どうも。私は、プロ鉛筆画家の中山眞治です。
さて、鉛筆画・デッサンの世界へようこそ。このブログでは、初心者から上級者までの鉛筆画・デッサン愛好家に向けて、風景画の描き方から構図の基本、仕上げのテクニックに至るまで、段階的かつ詳細にガイドします。
美しい鉛筆画・デッサンを描くための秘訣や、構成のアイデア、さらにはモチーフの選び方など、アート制作のすべてを網羅して、鉛筆画・デッサンの魅力を存分に引き出すためのノウハウを紹介します。
それでは、早速見ていきましょう!
初心者から上級者まで!鉛筆画・デッサンで描くモチーフの選び方
鉛筆画・デッサンで風景を描くメリット:創造的なアプローチ
風景画といえば、歴史上の海外の有名な画家は、ゴッホ・モネ・ピサロ・セザンヌ・ベラスケス・フェルメール・ルーベンス・レンブラントなど、まだまだたくさんの有名な画家がいらっしゃいます。
そして風景画は、近所へスケッチに行くのもよいでしょうし、場合によっては写真に収めて制作に入ることもできます。
あるいは、たくさん撮りためた写真を合成して制作することもできます。ネットからのスクリーンショット及びダウンロードや、図書館から写真集を借りてくるという手もあるので選択肢が多いですね。
撮りためた画像で、構図にそれぞれのモチーフをいかに構成していくかをじっくりと考えることは、室内で落ち着いて時間を気にせずに取り組めるので、絵画の制作に没頭できる至福の時間を満喫できます。
鉛筆画・デッサンのモチーフ選び:アイデアと着想の源
今回の筆者の制作例では、テーマの主体である構図として、①黄金分割②中空の三角形で画面構成する予定で進みます。
それは、構図基本線上に、今回のモチーフを落とし込んで制作するということであり、構図基本線の配置に対して、どのように描いていくかということを考えることでもあります。
あなたが今回の記事を参考にして制作する場合には、主役・準主役及び全体のレイアウトはどうするかを決めていきましょう。
尚、あなたが、私の制作例に使っていないモチーフで、同じような構図で制作しても何ら問題ありませんが、私の制作例をそのまま使うことは、著作権がありますのでできません。あしからずご承知おきください。
鉛筆画・デッサンの構想を練る:競争に勝てるオリジナリティーの必要性
競争に勝てる個性の発揮方法
あなたは、主役・準主役及びレイアウトはどうするかを決めていく際には、できるものであれば、あなた独自のテーマを考えてみましょう。
それは、例えば、寛ぎのひと時をシリーズ化、季節を象徴する花・果物・野菜で季節を表現、夜の街をシリーズ化、夕暮れ時を専門的に描くなど、あなたが描きたいと思えるテーマを見つけることであり、静物、人物、動物、風景すべてに言えることです。
その専門的なテーマが、あなたのオリジナリティーとなり、他の画家たちとの差別化を図れからです。ここは、いきなり大きな情報になりますが、あなたがこれから制作を進める際に、一番に考えるべき重要な点です。
ブランディングの構築方法
それが、あなた独自のブランディングの構築になるということです。「この作風の絵はあの人の作品だな」と思われるようになりましょう。やみくもに描くことは、意味が少なく、効果的な展開には結びつきません。
どの上級者であっても、この部分は常に考え続けている点なので、早い段階から、あなたがこの点に気づいて検討を進めることは、重大な意味を持ちます。この点は、画家にとって一生考え続けていく部分だからです。
このことをわかりやすく説明するならば、モネの「睡蓮シリーズ」などはまさにこのことの実践なのです。着想を得るためのヒントでは、次の記事も参照してください。
関連記事:鉛筆画・デッサンで初心者から中級者必見!複合した構図で心象風景を描く方法Ⅱ
鉛筆画・デッサンの立案:アイデアから構想へ
効果的な構成:鉛筆画・デッサンのためのデザイン戦略
筆者の今回の作品制作にあたっては、以前からイメージしていた構想です。それは、海岸で海と対峙する灯台を背景にして、カモメが沖に向かって力強く飛び去ろうとしている光景であり、沖からの波や風さえも感じられるような情景です。
