どうも。私は、プロ鉛筆画家の中山眞治です。
さて、静物を鉛筆画や鉛筆デッサンで描くことは、絵画の基礎を学ぶ上で非常に重要な練習方法です。初心者の人にとっては、物の形や陰影を正確に捉えることが難しいかもしれませんが、基本的な技法とコツを習得することで、確実に上達することができます。
この記事では、静物を鉛筆画や鉛筆デッサンで描く場合の魅力とその重要性について説明しながら、初心者の人が知っておくべき技法やコツを解説します。
それでは、早速見ていきましょう!
1 鉛筆画や鉛筆デッサンで揃えるべきツール
筆者の描画ツール収納ケースです
鉛筆画や鉛筆デッサンを始めるにあたって、最初に揃えるべき基本的な道具について解説します。本章では、適切なツールを選ぶことで、学習効率が向上して鉛筆画や鉛筆デッサンの楽しみも深まります。
おすすめの鉛筆セットの選び方
鉛筆画や鉛筆デッサンではさまざまな硬度の鉛筆を使用しますが、2H・H・HB・B・2B・3B・4Bの、同じメーカーで、合計7本の鉛筆を基本セットとして持っておくと良いでしょう。
この、同じメーカーの製品にこだわるのは、メーカーによって「描き味」や「濃度」が微妙に異なるからです。
硬度が異なる鉛筆を使い分けることで、濃淡や質感の表現の幅が広がります。 鉛筆についての具体的な内容は、下の関連記事を参照してください。
尚、上の画像で使っている「描画ツール収納ケース(390mm×280mm)」は、100円ショップで販売してる「書類入れ」に「バンダナを敷いたもので、もう30年の付き合いになります。
あなたも、描画ツールを収納できる専用の入れ物も用意しましょう。こまごまとしたもの全部を入れられるものが理想的ですが、最初の内は何でも良いです。ただし、鉛筆の芯が折れないような状態は確保する必要があります。
関連記事:
スケッチブックや紙の選定ガイド
鉛筆画や鉛筆デッサンには、専用のスケッチブックや紙が必要です。一般的には厚手のスケッチブックが推奨されます。
紙質は、ある程度の厚みと質感があり、鉛筆の濃淡がしっかり乗せられるものを選びましょう。Bや2Bの鉛筆による、濃い目の味わいを得るためには、中目の粗さの紙肌は相性が良いです。
2HやHの鉛筆による細密描写による味わいを楽しむには、画面の滑らかな用紙を使うと良いでしょう(ケント紙等)。
サイズは、あなたが鉛筆画に慣れて、やがてあなたの住む場所の市や区の展覧会へも出品できるように、F10号(530mm×455mm)程度のスケッチブックから始めることがオススメです。
その理由は、制作をする上で何の目標もなければ、制作に張り合いが出ないからです。モチベーションを維持するためにも、あなたの住んでいる場所(市や区)の公募展へ出品を目指しましょう。
尚、市や区によってはF6号(410mm×318mm)前後でも出品できるところもあるようですので、出品規定を確認してみましょう。没頭できる趣味は、あなたの人生の核になりますし、老後の張り合いにもなります。
スケッチブックの詳細な内容は、次の関連記事を参照してください。
関連記事:
鉛筆削り、鉛筆ホルダー、練り消しゴムの使い方とオススメ
筆者の使っている鉛筆削りです
筆者の使っている鉛筆ホルダーです
筆を常に尖らせるためには良質なシャープナーが必要です。これにより、線の精度が向上し、鉛筆画や鉛筆デッサンの質も高まります。
筆者は、鉛筆削りは、上の画像の物を使っていますが、鉛筆削りで削れないほど短くなった際には、もうひとつの画像のような「鉛筆ホルダー」に差し込んで、果物ナイフやカッターで削れば、使い切ることができます。
そして、鉛筆画や鉛筆デッサンでは、細かい修整が必要不可欠です。柔らかい「練り消しゴム」を一つ持っておくと、「消しカス」も出ず、線の修整が簡単に行えます。
尚、「練り消しゴム」は、ただ単に線の修整に使うばかりではなく、「光を描く」あるいは、「動物の毛並を描く」など、特殊な描き方に応用できる優れものです。詳細は、次の関連記事を参照してください。
関連記事:
クリップボード及び下敷きやクリップの選び方と使い方
クリップボードの画像です
