簡単に鉛筆画・デッサンが描ける!初心者から中級者向けの基本マスター術

デッサン

 どうも。鉛筆画家の中山眞治です。今年はいろんなことがあり過ぎて、つくづく生活しにくさを感じます。最近はダムの貯水率が気になる今日この頃ですが、元気でお過ごしでしょうか。^^

 ところで、簡単に鉛筆画・デッサンが描けるようになりたいですか?この記事では、初心者から中級者向けの基本テクニックを紹介します。まず、正確なデッサンが大切です。

 鉛筆で描くときの姿勢や筆圧をコントロールする方法、円や楕円をデッサンする際のポイントなどを解説します。さらに、光の方向や影の効果的な使い方、鉛筆画の調子や質感の表現方法も紹介します。

 自然の仕組みを理解することで、よりリアルな鉛筆画が描けます。この記事を参考にして、自分のスキルを向上させ、鉛筆画・デッサンの基本をしっかり身につけましょう。

 手を動かすことで、自然と技術が上達します。アーティストとしての一歩を踏み出し、自分だけの作品を楽しく描いてください。

 それでは、早速見ていきましょう! 

鉛筆画・デッサンを正確に描くための基本的なこと


          グロリオーサ 1995 F10 中山眞治

描く姿勢

 絵画を正確に描くためには、体をモチーフ(描こうとする対象物…画題)の正面に向け頭を動かさず、目の動きだけでモチーフと画面が見える状態にすることが基本です。

 イスに腰かけて描くときは、足を組まずに深く掛け、背筋をまっすぐに伸ばした姿勢をとると、長時間描いても疲れません。

モチーフと画面の関係

 モチーフの形や位置を正しく描く基本は、常にモチーフと画面を比較しながら描き進めることが必要です。例えば、画面に垂直、水平の基準を設定し、それを元にモチーフと比較しながら進めるのも1つの方法です。

鉛筆画・デッサンを描くための隠れた形のとらえ方

 モチーフの一部が裏側に隠れたり、あるいは、別の素材に包まれたりして実際には見えていなくても、物と物が接している部分の形を表すこともデッサン制作上の大切な要素です。

 例えば、服を着た人物は体の表面に服をまとっているので、体の線を意識できているデッサンはリアリティーがでます。

 また、紙袋に入った物を暗示させるためには、紙袋の内側から紙袋が膨らんでいる形をとらえることも重要です(リンゴなどであれば、内側から丸く盛り上がっているような状態です)。

 尚、平らな台に乗っている複数の静物を描く場合は、個々のモチーフの位置関係、距離感も正確にとらえなければなりません。そのためには、まず台と接している個々のモチーフの底面から制作をすすめていくことが基本です。

デッサンと鉛筆画の違いとは?

デッサンとは立体を平面に落とし込むことです

 デッサンと鉛筆画の違いは、元来デッサンとは立体のものを両目で見て、その情報が脳内で像を結び、そこから情報を整理してどう描くか考え、実際の「立体」を「平面」に落とし込む作業です。鉛筆デッサンとは、この作業を鉛筆で行うことを指します。

 尚、それ以外にもデッサンでは、彩色デッサンには水彩画を用いたり、木炭によるデッサンもあります。つまりデッサンにおいて画材は、幅広く使えることになります。

 一方、写真などの模写の場合は「立体のものを平面化し、情報を整理する」という部分までをカメラが処理してくれた結果を描くので、情報をまとめるという練習にはなりませんが、この部分を飛ばすのでテクニックを練習するには向いています。

鉛筆画とは実際のデッサン・写真・想像画・抽象画などさまざまなモチーフを包含し、構図に基づいて構成したものです

 鉛筆画とは、実際のものや写真及び想像画や抽象画などあらゆるものを包含して、貪欲に鉛筆で仕上げた作品のことを指しますので、実在するモチーフや写真の画像をあなたのイメージで構成して完成させることができるのです。

 このように、「立体から平面」というデッサンと「平面から平面」という写真の模写とは目的がちがいますが、それらを合成したり、そこへ肉付けやデフォルメ(省略や強調)を行い細部にわたり描き込んで仕上げているのが鉛筆画です。

 下記の作品は、私の「心象風景」です。あなたもイメージを膨らませ、全体の構図を考えて、そこに実際のデッサンや過去に撮りためた画像などを組み合わせて構成し、あなたの世界を創り出すことができます。


            国展 会友賞 誕生2013-Ⅰ F130 中山眞治

鉛筆画・デッサンで円と楕円を描く際の注意点


          出典作品:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 大寺聡氏

 円柱などの円形を包含するモチーフの円の描き方は、見る角度によって楕円に変化して描かれます。このような対象を描く場合、楕円の中心軸と長軸を直角にすることが基本となります。これを守らないと、回るべき車輪も回転するようには見えませんし、モチーフも斜めに立ってしまいます。