そして、その着想に対して何をしたかといえば、下記にある「鉛筆画・デッサンで初心者から中級者必見!風景を複合した構図で描く方法Ⅰ」の取材のために栃木県の真岡市で実際に走っているSLを取材に行きました。
そして、そこから千葉県の犬吠埼へ移動して、翌日の早朝に灯台を主体とした風景の撮影に行きました。一眼レフで、灯台のたたずむ突端全体を遠景でとらえ、ちょうどその時に偶然にも頭上を飛ぶカモメにシャッターを向けました。
うまく撮れている自信などありませんでしたが、幸運なことに「私が欲しかった画像」を得ることができました。季節は早春で、寒かったことを思い出します。
鉛筆画・デッサンで脇役を生かす方法:アートに深みを加える
今回の制作例の主役は当然灯台ですが、偶然撮ることができたカモメ2羽も主役に加えて、変形の中空の三角の構図を構成することにしました。
今回の脇役は、海面上の波や灯台の右側にある2つの細長い構築物です。尚、この2つの構築物は、直立させてしまうと自然になじまないので、意図的に若干斜めに配置することにします。
カモメが画面の左側に飛んでいく姿と、海面上の波が、画面左側の沖へと続いていく奥行きもイメージできるように描き進んでいくことにします。
尚、観てくださる人に向かって飛んでくるような描写であれば、今回の構成に、さらに「緊張感」を与えることができるということも記憶しておきましょう。
静物画であれば、見てくださる人に向かって転がってくるボールなどでも緊張感を出すことができるのです。
鉛筆画・デッサンの本制作:準備から完成までのプロセス
下絵(エスキース)の作成:鉛筆画・デッサンの基礎から学ぶ
あなたが手始めにすることは、次のようの順序です。
構想のスケッチ:鉛筆画・デッサン制作の最初の一歩
まずは、あなたの身の回りにあるA4サイズの紙を用意して、それを正確に半分に切り、今回のあなたの作品のまずはメモ書き程度で自由に構想を練りましょう。私の場合には、この段階では着想の整理程度で終わります。
構図の基本線:鉛筆画・デッサンでのエスキース作成技法
下絵(エスキース)のサイズを実際に測って、構図分割線を入れていきます。そして、構図基本線を入れるならば、その線はボールペンで入れておくと、そこへ鉛筆で描き込んでいけば何度でも試行錯誤できます。
最終的に、あなたの気に入ったモチーフをあなたの気に入ったレイアウトに据えて、あるいは構図上の不足する部分を他のモチーフも加えて補うことにより、エスキースを完成させることができます。
鉛筆画・デッサン制作のスタート:技術と表現の融合
エスキースが、実際の制作画面よりも小さい時には、拡大していくことになりますので、そのことを頭に入れて画面に向き合いましょう。多少の違いは本制作画面で修整するくらいの気持で取り組めば問題は少ないはずです。
尚、エスキースには次のような構図基本線を描き込みましょう。
下絵に基本線を加える:鉛筆画・デッサンの構図テクニック
メモ書き程度の構想を練ることが終了しましたら、次はあなたが取り組む本制作に入る画面の縮尺をかけたエスキースの画面に、構図基本線を描き込みましょう。
あなたが、本制作に入る画面の大きさをF10のスケッチブックのサイズで取り組むとして、このエスキースをA4の紙を正確に2つに切ったもので制作する場合には、次のようになります。
F10の短辺は454mm・長辺が528mmであり、あなたが手元に用意したエスキースは、その短辺のサイズは148mmなので、F10の短辺のサイズ454mmで割ると、0.3259という数値が出ます。
そして、F10の長辺は528mmなので、この長さに上記の縮尺(0.3259)をかければ、172.07となりますので、あなたのエスキースの長辺を172mmにすれば、あなたが本制作に入るF10を正確に縮尺したエスキースの土台ができます。
このエスキースの土台画面に、黄金分割構図基本線(横向き)を引く場合には、縦横共にそれぞれの長さ÷1.618で値を求めます(具体的な説明はこの先で行います)。
この値を、画面横の場合であれば、上記画像のように左右からそれぞれ2つの分割点(線⑤⑥)を求めることができます。縦の場合でも、上記画像のように、上下からそれぞれ2つの分割点(線⑦⑧)を求められます。
そして、画面の縦横の2分割線(③④)と画面上の対角線(①②)を引くことによって、この黄金分割構図基本線は完成します。