スケッチブックで制作する他にも、紙が単体の場合には、紙がずれないようにするためにも、クリップボードを使用します。大きめのものを選ぶと、さまざまなサイズの紙に対応できます。
また、クリップボードがない場合には、しっかりした下敷きなどを使うことになりますが、その際には、紙を固定するためのクリップもあると便利です。
尚、黒いA4やB4程度の下敷きを1枚用意しておくと、その上にモチーフを置いてライトで照らすと、なんとも素敵な世界が展開できます。その影までも作品に是非取り込みましょう(下の作品を参照してください)。
鉛筆画や鉛筆デッサンを始める際に、これらの基本的な道具を揃えることで、スムーズに技術を習得できて、作品創りを楽しむことができます。
筆者は、これらの鉛筆削り及び鉛筆ホルダー や練り消しゴムと30年間も付き合っています。長持ちしますよ。^^
第1回個展出品作品 車 1996 F10 鉛筆画 中山眞治
初心者向け静物の鉛筆画や鉛筆デッサンの基本ステップ
第1回個展出品作品 胡桃のある静物 1997 F10 鉛筆画 中山眞治
静物の鉛筆画や鉛筆デッサンは、基本的な絵画技術を習得するための、最適な練習方法です。本章では、初心者の人でも迷わずに始められるように、静物の鉛筆画や鉛筆デッサンを行う際の基本ステップを紹介します。
静物の鉛筆画や鉛筆デッサンに最適な静物の選定と配置方法
鉛筆画や鉛筆デッサンを始める前には、描きたい静物を選びますが、初心者の人は、絵画教室へ通うことができれば、教室に「石膏モチーフ(立方体・直方体・円錐・球体・三角錐等々)」がたくさん揃っているのでオススメです。
これらの石膏モチーフでは、光と影の状態を「つぶさに観察できる」という大きなメリットがあります。この経験をしっかり身に着けると効果的です。
これによって、光の方向と影のでき方などが学べ、それが基礎となって、さまざまなモチーフにできる影についての考察もできるようになれます。また、教室では講師から「描き方の基本」をしっかりと教えてもらえますので、上達の近道です。
しかし、もしも、自宅で「基本の制作を試みる」場合には、白い卵・白無地のマグカップ・白無地のカップ&ソーサー・などでも代用できます。また、それ以外にもモチーフは、調理器具及び野菜や果物など、何でもモチーフになります。
あなたの取り組む気持ち次第で、何でもモチーフになるということです。「空き缶」や「目玉クリップ」「空きビン」「使い古した靴」でさえモチーフになるということです。
初心者でもわかる輪郭線の描画テクニック
最初に、軽く鉛筆で輪郭線を描きますが、大きく輪郭を取る際には、Bや2Bの鉛筆を人指し指・中指・親指で軽く「つまむ」ように優しく軽く持ち、大きく肩と腕を振るって描くイメージで進んでいきましょう。
また、その際には、モチーフを画面の中に収める位置・形・大きさ・バランスだけを考えて描き進みます。
このステップでは、モチーフの大まかな輪郭と位置を捉えることが重要です。細かいディテール(詳細)はここでは描かず、全体の構成に集中しましょう。
尚、この制作を続ける中で、「この線だ」と思える線に出会えますので、その調子で全体を描いていきましょう。そして、この全体の輪郭線が描けたところで、「一旦休憩」を入れましょう。
この「一旦休憩」を入れることはとても重要なことで、休憩後に改めて画面を見てみると、修整するところがたくさんあることに気づけます。筆者も毎回そのようにしていますが、この点検を怠って「行き詰った」ことが何度もあります。^^
あなたも、全体の輪郭線が描けたところでは、必ず「一旦休憩」をはさんで、しっかりと改めて位置・形・大きさ・バランスの点検をしましょう。
大きなバランスやサイズなどは、後から描き直すとなると、大規模な修整が必要になり、きれいに消せたとしても画面の表面が荒れてしまうからです。
光と影を観察してリアルに描く方法
第2回個展出品作品 貝のある静物 1997 F10 鉛筆画 中山眞治
そして、この点検が終わりましたら、今度は鉛筆の持ち方を「文字を書くときの握り方」に変えて描き進むのですが、改めて輪郭をなぞる場合には、2段階明るい鉛筆で優しく形を整えましょう。
