どうも。私は、プロ鉛筆画家の中山眞治です。
さて、鉛筆画や鉛筆デッサンの世界に足を踏み入れたばかりのあなたへ、人物を魅力的に描く秘訣をお教えします。鉛筆だけで表情豊かな人物像を描くのは難しそうに思えますが、適切な方法とアプローチを実践することで、それは難しいことではなくなります。
この記事では、初心者の人が人物を描く際の基本的なポイントから、線の引き方、陰影の入れ方、そして表情をリアルに描くコツまで、幅広くご紹介します。手元に鉛筆を準備して、私と一緒に人物画の魅力を探ってみませんか?
それでは、早速見ていきましょう!
基本のキホン!鉛筆の種類と選び方
鉛筆画や鉛筆デッサンを始める上で、最初に向き合うのが「どの鉛筆を選ぶか」という疑問です。鉛筆はその硬さや色の濃さによって、描き方や表現の幅が異なります。
ここでは、鉛筆の基本的な種類とその特性、そしてあなたの目的に合わせた選び方のポイントを紹介します。
鉛筆の硬さの基礎知識
鉛筆の硬さは、HとBの文字と数字で表されます。Hは硬め、Bは柔らかめを示します。数字が大きいほどその特性が強まります。
例えば、4HはHよりもさらに硬く、4BはBよりも柔らかいという意味になります。硬い鉛筆は線が細く、柔らかい鉛筆は濃淡が豊かになります。
初心者におすすめな鉛筆の種類
初心者が鉛筆を選ぶ際には、最初はBや2Bの鉛筆を選ぶのがおすすめです。それは、軟らかい鉛筆で、楽な姿勢でイメージを大胆に自由に描線する際には、人指し指・中指・親指でつまむように持つ「画家の持ち方」で臨むのがベターだからです。
この持ち方は、自由に大きく手を振って全体の輪郭の描写をすることに適しています。つまり、あまり力を入れずに全体を描くわけですから、それでもスケッチブックや紙などの画面に軌跡を残せられ、且、たくさん描いた線は優しく描いているので、のちに整理しやすいからです。
そこで、あなたがこれから鉛筆を購入する段階であった場合には、2H・H・HB・B・2B・3B・4Bの合計7本を揃えれば当面の制作ができます。あなたが、これからも鉛筆画・デッサンを続けていける決心がつきましたら、種類の幅を広げていけばよいでしょう。
筆者の場合には、10H~10Bまでの合計21本を使っています。因みに、基本はステッドラーで揃えていますが、10H・2B・3B・10Bは三菱ユニ、B~8Bはステッドラーと合わせてファーバーカステルを、9Bにはレクセル ダーウェント、を使用しています。
筆者の鉛筆ケース
特定の表現を目指す場合の選び方
もし、細密描写を重視したい場合には、HやHBの鉛筆を選ぶとよいでしょう。
一方、大胆な濃淡や太い線を活かした作品を目指すなら、B系統の鉛筆が最適です。その中でも、4Bや6Bは非常に柔らかく、濃い部分の表現に適しています。
線の引き方の基礎:輪郭から細密描写まで
鉛筆画や鉛筆デッサンの魅力は、線一本づつに込められた表現力にあります。線の太さ、長さ、方向によって、作品全体の印象が大きく変わります。
特に人物を描く際、正確な輪郭と細密描写が求められます。本章では、線の基本的な引き方から、細密な表現方法までを順に学んでいきます。
基本の線の引き方
まずは、鉛筆を正しく持ち、手首や肘の動きを意識しながら、一定の太さや強さで線を引く練習を行いましょう。縦、横、斜めの線を何度も繰り返し引いて、自分の描きやすい角度や力加減を見つけることが大切です。
輪郭線の引き方のポイント
人物の輪郭は、その人物の特徴を捉える基盤となります。まずは、顔や体の大まかな形をゆっくりと、緩やかな線で描き出します。初めは細かい部分は気にせず、全体のバランスや形を大切にしましょう。
前述しました、「画家の持ち方」で、楽な気持ちで姿勢を正して、足は組まないでイスに深く掛けましょう。このような姿勢で描くと、長時間描いても疲れが少なくて済みます。
また描く際の環境も大切です。あなたの心地よい温度や湿度で描きましょう。また、自宅で描く際には、あなたが落ち着ける音楽も準備しましょう。
細密描写を加える際の注意点
輪郭が描けましたら、次は目や鼻、口などの細密描写に取り掛かりましょう。この場合、細かい部分は線を薄く、デリケートに描くことがポイントです。また、陰影やハイライトを意識して、線の強弱をつけることで、より立体感のある表現が可能となります。
この描き込みでは、「画家の持ち方」から、文字を書く際の握り方へ変えて、しかし、力を加えずに優しく、HBやBなどで描写しましょう。
練習のコツと日常への取り入れ方
線の引き方には、繰り返しの練習が必要です。日常生活の中で、身の回りの物や人をスケッチすることで、自然な線の引き方や表現方法を身につけることができます。
毎日やらなくても、例えばあなたは土日が休日だとすれば、その2日間を集中的に取り組めるようにすることができれば、上達が早まるでしょう。ただしこの場合には、前日には早く寝て、早朝から取り組む意識を持つことが重要です。