レイアウトの考察:鉛筆画・デッサンの全体構成を計画する
- 黄色線:縦横2分割線・左右からの斜線
- 青色線:黄金分割線(縦横各2本)
- 赤色線:岬のせり出しの先端部分の位置を示す線(画面幅の3/4で分割した線)
- 桃色線:3角形の構図を示す線
そして、描き込んだ基本線の黄金分割の位置にモチーフを落とし込んでいきますが、この点につきましても順を追ってご説明していきます。また、この時に、モチーフと各導線との交わり方や、導線の導き方も同時に考えます。
今回の制作例では、カモメの飛んでいく方向が観てくださる人の意識を画面の外にまで導くことができます。制作例によっては、意図的に外界へ抜けていく窓などを画面上に構成することがあります(以後「抜け」と呼びます)。
「抜け」の効果:鉛筆画・デッサンに深みを加えるテクニック
この「抜け」があることによる効果は、観てくださる人の息苦しさを解消できます。それは、意識がその「抜け」の先にある外界のひらけた空間に向けられて、解放感を与えられるからです。
そして、その効果は風景以外のどのジャンル(花・静物・人物・動物・心象風景)にも応用できます。この、抜けによる効果を、たえず取り入れる工夫をしましょう。
室内で描くとして、その場合の画面上の窓を、例えば「黄金分割」で区切られた窓で描き込むことで充分アピールできます。
具体的には、前述の黄金分割構図基本線(横向き)の画面右上角Bから、AB上の⑥を下に降りて、交点FからBDまでの範囲を「抜け」として使うということです。また、作品によっては、画面左上角を同じように使うこともできます。
尚、他の構図分割基本線でも同じように使うことができるので、覚えておきましょう。すぐに実践できるはずです。
エスキースと基本線の整合性:鉛筆画・デッサンのバランスを整える
今回の完成時のイメージは、各黄金分割構図基本線を使ってモチーフの位置や幅、あるいは中心点になるように画面構成を考えます。
そして、主役の灯台を黄金分割構図基本線の⑥上に配置しますが、この灯台のたたずむ突端部分の地面の高さも黄金分割図基本線の⑦の上に配置するのです。
また、この突端の海にせり出している部分は、画面の幅の3/4にします。これは、画面上の突端と灯台のサイズを考えると一番おさまりが良かったので、その幅にしました。尚、構図にはこのように4分割を使う方法もあります。
つまり、いろいろ試行錯誤した結果として、このサイズになったということです。一方、画面にモチーフをおさめる場合には、何が何でも見たままを描くのではなくて、あなたの都合の良いように「修整」して描き込めばよいのです。
例えば、前述の灯台の建っている岬は、実物はもう少し長くせり出していましたし、岬の地面の位置はもう少し高さがありましたが、「筆者の都合」で修整を施して、画面に収めているのです。
視線を引き込む鉛筆画・デッサン:視覚効果を最大化する方法
黄金分割構図基本線⑥上にある、主役の灯台の「ライト」の部分をより目立たせることができるように、それ以外のモチーフには淡いトーンを使うことで、より灯台を引き立てることを意識します。
具体的には、灯台のライトが「ともっている」ように描き進むということです。つまり、灯台の「ライト」を強調するためには、その背後や隣接する部分にはトーンが必要です。今回の場合であれば、空と海面にも淡いトーンを慎重に入れていきます。
尚、灯台の右側の2つの細長い構築物は、現物は直立していますが、直立させてしまうと、主役と岬の地面が垂直と水平なので、画面全体の中で主役が目立ちにくくなることと、「自然になじませる」ためにも、わずかに傾けます。
鉛筆画・デッサンの画面構成:注意すべきポイントとコツ
制作していくうえでは、主役以外のモチーフを細密に描き込み過ぎてしまうと、観てくださる人の視線を、その部分に集中させてしまいますので注意が必要です。
あくまでも細密に描写するのは主役・準主役だけと認識しておきましょう。つまり、主役・準主役以外の描写へは「意図的に手を抜く」ことも必要だということです。
例えば、全部のモチーフが本来は光っていても、意図的に主役・準主役以外へは、光っていないように淡くトーンを入れるとか、主役・準主役以外は細密に描かずにざっくりと描くとかです。