その理由は、濃い鉛筆でしっかり輪郭を取ってしまうと「不自然な作品」になってしまうからです。あなたが、2Bでデッサンしていたとすれば、HBで優しく形を整えるということです。
輪郭線が描けましたら、次に光と影を観察します。どの部分が最も明るいか、どの部分が影になっているかを把握し、一番濃い色の所から描き始めて、徐々に明るいところを描くようにすると描きやすいです。
影の部分はより濃く、光が当たっている部分は白抜きにすることで、立体感を出すことができますし、背景に濃いトーンを配置することで、白抜きしたところが、「輝いて見える」効果も出せます(上の作品を参照してください)。
鉛筆画や鉛筆デッサンでディテールと質感を追加する方法
出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 高沢哲明 氏
出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 石原崇 氏
全体の形や光と影のバランスが取れましたら、次は細部のディテール(詳細)を加えます。質感を表現するためには、鉛筆の筆圧を変えたり、異なる硬度の鉛筆を使用したりします。
例えば、布は柔らかい線で、金属は硬くはっきりとした線で表現します。上の画像を参照してください。
鉛筆画や鉛筆デッサンの最終的な修整と仕上げのポイント
最後に、全体を見渡してバランスや形が自然に見えるか確認します。必要に応じて線を強調したり、不要な線を消したりして、作品の完成度を高めます。
そして、全体のバランスを確認できた後には、完成度を高めるために、「もっと光と影を強調できないか」と何回も自身に問いかけてください。この度重なる見直しが、完成度を高めることを忘れないようにしましょう。
その手法として、「翌日改めて作品を観てみる」ことをオススメします。絵画も文章と同じです。翌日に改めて観てみると「修整すべき点がたくさん見つかる」のは、筆者が毎回経験していることです。
また、最後には必ず「サイン」と「制作年月」なども小さく入れておきましょう。その後、「フィキサチーフ」の吹き付けも重要です。
フィキサチーフは、寒い時期には、バケツや洗面器にお湯を入れて温め、「よく振って」吹き付け過ぎないようにも注意しましょう。あまり吹き付け過ぎると「少し黄ばむ」こともあります。
これらのステップを踏むことで、静物デッサンの基本をマスターし、さらに複雑なモチーフにも挑戦できるようになれます。何よりも、観察力と表現力が鍛えられることがデッサンや鉛筆画の大きな魅力です。
初心者が陥りやすい鉛筆画や鉛筆デッサンの間違いとその修整方法
水滴Ⅴ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画や鉛筆デッサン初心者がよく陥る間違いは、技術的な面だけでなく、心構えにも関連しています。本章では、そのような間違いと、それを修整する方法を解説します。
初心者の人が線を強く描きすぎる問題と対策
多くの初心者の人は、不確かな線を強い筆圧で描いてしまいがちです。これは消しゴムで修整が難しくなると同時に、作品全体の印象を硬くしてしまいます。
修整方法: 線を引く際は、軽いタッチで描き始め、形が確定してから必要に応じて筆圧を強めます。常に最小限の筆圧で、鉛筆画や鉛筆デッサンを進める習慣をつけましょう。
比例感覚の欠如を克服する方法
初心者の人は、しばしば描くモチーフの比例を見誤ります。特に、静物を描く際の、例えばビンを描く場合などでは、注ぎ口部分の口径が太かったり細かったり、あるいは、胴体のふくらみ加減が間違っていたりします。
修整方法: 常に、全体のバランスを意識しながら描くことが重要です。線を描く前に、モチーフの大まかな比例をチェックし、必要であれば補助線を使って修整します。
細部にこだわりすぎるデッサンの改善方法
多くの初心者の人は、全体の構成を考える前に細部のディテールにとらわれがちです。これは作品全体の印象を損ねる原因となります。
修整方法: 最初は、位置と大きな形と構成に焦点を当てて、全体のバランスを取りながら徐々に細部へと進んでいくようにしましょう。全体像を把握した後で細部に修整を加えることが効果的です。