 尚、楕円形の長軸とは、楕円形の距離の長い部分の直径の呼び方であり、楕円形の距離の短い方の直径を短軸と呼びます。これ以外にも、呼び方として斜軸というものもありますが、そういう見方と呼び方もあるという程度で理解しておきましょう。

鉛筆画・デッサン制作における正中線のとらえ方

 人物などの、生き物の体の中心に沿って左右に分割できる線を正中線と言います。この正中線を基準にすると、人物の複雑なポーズもデッサンとしての形態感(面と面が組み合わさり、立体的な形ができている状態)がつかみやすくなります。

 これは、たとえば動きのある人体や魚の泳いでいる形態であっても、常に正中線は存在するので、その正中線を意識したデッサンをイメージすることが必要です。

鉛筆画・デッサン制作における自然の仕組みを理解することの重要性とは


    出典作品:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志氏・大寺聡氏

 ところで、自然の動植物などを観察すると、それぞれが構造上何らかの規則性を持っていることに気づきます。植物の葉の付き方、樹木の枝ぶりなどから自然の成り立ちを知ることも、広い意味でデッサンにつながります。

 そして、リンゴはよく見ると、5角形で5つの面を持っています。これは、リンゴの花が5弁なので5面の実を結ぶのです。また、サザエは中心軸に対してらせん状に突起や穴がついています。

 尚、モチーフをしっかり観察するということはデッサンの基本であり、かの「ゴッホ」も幼少期には、自然の観察に明け暮れたことが伝記に書かれています。

鉛筆画・デッサン制作時の形態を表すタッチについて


        出典作品:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 大寺聡氏

 本来、モチーフにタッチがあるわけではありませんが、鉛筆画・デッサンではタッチを用いて面の方向や形態を表現できます。

 尚、タッチとは、「モチーフの形状の成り立ちを印象として判別できる手法」という解釈がありますし、「画面上に残された筆や絵具の跡が作家の個性を表わす要素」という見方もできます。

 そして、モチーフが前光(真上からの光)の状態で、調子がわずかしかない場合や、白いモチーフをあまり黒くせずに表現したい場合にタッチを使い分けると効果的です。

 立方体では、3つの角度が出るように3種類のタッチを使ったり、円柱の場合には、円柱の長軸の方向と丸みに沿ったタッチを重ねます。

 布においては、シワに沿ったタッチ・人体では、輪郭線の近くの面に沿ったタッチ・樹木の場合には丸みを表すタッチと幹の方向に沿ったタッチであらわしたりします。尚、白い花などでは、花弁の筋に沿ったタッチを使います。


                  出典作品:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志氏

鉛筆画・デッサン制作時の模様と文字の描き方


       出典作品:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志氏

 ビンや缶のラベルや、箱に描かれた文字や模様を描写するときには、形態に沿って変化することを理解する必要があります。

 立方体や円柱の場合は、透視図法(ある一点を視点とし、物体を人間の目に映るのと同様に遠くを小さく近くを大きく描く画法)を応用すると良いでしょう。

 布地のように、「不規則なシワ」ができる場合は、モチーフにシワが全体的にどのように入っているかなどをしっかり把握してから描写するようにしましょう。

 尚、開いた本に書かれている文字などは、紙面のカーブに沿って図柄や文字が変化しますし、布地のストライプは隠れた部分の連続性(つながり)を考え、また、両端の位置を決めてからストライプの柄による画面分割を行うと良いでしょう。

鉛筆画・デッサン制作時の光の方向と影について


                 出典作品:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志氏

 光の方向は、前光(順光とも言います…真上からの光)、側光(横からの光)、逆光(後ろからの光)の3つに分けて影の形の違いを基本的に理解することが必要です(ここでの前光は、分かりやすくするために、やや斜め上からとします)。

 また、影は面の形態に沿ってできるので、影を描くことによって描き表わせなかった部分の形状も表現できます。光の方向を前光、側光、逆光の3つに分けて影の形の違いを基本的に理解することは大切です。

鉛筆画・デッサン制作時の表現要素とは


                        昼下がりの桟橋 1996 F10 中山眞治

 鉛筆画では、描くモチーフの何を強調したいかで、表現方法が違ってきます。実際には、明暗で大まかな形をとってから線を強調したり、明暗でとらえながら質感を表現したりします。

 デッサンとは、いくつかの表現方法が併用されて成り立つものです。例えば、単なる輪郭線で描かれたものは立体感がありませんが、明部と暗部の調子で立体的に表現することもできますし、塗装した金属、ガラスなど材質を表現することもできるのです。


                  出典作品:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 石原崇氏

 また、量感では、小さな部分は省略して、大きな塊として表現することもできますので、表現の意図によって使い分けることができます。

鉛筆画・デッサン制作時の調子の出し方とは?