これらのことを、「描いては消し描いては消し」を繰り返して、いかにして基本線を有効に使ったレイアウトや充分な強調ができるかを考えて、エスキースを完成させます。
鉛筆画・デッサン制作前の準備:適切な画面サイズの選択法
スケッチブックは、メーカーによって、若干寸法が異なることがありますので、制作前には実際に鉛筆画・デッサンを制作する画面のサイズを確認して、正確な構図基本線を引きましょう。
このことは、スケッチブック以外にも、例えばパネルに水張りをした画面で制作する場合のF100やそれ以上の大きさの画面にも共通して言えることです。
あなたも制作を始める際には、実際に描き込む画面のサイズに合わせて構図基本線を引きましょう。これは最も重要な点です。
鉛筆画・デッサンの構図基本線:制作前の重要ステップ
本制作の構図基本線:鉛筆画・デッサンの繊細な描き方
この各種基本線は、2Bや3Bなどの柔らかい鉛筆の軽いタッチで描き込みます。
この時筆圧を強く描き込んでしまうと、のちの工程で練り消しゴムでは消しきれなかったり、跡が残ってしまうので、そのためにも筆圧をかけ過ぎず優しく描くことが必要です。
構図分割の基本線を引くコツ:鉛筆画・デッサンのプロの技
黄金分割構図基本線を引いた後に、既成のF10で制作を進める場合では、筆者の使っているF10のスケッチブックの大きさは短辺は454mmで長辺が528mmです。
これにより、454mm÷1.618=280.59なので、280.5mmが縦の画面の黄金分割点となります。この分割点は、上下どちらからでも設定することができます(⑦⑧)。
また、長辺の黄金分割比率を求めるならば、528mm÷1.618=326.32となり、326mmの位置が黄金分割点になります。この分割点は、左右どちらからでも設定することができます(⑤⑥)。
尚、あなたの使うスケッチブックの大きさに合わせて、正確な分割点(線)を描き込みます。実際に測って描線することを忘れないようにしましょう。
鉛筆画・デッサンの構図とモチーフ:完璧な調和を目指して
- 黄色線:縦横2分割線・左右からの斜線
- 青色線:黄金分割線(縦横各2本)
- 赤色線:岬のせり出しの先端部分の位置を示す線(画面幅の3/4で分割した線)
- 桃色線:3角形の構図を示す線
鉛筆画・デッサン制作の進行:技術と創造性の融合
構図基本線上に、先ほど制作したエスキースの内容を落とし込んでレイアウトします。実際に描き始める際には、まず全体を大づかみでとらえて描き進んでいきます。
細かいことはさておいて、Bや2Bなどの柔らかい鉛筆を親指・人差し指・中指でつまむように軽く持ち、全体を優しいタッチで描いていきましょう。
そして、この段階では、今後あなたの制作作品によっては、必要ならば長め・短めの定規やコンパスもどんどん使いましょう。フリーハンドで直線や曲線を描くことは、制作を続けゆく中でゆっくりと慣れていけばよいのです。
エスキースを基にした配置:鉛筆画・デッサンの構成要素
- 黄色線:縦横2分割線・左右からの斜線
- 青色線:黄金分割線(縦横各2本)
- 赤色線:岬のせり出しの先端部分の位置を示す線(画面幅の3/4で分割した線)
- 桃色線:三角形の構図を示す線
モチーフを実際にレイアウトしますが、今回の「風景」では、上記の黄金分割構図基本線を意識しながら、上の画像のような状態をイメージします。灯台の建っている岬の突端の先端部分の位置や、中空の三角形の構図も意識しましょう。
尚、あなたが、本制作画面をF10で取り組む場合には、先ほどの正確に縮尺したエスキースの各モチーフの主要な位置は、エスキース上のサイズを、0.3259で割れば、F10の画面上の点として再現できます。
鉛筆画・デッサン制作のノウハウ:画面構成の極意
作品の制作にあたっては、構図基本線を意識してレイアウトしますが、作品によって画面に納まりきれない部分は、画面の外にハミ出てよいのです。あなたの描く画面には、あなたの必要とする部分だけを切り取って描きましょう。
それは、モチーフ全体を無理に画面に収めようとすれば、窮屈になってしまうからです。逆に、画面からハミ出ることによって、画面の外への広がりが表現できることになります。