尚、小さな下絵(エスキース)で、何度も描いては消し、描いては消しを繰り返しながら、一番効果的な構成(配置)を検討しましょう。
光と影を無視する鉛筆画や鉛筆デッサンの問題と解決策
鉛筆画や鉛筆デッサンで立体感を出すためには、光と影の扱いが極めて重要です。初心者の人はしばしば、これを疎かにして平面的な描写になりがちです。
修整方法: 描くモチーフのどこに光が当たっているか、どの部分が影になっているかを常に確認し、それに応じた濃淡を付けていくことが重要です。始めに光源を確認し、それを基に陰影を配置しましょう。
これらの一般的な間違いを意識して、それぞれの修整方法を実践することで、鉛筆画や鉛筆デッサンの技術を確実に向上させることができます。毎回の練習でこれらのポイントを見直すことが、上達への近道となります。
鉛筆画や鉛筆デッサンにおける比例と構成の重要性
出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志 氏
出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志 氏
鉛筆画や鉛筆デッサンにおいて比例と構成は、作品の質を大きく左右する要素です。本章では、なぜこれらが重要なのか、そしてそれをマスターするためのポイントを説明します。
比例の理解がもたらす鉛筆画や鉛筆デッサンへの影響
比例とは、モチーフの各部分のサイズが全体との間でどう関連しているかを示します。正確な比例を把握することで、リアルな描写が可能になり、視覚的な誤解を避けることができます。
間違った比例では、鉛筆画や鉛筆デッサン全体の説得力が損なわれ、観てくださる人に不自然さを感じさせてしまいます。
比例を正確に捉えるためのデッサンテクニック
比例を正確に捉えるためには、モチーフを単純な形に分解して観察することが効果的です。
例えば、人物の顔を描く際の例で例えるならば、目、鼻、口の位置関係をチェックし、それぞれが顔全体のどの位置に来るべきかを考えます。
また、モチーフの一部分を基準にして、他の部分の大きさを比較する「比較測定」も有効です。
鉛筆画や鉛筆デッサンにおける構成の役割と重要性
構成とは、画面上で各要素がどのように配置されるかを決定するプロセスです。強い構成は、視覚的な流れを作り出し、観てくださる人の目を意図的に誘導することができます。
全体のバランスを取りながら、モチーフを配置することで、作品に調和とリズムをもたらすことも可能になります。
そのためにも、あなたが楽しんで描くことに集中できて、5作品ほど制作して「描くことにある程度慣れ」て来て、「描く以上は各種展覧会や公募展にも出品したい」と考えるならば、より一層画面構成を引き立てられる考察が必要です。
そこで、「構図」を研究し始めることや、描く以前の充分な「構想を練る」ことも必要になりますので、その際には次の2つの関連記事も参照してください。
尚、繰り返しになりますが、制作を開始した当初は、「構図」だの「構成」だの「構想を練る」だのと、色々考えないで「楽しんで描くこと」が一番重要であることを記憶しておきましょう。
また、この場合には、できるだけ「複雑な形及び模様や柄」のあるモチーフは選ばないことです。「修行状態」になってしまい、挫折してしまうからです。複雑な咲き姿の花もそうですよ。覚えていてくださいね。^^
関連記事:
効果的な鉛筆画や鉛筆デッサンの構成を作るためのアプローチ
良い構成を得るためには、まず全体の構成を構図に基づいて検討し、その中でモチーフをどのように配置するかを決定します。
例えば、一つの例を取って説明すると、画面縦横の三分割法を活用することで、取り扱うモチーフを主要な交点へ配置することで、自然でバランスの取れた配置も可能になります。
また、視点や視線の流れを意識することで、より力強い構成を生み出せます。鉛筆画や鉛筆デッサンでの比例や構成を意識することは、作品に深みとリアリズム(写実)をもたらします。
これらの要素は、視覚的なコミュニケーションの基本であり、練習を重ねることで自然に身につけることができます。