筆者の場合には、「描きたくて」休日の朝4時頃には自然と目が覚めてしまい、すぐに描き始めていました。疲れるたびに食事や家事を間に挟んで描くことで、食事・布団干し・洗濯・掃除・夕食の支度などが良い休憩になります。
そして、休日にしっかり作品を制作すると、夕方には「心地よく疲れて」アルコールの助けを借りなくてもpm10:00頃には入眠できたものです。この生活を続けていると、「個展の開催」などの欲が出て来て、自然と平日の夜にも描くようになれるでしょう。
陰影とハイライト:立体感を生む鉛筆の使い方
鉛筆画や鉛筆デッサンの中で、陰影とハイライトは作品に深みと立体感を与える重要な要素です。元来、デッサンとは立体のものを平面に描き起こすことを指します。
この作業において陰影とハイライトは、スケッチブックや紙の上で三次元の空間を二次元の世界に変える魔法のような役割を果たします。本章では、鉛筆を使って陰影とハイライトを効果的に表現する方法を探求します。
陰影の基本:深みを生む陰影の役割
陰影は、物体や人物に奥行きと形状を与える要素です。鉛筆の濃さや筆圧を変えて、物体の裏側や凹部に暗さを描き加えることで、リアルな描写を生み出します。特に柔らかい鉛筆、例えばB系の鉛筆は、陰影の表現に最適です。
ハイライトの魔法:光を受ける部分の強調
出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 高沢哲明氏
ハイライトは、物体が光を受けて明るく見える部分を指します。スケッチブックや紙上では、この部分を白や明るい色で残すことで、物体の形や質感を際立たせます。鉛筆の硬いものである、H系を使って、細かいハイライトを描くこともポイントとなります。
このハイライトの表現では、背景の暗さが増すほどに、「白」や「明るい」を超えて、「輝いている」ように表現することも可能なのです。
陰影とハイライトのバランスの取り方
陰影とハイライトのバランスは作品の雰囲気や質感を大きく左右します。まず、光の方向を決め、それに基づいて陰影を配置します。柔らかい鉛筆で影をつけた後、硬めの鉛筆でハイライトを強調すると、より立体的な効果が得られます。
練習方法:日常の物体を模写する
陰影とハイライトの技術を磨くには、実際の物体を模写する練習が効果的です。部屋にある物や窓辺の植物など、さまざまな光の当たり方を観察し、鉛筆で再現することで技術を向上させましょう。
この練習のはじめでは、絵画教室に通うのであれば必ずある、石膏の立方体・円錐・球体・三角錐などを使って、ハイライトの部分とそれに伴ってできている影のでき方をしっかりと観察して描くことができます。
あなたが自宅で行う場合には、「白い卵」や「白い花瓶」あるいは、タマネギやニンジン・ジャガイモでも練習できます。
この場合におすすめなのは、A4サイズくらいの「黒い下敷き」を用意して、モチーフを配置して、机の上の蛍光灯の光などを当てて描くと、素晴らしい景色が出現します。
出典画像:アートラボゼロプラスより引用
表情をリアルに再現:目、鼻、口の描き方のポイント
第1回個展出品作品 人物Ⅳ 1996 F10 鉛筆画 中山眞治
人物画の心とも言えるのが、表情の描写です。目、鼻、口という顔の三大要素は、感情や人物の性格を伝える最も重要な部分です。本章では、それぞれの特徴を捉え、鉛筆でリアルに描写するためのポイントを学びます。
目の描き方:魂の窓を鮮明に
出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志氏
目は「魂の窓」とも言われる、人物の内面を最も強く反映する部分です。まずは瞳の形を取り囲む上下のまぶたを描きます。
瞳は真円ではなく、楕円形になることが多いものです。また、光の反射や瞳の色を陰影とハイライトで表現することで、深みを持たせることができます。
鼻の描き方:顔の中心を立体的に
鼻は顔の中心に位置し、影の使い方で立体感を出すことがキーとなります。
鼻筋を中心に、鼻の両側の影を柔らかい鉛筆でぼかして描くことで、リアルな形状を再現します。鼻の穴は、真っ黒に塗りつぶすのではなく、部分的な暗さで表現すると自然に見えます。
口の描き方:感情の波を伝える
口は感情を最もダイレクトに伝える部分です。唇の形、厚み、そして縦中央の割れ目の描き方に注意が必要です。笑顔や悲しみなど、感情によって大きく形が変わるので、充分に観察しながら描くことがポイントです。
顔のパーツのバランス:全体の調和を目指して
目、鼻、口を正確に描くだけでなく、それぞれの位置関係や大きさのバランスも非常に重要です。顔を縦に三等分し、その目安を基にパーツを配置すると、バランスの良い人物画になります。
練習方法と継続のコツ:上達を早めるために
出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志氏
出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志氏