このことは、どの作品を描いていくうえでも言えることで重要なことなので記憶しておいてください。
尚、画面最下部の底線(CD)上にモチーフを「乗っけた」ようにレイアウトすることは、重大な禁じ手なのでこれも覚えておきましょう。私はこれをやって叱られたことがあります。^^
斜線による導線の暗示:鉛筆画・デッサンで視覚効果を高める方法
制作例では、画面左上の角Aからの斜線②は、カモメの羽の角を通り、岬のヘコミ部分を抜けて、画面右下のもう一羽のカモメの羽としっぽを通過して、画面右下の波の形状も使って、右下の角Dへ到達させます。
また、画面右上の角Bからの斜線①は、画面上の灯台の足元部分のヘコミや波の凹凸を通過して画面左下の角Cへ到達しています。
つまり、斜線が通っていることを画面上のレイアウトや、モチーフの凹凸なども含めて表現するということです。
尚、作品によっては「水滴」や「枯葉の虫食い」なども上手に使いこなせられれば、導線に活用できることも記憶しておきましょう。
鉛筆画・デッサン制作の理想と現実:芸術的な変換
絵画の制作では、実際のモチーフの形状を構図の構成上修整することがあります。これは、どの画家もほとんど行っていることでデフォルメと呼ばれており、鉛筆画・水彩画・油彩画・アクリル画等すべての制作技法について言えることです。
デフォルメは、風景画の場合であれば、実際の景色には電柱や電線があっても、作者の意図する一番見映えのする画面にするために削除・省略してしまうことがあります。
それは、現存する状態に修整を加えることであり、「削除」「省略」「変形」「強調」「つけたし」「拡大」「縮小」など何でもアリです。
尚、これらの構図基本線との重ね合わせは、構図の成り立ちを示すためでもあり、その暗示も含めて画面全体のバランスをとっているのです。
初期段階の鉛筆画・デッサン:構図とレイアウトの重要性
エスキースから本制作画面へ構図分割基本線を元にして各モチーフをレイアウトできましたら、再度、あなたが当初から考えていた通りの内容になっているか点検しましょう。
この段階で導線暗示が足りない・モチーフに不足があるなどを感じた場合には、その時点で早速修整や付け足しをしましょう。
鉛筆画・デッサンの整理:消すべきところと、消さないでよいところの見極め方
最初に描き込んだ、全体の輪郭を取った際のたくさんの線を練り消しゴムで整理しますが、こののちトーンを入れていくところにある線はそのままにしておきましょう。
なぜならば、そこへはこれからトーンを入れていくので消す必要がないからです。そして、モチーフにかかっている線や抜けの中にある線は消しておきましょう。
一方、仕上げに向かって、明るい部分にするところにある無駄な線は目立ってしまうので、必ず消しておく必要があります。
また、練り消しゴムで消したところは、その後トーンを入れていくと、消していないところと比較すると鉛筆の乗り具合が少しだけ違ってくることがあります。このため、できるだけ練り消しゴムで消す部分は少なくすることを心がけましょう。
鉛筆画・デッサンの仕上げ:コントラストの効果的な使用
第2回個展出品作品 潮騒 2001-Ⅰ F100 中山眞治
最終的な仕上げのコツ:鉛筆画・デッサンのメリハリを強調する方法
練り消しゴムでたくさんの線を整理した後は、いよいよ各モチーフのレイアウト後の制作工程に入りますが、その際には一番暗いところからトーンを入れていきましょう。
制作例の描き始めでは、特に画面上一番暗いトーンを使うのは、主役の灯台の足元部分である岬と、画面一番下の岩の部分です
尚、灯台の真下のわずかに右横に広がっている黒い部分には2Bを、その下の岬の崖部分はHBを、更にその下の波に近い部分はHで、波しぶきのために白っぽい状態になっていることに注意しましょう。
デッサンの困難を克服する:鉛筆画・デッサンのヒントとテクニック
これは、実は、あまり大きな声では言いたくないことです。
私の場合には、例えば構図基本線⑥上にある主役の灯台全体の姿ですが、ライトの円形部分はコンパスで引くとして、そのてっぺんのカップをかぶせたような形状の形について、うまく描けないときにはどうしたらよいのか。