尚、構図に基づく構成をする際に、あなたの考える高さ及び幅や不要な模様などは、「あなたの考える、見映えのする寸法や状態へ変更」すればよいのです。
それは、「デフォルメ」と呼ばれていますが、削除・修整・拡大・縮小・つけたし等、何でもありです。つまり、あなたの感動を観てくださる人へどのように伝えるかが鍵なのです。
風景画で例えるならば、実際には電柱や電線があったとしても、すべて省略して制作することなどは、当たり前に行われていることを覚えておきましょう。どうです?少し楽になったでしょう。難しいことではありません。
鉛筆、インク、ボールペンでのモノクロ描画の使い分け
蕨市教育委員会教育長賞 ランプの点(とも)る静物 2000 F30 鉛筆画 中山眞治
モノクロの鉛筆、インク、ボールペン、チャコール(木炭)は、それぞれ独自の特性を持ち、デッサンに異なる表現をもたらしてくれます。本章では、これらの異なる描画材料を効果的に使用する方法を掘り下げていきます。
鉛筆画や鉛筆デッサンでの描画の基本技法とコツ
鉛筆は、デッサンの最も基本的な道具の一つで、濃淡の表現に優れています。硬度によってさまざまな線の質感を出すことができるので、微妙な陰影技法に適しています。
初心者の人は冒頭で説明しましたように、基本の7本の鉛筆(2H・H・HB・B・2B・3B・4B)から始めて、あなたがこの先も、鉛筆画や鉛筆デッサンを続けていけるならば、徐々にトーンの幅を広げていけばよいでしょう。
因みに、どこでも購入できる鉛筆の幅は、10Hから10Bまであります。FというHとHBの中間色の鉛筆を含めると、合計で22本にも及びます。
インクでの描画の魅力とその活用法
インクはその濃厚な黒さと流れるような線で、強い印象を与える作品創りに適しています。
ペン先の種類によって異なる線の太さや質感を生み出すことができるため、動的な表現も可能です。水彩のように薄めて使用することで、独特のグラデーションを楽しむこともできます。
ボールペンの利点とデッサンでの活用方法
ボールペンは乾燥が速く、非常に細かい線を安定して描くことができるため、細部の表現や細密な線描きに適しています。
また、ボールペンは押し出されるインクの量が一定なので、一貫した線質が得られ、技術的な描写や機械的なモチーフのデッサンに最適です。
チャコール(木炭)での描画特性と効果的な使い方
チャコールは、その柔らかさと豊かな黒さで知られ、力強い表現と深い陰影を簡単に作り出すことができます。
チャコールを使う際は、寝かせて使えば、大胆なストロークで広い範囲をカバーすることができるため、動きのある表現や大きなサイズの作品に適しています。
また、指やティッシュで擦ることによって、簡単にぼかすことができ、柔らかい質感や、煙や霧のような効果を表現するには理想的です。
始める前に、異なる硬さのチャコールを試してみると、それぞれが持つ特性を理解しやすくなります。
鉛筆画や鉛筆デッサンで素材を組み合わせて表現する方法
これらの異なる素材は、単独で使うだけでなく、組み合わせることで、より豊かな表現も可能になります。
例えば、鉛筆で軽く下描きをした後、インクで主要な線を引き、ボールペンで細部を追加するなど、各素材の特性を活かした多層的なアプローチが推奨されます。
これらの異なる描画材料を使いこなすことで、デッサンの表現幅が広がり、より多様な作品創りが可能になるでしょう。
それぞれの特性を理解し、適切に組み合わせて使うことが、作品の質を向上させる鍵にもなります。
ただし、これらの素材の中で、鉛筆は一番弱いトーンになりますので、慎重に組み合わせを考えて使用しなければ、作品のバランスを崩してしまう可能性もあるので注意しましょう。
静物の鉛筆画や鉛筆デッサンの構成を実例で学ぶ
第1回個展出品作品 胡桃のある静物 1997 F10 鉛筆画 中山眞治
静物の鉛筆画や鉛筆デッサンは、モチーフの配置や光の当たり方が作品の出来を大きく左右します。本章では、効果的な設定の実例を通して、どのように静物を配置するかを学びます。
実例1: フルーツと花瓶の組み合わせの描き方