                   出典作品:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志氏

 鉛筆画・デッサンを制作する上での調子は、大きく分けると明部・中間部・暗部の3段階になります。明部の調子は粒子が淡くザラザラしていて、視覚的作用として画面全体が暗い場合に、明るい部分は手前に出て見えます。

 暗い調子は、粒子が細かくしっとりして、暗くなるほど紙の目をつぶすことになりますので、奥へ引っ込んで見えるのです。

調子と色

 色のあるモチーフを鉛筆の濃淡だけの調子に置き換える場合、濃い色は柔らかい鉛筆を使い、淡い色は硬い鉛筆を使うのが基本です。また、背景や物との関係で淡い(明るい調子)、濃い(暗い調子)を対比させて表現することができます。


                   出典作品:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 大寺聡氏

                          葡萄 1997 F6 中山眞治

調子の硬軟

 同じ明度でも、2Hでつくる調子と6Bで作る調子とでは質が異なります。2Hでは紙の目がつぶれて鈍い調子になり、6Bでは荒くざらざらした調子になります。

 この質の違いを利用して、ガラスや金属などの硬質なものは硬い鉛筆を使い、布や毛糸のような柔らかいものは軟らかい鉛筆で描くとよいでしょう。

鉛筆画・デッサン制作時の質感の表現について


                   出典作品:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 高沢哲明氏

 硬い、軟らかい、光沢のあるなし、ツルツル、ザラザラなどモチーフそれぞれの質感の違いは、調子のコントラストの差となって表れます。

 ガラスや金属などの硬いものは、光沢があるので調子の明暗の対比の差が大きくなりますが、布や人の肌など柔らかいものには光沢はありませんので、調子の変化は小さくなります。

 質感を表すコツは、ハイライトや陰影の変わり目を的確にとらえ、硬い鉛筆と柔らかい鉛筆とを使い分け、筆圧の差で描き分けることになります。

衣服の質感


                  出典作品:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 高沢哲明氏

 衣服の質感は、シワや折り目に表れる調子の微妙な変化を少し誇張して描くことが、決め手になります。

 そのためには軟らかめの鉛筆を寝かせ気味にして筆圧を抑えて何度も重ねて描き、最終的に強調したいポイント部分となるハイライトを練ゴムで拭き取る(描き起こす)とよいでしょう。

野菜の質感


                          野菜 1996 F10 中山眞治

 全体の形態をしっかり掴んでから質感を描写することが基本です。表皮の凹凸や肌合いの違いで、調子のつけ方が変わってきますが、全部の質感を均一に描いてはいけません。

 モチーフの特徴が際立って表れているところを基準にして、質感表現の強弱にメリハリをつけるとよいでしょう。

 言い換えれば、モチーフの特徴をハッキリと強調するために、力の入れどころ、抜きどころがあった方が全体の調和が保てるデッサンということになります。

 具体的には、強調したいところを細密に描き込み、それ以外のところには、細密描写を抑えて描くというようなことです。

モチーフを理解する

 よくモチーフを観察して、モチーフの成り立ちを理解して描くということが鉛筆画・デッサンの原則です。例えば、描く位置からだけモチーフを見るのではなく、可能な限り視点を変えて正面、横、上などからも見て全体像をつかむことが効果的です。

 そうすることで「この視点からは対象の形がこう見えなければならない」ということが理解できて、デッサン力も向上します。

まとめ

 今回の、「簡単に鉛筆画・デッサンが描ける!初心者から中級者向けの基本マスター術」では、描くことの基本を見てきましたが、最初からこれらのことすべてを何が何でも作品に盛り込もうとすると挫折します。

 あくまでも基本的なこととして理解して、まずは描き始めることを優先させましょう。そして、たまに時間があるときなどに、繰り返し繰り返し、描いていく各段階でこれらのことを考えていくような状態がベストだと私は思いますし、私自身もそのようにしてきました。

 あなたは、もしも画家になりたいのであれば、私のように高卒で過去に全く絵を描いたことがなくても、自分自身の中の埋もれている「可能性」を目覚めさせる努力さえできれば実現できます。

 完成度が高く、人を惹きつけられるような、自分自身で納得できる作品をどのように制作するかを考えることが大切です。まずは、基礎を学んだあとに自分でいろいろ試行錯誤して、最初は思い切って、市の展覧会や公募ガイドなどに載っている企画などにどんどん出品してみましょう。

 やってみなければ解らないことはいくらでもあります。おじけづかないで、のびのびと楽しんで取り組んでいきましょう。

 個展や県展・全国公募展へ出品するのは、はっきり言って最初は「ドキドキもの」ですが、大胆に行くことも人生必要です。振り返ってみると、意外に大きな壁ではありませんよ!

 尚、あなたが展覧会や公募展へ出品を希望する際には、ただモチーフを上手に描けるだけでは入選できません。それは、あなたの制作する画面全体を使って、作品全体を魅力的な構成にする必要があるのです。その内容について興味のある人は、次の関連記事を参照してください。

関連記事:鉛筆画・デッサンの魅力を最大限に引き出す!構図導入の必要性と方法とは?

 ではまた!あなたの未来を応援しています。

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