出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志氏
鉛筆画や鉛筆デッサンの上達は、効果的な練習と継続の二つの要素にかかっています。
どれだけ才能があっても、適切な練習方法を取り入れ、それを継続しなければ上達は難しいでしょう。ここでは、技術の向上を早めるための練習方法と、継続するためのコツについて深掘りします。
効果的な練習方法:基礎から応用へ
出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志氏
鉛筆画や鉛筆デッサンの基礎では、直線や曲線及び、基本的な形状の模写から始めましょう。これらの基礎を確実に身につけることで、複雑なモチーフもスムーズに描けるようになります。
特に人物を描く場合、とりかかりの当初では、上記のような「人体の単純化」を図って描き始めることで、全体の輪郭を捉え、その後全体の割合や比率を確認できたところで、詳細の描き込みに進むことがスムーズな制作を可能にします。
次に、実際の風景や物体、人物の模写に挑戦し、手の動きと目の認識を連動させる訓練を行います。この連動を可能にするためには、かなりの時間と練習量を要するものと記憶しておきましょう。どの画家であっても、一番苦労するのがこの点だからです。
継続の秘訣:日常に絵を取り入れる
出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志氏
練習を継続するためには、絵を描くことを日常の一部にすることで実現できます。例えば、通勤や通学中の風景を素早くスケッチする、一日の終わりに感じたことや見たものを絵にするなど、生活の中に絵を自然と取り入れましょう。
あるいは、あなたが通勤の途中にあって、手元にスケッチブックや紙がなくても、目の前の対象を描く場合の観察を深めたり、イメージでスケッチを行うことも練習になります。
エアースケッチとでも言いましょうか、実際に描くイメージで対象を捉えることはいくらでもできるはずです。ただし、怖いお兄さんや可愛い女性などを「ジロジロ」と見ていると、トラブルの原因になりますので注意が必要です。^^
モチベーションの維持:他者との交流
出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志氏
アートの制作活動に参加したり、友人や知人との絵の交換、展覧会や研修集会に参加することで、新しい刺激を受け取ることでモチベーションを維持できます。他者の作品を見ることで、新しい技術や着想を得ることもできるのです。
成果の記録:スケッチブックの活用
第1回個展出品作品 人物Ⅰ 1996 F10 鉛筆画 中山眞治
進歩を感じることは、継続する上での大きなモチベーションになります。スケッチブックに日々の作品を貼り付け、時々振り返ることで、あなたの上達を実感することができます。
まとめ
鉛筆画や鉛筆デッサンは、単なる線や形ではなく、感情や思いを伝える強力な手段となります。この美しいアートを極めるためには、効果的な練習と継続が不可欠です。では、どのようなアプローチで、その道のりを歩むべきでしょうか。
まず、基礎を固めることが何よりも大切です。直線や曲線、基本的な形状を模写することで、鉛筆の持つ可能性を感じられるでしょう。
これらの基本技術は、複雑な作品をスムーズに描けるようになる礎となります。そして、実際の風景や物体、そして感情溢れる人物の模写に挑戦し、手の動きと目の認識を連動させる練習が必要です。
しかし、練習だけでは上達の速度は限られてしまいます。それを乗り越えるための魔法のキーワードは「継続」です。日常の中に絵を取り入れることで、描くことのハードルを下げましょう。
また、通勤や通学中の風景をスケッチしたり、エアースケッチも練習になるでしょう。また、一日の感情や出来事を鉛筆画や鉛筆デッサンにすることで、自然と鉛筆が手に取れるようになるでしょう。
さらに、他者との交流を深めることで、新しい刺激やモチベーションを得ることができます。アートの制作活動に参加し、友人や知人と絵を交換することで、新しい技術や着想に触れる機会が増えます。
そして、自らの進歩を確認するためにも、スケッチブックを活用しましょう。日々の作品を記録することで、あなたの成長を実感できるはずです。最後に、心から楽しめるモチーフをまず最初に手がけて楽しむこと。これが、鉛筆画の魔法を最大限に引き出す秘訣です。
尚、あなたが展覧会や公募展へ出品を希望する際には、ただモチーフを上手に描けるだけでは入選できません。それは、あなたの制作する画面全体を使って、作品全体を魅力的な構成にする必要があるのです。その内容について興味のある人は、次の関連記事を参照してください。
関連記事:鉛筆画・デッサンの魅力を最大限に引き出す!構図導入の必要性と方法とは?
ではまた!あなたの未来を応援しています。
コメント
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