フルーツと花瓶を組み合わせた構成は、色と形の対比を楽しむことができるクラシックな例です。フルーツは明るい色を選び、花瓶はシンプルな形状を選ぶことで、両者のバランスを取ります。
配置する際は、フルーツを前面に、花瓶を少し後ろに置くことで奥行き感を演出しましょう。
尚、丸い果物に、丸い花瓶のように、丸いものだらけであると、変化に乏しくなります。そこで、例えば、丸い果物を四角い入れ物に盛ったり、花瓶は細長い一輪挿しにしてみるなどの変化も検討しましょう。
実例2: 古い書籍と眼鏡の静物デッサン
古い書籍を数冊積み重ね、その上に眼鏡を置くことで、時間の流れや静けさを感じさせる構成になります。
書籍はページが少し開いている状態にし、眼鏡は光が反射する角度で配置することがポイントです。
尚、「六法全書」の横に「砂時計」を置いて、「少年老い易く学成り難し」を表現することもできます。面白いでしょう?このような暗示は、「心象静物」とでも名付けられそうですね。^^
実例3: 陶器と布の静物デッサンテクニック
陶器の質感と布の柔らかさは、素材の対比を強調するのに適した組み合わせです。陶器は中央に配置し、布は流れるように陶器の周りに配置することで、形と質感の両方を引き立てられます。
光源を布の一端に当てることで、布のしわの影を強調し、更なる立体感を出すこともできます。
実例4: 金属製モチーフと木の素材を使った描き方
金属製のモチーフと、木の板や小物を組み合わせると、光の反射と吸収の違いを学ぶ良い機会になります。
金属製のモチーフは光を強く反射するため、それが木の素材の自然な質感とどのように異なるかを観察することが重要です。
この構成では、光源の位置を変えながら、どのように影響が変わるかを試してみましょう。
これらの実例を通じて、静物の鉛筆画や鉛筆デッサンの配置の技術を習得し、自らの作品に応用することができます。静物を配置する際には、常に光と影、素材の質感、そして全体の構成を意識することが極めて重要です。
鉛筆画や鉛筆デッサン上達への近道!日常でも簡単にできる練習法
午後の寛ぎ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画や鉛筆デッサンの技術を向上させるには日々の練習が欠かせません。本章では、日常生活の中で簡単に取り入れられるデッサン練習法を紹介します。
毎日のスケッチでデッサン力を高める方法
毎日決まった時間に、小さなスケッチブックに何かを描く習慣をつけましょう。
例えば、コーヒーカップ、机の上の小物、窓辺の風景など、日常のありふれたものを題材に選びます。この習慣は、観察力を養い、手と目の協調を向上させる効果があります。
制限時間を設けた鉛筆画や鉛筆デッサンの練習法
時間制限を設けて鉛筆画や鉛筆デッサンを行うことで、素早い決断力と効率的な描画スキルが身につきます。
例えば、5分間で完結するスケッチを毎日行うことで、どの部分を省略し、どの部分に焦点を当てるべきかの判断力が鍛えられます。
この短時間描写は、クロッキーと呼ばれますが、せいぜい長くても10分程度ですので、短時間ながら集中して取り組むことを日課にできれば、練習にもなります。
一方で、一つの作品を毎日少しづつ制作していくことでも、上達の道筋にもなります。尚、その場合であっても、週に一日くらいは休日に、しっかり時間を取って細密描写までを含めて、作品作りに取り組みましょう。
筆者は、一番最初のF10の作品を制作した際には、50時間もかかっていましたが、慣れるにしたがって、どんどん制作時間を短縮していくことができました。一番乗っていた時には、ゴールデンウイークの5日間でF10を3作品制作したこともあります。
参考:クロッキーのすすめ – デッサンや画材、表現について – | イラストレーションコース | コース別ブログ|アートスクール大阪 (art-school.co.jp)
異なる視点から描く鉛筆画や鉛筆デッサンの効果と方法
普段とは異なる角度や高さから物を見て描くことで、空間認識の能力が向上します。いつも座って描くのであれば、立って、または物体の上部や側面から見下ろして描くことで、新たな発見があります。
反射物を使った鉛筆画や鉛筆デッサンのテクニック
