればよいのです。

 このように、後から線を整理することも踏まえて、優しいタッチで描き込んでも色濃く画面に筆跡を残せて、「練り消しゴム」で簡単に消せるようにするためにも、Bや2Bの鉛筆で描き進むことがおすすめです。

さまざまなシーンでの曲線の活用例

 曲線は、風景画の山並みや水面の波紋などの描写、肖像画での顔の輪郭や髪の流れなど、多岐にわたるシーンで活用されます。また、動物の体のカーブや子供のふっくらとした表情の描写などでも欠くことのできない要素です。

 この曲線を効果的に使用することは、作品に動きやリズムを作り、そして温かさや親しみやすさをもたらすことができます。マスターすれば、あなたの制作活動に新たな深みや魅力を加える強力なツールとなるでしょう。

シャープな線と曲線を組み合わせた実践テクニック

         第1回個展出品作品 反射 1996 F10 中山眞治

シャープな線と曲線を組み合わせる効果

 シャープな線は強度や鮮明さを、曲線は柔らかさや流れを表現します。これらを組み合わせることで、対照的な要素を効果的に活用し、作品に深みや現実性をもたらすことができます。

 例えば、強い光が当たる物体の先端や端にシャープな線を、その影部に曲線を使用することで、立体感や質感の表現が向上します。

基本的な組み合わせテクニック

コントラストの強調

 シャープな線で物体の輪郭を描き、その内部に丸い線で影や質感を表現します。これにより、視覚的な明暗の差が生まれ、目を引く作品となります。

動きの表現

 シャープな線で速度感や方向性を示し、曲線でその流れやリズムを補完します。特に動物や風景の描写に効果的です。

質感の再現

 例えば、木の皮の表現では、シャープな線で割れ目や節を、丸い線でその柔らかさやぬくもりを描写します。

実践的な描写例での活用

 想像してみてください。美しい山の風景を描く際、遠くの山々には曲線で柔らかく表現し、近くの岩や木々はシャープな線で鮮明に描写したとすると、それぞれの部分を線の持ち味の対比によって、活き活きと描写できるのです。

 また、動物の描写では、筋肉の張りや爪の鋭さにシャープな線を使用し、毛並や羽の柔らかさには曲線を用います。このように、シャープな線と曲線を巧みに組み合わせることで、生命感あふれるリアルな作品を生み出すことができます。

初心者のための鉛筆画・デッサン練習法

鉛筆の選び方と基本の使い方

 鉛筆は芯の硬さにより、HからBの範囲で表されます。H系統はその前についている数字が大きくなればなるほど硬く・薄く、B系統はその前についている数字が大きくなればなるほど柔らかく・濃くなります。

 初心者の人は、スケッチブックや紙などに描く場合には、Bや2Bの鉛筆を前述の「画家の持ち方」で優しくもち、イスには足を組まずに姿勢を正して深く座り、リラックスした状態で、まずはあなたの描こうとしているモチーフ全体を捉えましょう。

 複数のモチーフの場合でも、あなたの描き込んでいく画面の中の配置やモチーフの割合や比率を意識して、全体をまず捉えて輪郭を描いていくことに集中しましょう。

基本の形状を捉える練習

 デッサンの基本は、当初各種モチーフを描き始める場合には、複雑な形であっても、大雑把なざっくりした形で把握することが基本です。例えば、人の顔は卵形、手は長方形や楕円として捉えることができます。

 初心者の人は、身の回りの物を選び、その基本的な形状を描く練習から始めることが取り組みやすさの秘訣です。陰影や細かい部分は考慮せず、まずは大まかな形だけをざっくりと描くことで、物の形を正確に捉える感覚を養えます。

 全体を描き終わったところで、再度全体の割合や比率を確認しましょう。この確認作業を怠ってしまうと、描き進んでいる途中で「つじつまのあわない」状態に直面してしまします。

 具体的に言えば、人物画に例えるならば、顔が大きくなりすぎている・首が長すぎる・手足が短いなどのような状態になってしまっている場合があるということです。このような場合には、一旦休憩をはさんで、改めて画面に向き合うことをおすすめします。