そのような場合には、まず定規を用意して、うまく描けていないモチーフへ縦に中心線を入れ、うまく描けている側の線を中心線から測って、反対側の位置に鉛筆で点を打ちましょう。
その方法でわずかづつ下へ点を打っていき、最後はその並んだ点を結べば描けます。尚、この場合、その点は強く描いてしまうと後から消すのに苦労しますので、2Bや3Bの軟らかい鉛筆で、優しく描き込みましょう。
コンパスや定規の使用:鉛筆画・デッサンの細密作業
絵画教室の先生方は、直線や曲線は道具を使わずに描くことにこだわりのある人が大いので、こんな話を絵画教室の先生が聞いたら、「激怒もの」ですが、そんなことはどうでもよいのです。
あなたが楽しく鉛筆画を描くことができることが最優先事項です。今回の制作例では、灯台の「ライト」の丸い部分はコンパスで描いています。また、岬の横に伸びる地面部分には定規を使っています。
あなたも直線や円を描くのに不安があったならば、躊躇なくこれらの道具を使いましょう。ただし、「激怒する先生」がそばにいる時にはやらないようにしましょう。^^あくまでも、自宅での制作時ということにします。
そして、制作を繰り返していくうちに、これらの直線や円あるいは曲線などについても慣れていけます。制作を重ねて経験が増えていけば、どなたでもできるようになります。
光の強調:鉛筆画・デッサンにおけるコントラストの強調法
完成が近くなってきましたら、全体を観察してみて灯台が主役として目立っていない場合には、灯台の下の岬の崖部分をもう一段黒くしてみましょう。
また、明るい白に近いところでも、淡い8Hや9Hのトーンを入れておく必要があります。
それは、今回の制作例の中で一番明るい部分は、灯台の「ライトの光」なので、それを引き立てるために必要なのです。つまり、一番明るいライトの光は、下地の紙の色ということになります。
このハイライトであるべきところが、もう一つ明るく見えなくて、光っているようにも見えない場合には、その光っているべきところと隣接している部分の、黒さの度合いが足りていない場合があります。
鉛筆画・デッサンの中心点の扱い:注意深いアプローチが鍵
今回の制作例では、画面の中心点には、波さえもかからないように意図的に避けて描いています。しかし、意識的に中央にモチーフを配置する場合は別として、複数のモチーフで構成する画面では、できるだけ画面の中心点を避けて制作しましょう。
それは、画面上の寸法上の中心点に、主役・準主役の中心点が重なってしまうと「動きが止まってしまう」ので注意が必要なのです。
しかし人物画や動物画など、画面上で大きく面積を使うモチーフの場合などでは中心点を避けることはできませんし、する必要もありませんのでご安心ください。^^
まとめ
このブログでは、鉛筆画・デッサン制作のすべてを、初心者から上級者まで幅広い読者にわかりやすく解説しています。
風景画の描き方から始めて、効果的なモチーフの選び方、構図の基本、さらには仕上げのテクニックまで、各ステップを丁寧にガイドしていきます。
鉛筆画・デッサンの構成を考える際のポイントや、エスキースの作成方法、画面構成上の配慮すべき点、そして最終的な仕上げにおけるコントラストの強調方法に至るまで、詳細にわたるアドバイスが満載です。
また、鉛筆画・デッサン制作においてよくある困難を克服するためのヒントや、創造的なプロセスを促進するための着想も提供しています。
このブログを通じて、あなたの鉛筆画・デッサン制作のスキルを向上させ、より深みのあるアート作品を創造するための基盤を築くことができるでしょう。芸術の旅を共に歩み、あなたの創造的な才能を最大限に発揮してください。
尚、この構図記事の他にも、あなたが展覧会や公募展へ出品を希望する際には、ただモチーフを上手に描けるだけでは入選できません。
それは、あなたの制作する画面全体を使って、さまざまな構図や発想を駆使することにより、作品全体を魅力的な構成にする必要があるのです。その内容について興味のある人は、次の関連記事も参照してください。
関連記事:鉛筆画・デッサンの魅力を最大限に引き出す!構図導入の必要性と方法とは
ではまた!あなたの未来を応援しています。
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