鏡や水面などの反射を利用して描く練習を行うと、対象を異なる視点から捉える能力が養われます。これにより、物体の形状や光の反射など、より複雑な視覚情報を処理する能力が向上します。
既述していますが、A4サイズやB4サイズの「黒い下敷き」を一枚購入しておくと、その上にあなたの意図しているモチーフを乗せて描くことで、「素晴らしい」影までも制作に取り入れることができます。
トーンの濃淡を使った鉛筆画や鉛筆デッサンの技法
モノクロで描くことは、色に頼らずに濃淡だけで物体を表現する技術が身につきます。鉛筆やチャコールを使って、異なる濃度で陰影をつけることで、立体感のある鉛筆画や鉛筆デッサンが可能になります。
これらの練習法を日常生活に取り入れることで、鉛筆画や鉛筆デッサンのスキルは着実に向上します。少しの時間と、意識を変えるだけで、驚くほどの進歩が見込めるでしょう。
毎日コツコツと練習を積むことが、上達への最短ルートです。そのためにも、「楽しんで描くためのコツ」を記しておきます。
それは、時間的にも体力的にも無理をしないで、たまには展覧会や美術館へ行って他のアーティストの作品を観て刺激を受けることや、あなたの住まいの近くの公募展(市や区)への出品を目標にしましょう。
あなたの住まいの近くの、公募展(市や区)の出品規定を取り寄せるかネットで確認して、最初は一番小さい作品から出品してみませんか?
入選できましたら、今度は、出品規定最大の大きさで、出品規定最多の作品で出品することで、「入賞」を狙いましょう。
そのためにも、「構図」を研究し、「構成」を考え、「充分な構想を練る」ことが必要になります。しかし、難しいことはありません。
一番簡単な構図から取り組んで、その構図に沿った、あなたの描きたいモチーフを配置して、色々とレイアウトを考えながら、必要ならば、構図を暗示するためのモチーフも投入してみるのも面白いです。
これが構想を練るということであり、観てくださる人へどのようにアピールするかや、あなたの強調したい部分をいかに強調できるか、あるいは画面全体を使い切って、より魅力的な構成にする方法を考えるということで、入賞率を高められます。
まとめ
第2回個展出品作品 灯(あかり)の点(とも)る窓辺の静物 2000 F100 鉛筆画 中山眞治
静物の鉛筆画や鉛筆デッサンは、絵画の基本を学ぶための絶好の方法です。初心者の人にとって、モチーフの形状や陰影を正確に捉えることは難しい課題ですが、基本的な技法とコツを知ることで、その難しさを克服することができます。
まず、静物の鉛筆画や鉛筆デッサンの基本技法には、観察力を鍛えることが重要です。観察力が高まると、モチーフの形や陰影をより正確に捉えることができて、作品全体のバランスも良くなります。
そのためには、実際に手元にある静物をじっくりと観察し、細部まで見逃さないようにすることが大切です。
次に、鉛筆画や鉛筆デッサンの基礎となるのが、形の捉え方です。あなたの制作する画面に、位置・形・大きさ・バランスを捉えることに集中して、大まかな形を描きます。
その後、細部に注意を払いながら、形を修整していきます。このプロセスを繰り返すことで、正確な形を描く能力が養われます。
陰影の描写も、静物の鉛筆画や鉛筆デッサンにおいて重要な技法の一つです。光の当たり方や影の付き方を観察し、鉛筆の使い方を工夫して、リアルな陰影を表現する練習をしましょう。
そして、描き方の手順としては、一番色の濃いところから徐々に明るいところを描いていくことで、描きやすさが増します。そして、濃淡の差をしっかりとつけることで、立体感のある作品が完成します。
また、初心者の人が上達するためには、継続的な練習が欠かせません。毎日のように鉛筆画や鉛筆デッサンを行い、少しずつ技術を磨いていくことが大切です。最初は思うように描けなくても、練習を重ねることで確実に上達できます。
尚、静物の鉛筆画や鉛筆デッサンを学ぶことで、観察力や描写力が飛躍的に向上します。これらの技法とコツをしっかりと身につけて、楽しんで、且、自信を持って鉛筆画や鉛筆デッサンに挑戦してください。
ではまた!あなたの未来を応援しています。