陰影と光の表現

         出典画像:アートラボゼロプラスより引用

 鉛筆画・デッサンの魅力は、光と影の明暗の差にあります。初心者の人は、一つの物体を選び、光の当たり方による影の変化を観察し、それをスケッチブックや紙上に描写する練習が効果的です。

 具体的には、どこの絵画教室にもある上記の画像のような石膏モチーフを使いましょう。石膏モチーフの良い点は、影のでき方をハッキリと捉えることが可能な点です。

 また、窓際のフルーツや置物を題材に、光の方向を変えながら何度も描くことで、陰影表現の基本を掴むこともできます。

 ところで、初心者の人が鉛筆画・デッサンを始める際、最も大切なのは「継続」です。仮にあなたが、1週間に2日休みだとすれば、その2日間だけでも集中して取り組むことで上達していけますが、その際には、休日前夜には早く就寝し体調を整えて、休日は朝早くから描き始めましょう。

 あなたが「鉛筆画・デッサン」に慣れてきて、これから描きたいモチーフが次々と脳裏に浮かぶようになったとしたら、平日の夜にも描きたくなるはずです。この平日も制作をするようになると、驚くほど上達のスピードが速まります。

 このようにして、平日も休日も鉛筆画・デッサンに楽しんで取り組めるようになれると、「絵画の制作が中心の生活」となり、その制作に疲れるたびに休憩を兼ねて家事をすれば、規則正しい生活・家事の行き届いた暮らし・充実した休日や平日を実現できます。

まとめ

 鉛筆画とデッサンは、絵画の制作における表現技法です。初心者の人がこれらの技法を学ぶ際には、まずは鉛筆の選び方から始めることが大切です。

 一般的に、Bや2Bの鉛筆が初心者の人には最適でしょう。鉛筆の持ち方も重要で、描き始めの最初では、文字を書くときのように強く握るのではなく、「画家の持ち方」で優しく全体を捉えるべく大きな動作で描線することから始めましょう。

 あるいは、「画家の持ち方」と並行して、鉛筆の最後部を手のひらでやさしく支えるように持つことでも、力加減や持ちやすさを変えた描き方が可能です。

 次に、デッサンの基本として、物の複雑な形をシンプルな形状に大雑把に大きくとらえるスキルが求められます。例えば、人の顔を卵形として捉えるなど、物の本質的な形状を見抜くことが鍵となります。

 このステップでは、陰影や細かい部分は気にせず、大まかな形状の捉え方に焦点を当てることがポイントです。あなたが描こうとしている、画面上のモチーフ全体の輪郭線の描写が完了しましたら、一旦休憩をはさんで、改めて画面を見て全体の割合や比率を確認しましょう。

 その次には、あなたが描いた画面上のたくさんの描線に覆われたモチーフの線を、「練り消しゴム」を練って先端をとがらせて、不要な線を整理しましょう。次には、いよいよ細部への描き込みに進んでいきますが、その際には鉛筆の持ち方を「文字を書くときの握り方」へ変更しましょう。

 そして、鉛筆画の大きな魅力である「光と影の表現」に挑戦します。ここでは、光の方向や強さによる物体の影の変化を的確に捉え、紙上に再現する能力が要求されます。

 特に、窓際に置いたフルーツや置物を使って、光の方向を変えることで影の変化を繰り返し描く練習は、初心者の人にとって非常に有効です。さらに、シャープな線と曲線の組み合わせは、作品に奥行きやリアリティを持たせるための重要なテクニックです。

 シャープな線はモチーフの鮮明さや先端や端を強調し、曲線はモチーフの柔らかさや立体感を表現します。これらをうまく組み合わせることで、よりリアルで魅力的な作品を描くことができるのです。

 最後に、どれだけの技術や知識を持っていても、鉛筆画やデッサンの上達の鍵は「継続」にあります。練習量を増やすことで、自然とスキルアップが図れるでしょう。

 尚、あなたが展覧会や公募展へ出品を希望する際には、ただモチーフを上手に描けるだけでは入選できません。それは、あなたの制作する画面全体を使って、作品全体を魅力的な構成にする必要があるのです。その内容について興味のある人は、次の関連記事を参照してください。

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 ではまた!あなたの未来を応援しています。

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