どうも。私は、プロ鉛筆画家の中山眞治です。
さて、鉛筆絵はシンプルでありながら、その奥深さと表現力に多くの人が魅了されています。初心者の人から上級者の人まで、鉛筆絵を上達させるためには適切な技術と練習が必要です。
この記事では、完璧な鉛筆絵を描くための10のステップを紹介します。基礎から高度なテクニックまで、誰でも実践できる方法を解説し、あなたのアートスキルを向上させるための効果的なアプローチをご提供します。
それでは、早速見ていきましょう!
鉛筆の選び方と基本的な使い方
鉛筆絵の成功には、適切な鉛筆の選び方と基本的な使い方が欠かせません。本章では、初心者の人でも簡単に理解できるように、鉛筆の選び方と使い方について解説します。
鉛筆の種類と特徴
鉛筆にはさまざまな硬度があります。一般的に、鉛筆の硬度は「H系統」から「B系統」までの範囲で表示され、「H系統」は硬く、「B系統」は柔らかいことを意味します。
例えば、2Hの鉛筆は硬く、細かい線を引くのに適しています。一方、4Bの鉛筆は柔らかく、濃い影を描くのに最適です。
- H系統の鉛筆: 細かいディテール(詳細)を描くのに適しており、細い線を描く際に使います。
- B系統の鉛筆: 影をつけたり、濃い部分を描くのに適しており、滑らかな表現が可能です。
鉛筆の持ち方と基本的な使い方
鉛筆の持ち方は、描く線の質やコントロールに大きな影響を与えます。基本的には、鉛筆を軽く握り、手首と指を使って柔らかく動かすことが重要です。
- 基本の持ち方: 鉛筆を人差し指と中指と親指で軽く「つまむように」持ちます。この方法は、描く対象(モチーフ)の全体の輪郭線をデッサンするのに適しています。
- シャープな線を描く: 鉛筆を「文字を書くとき」の握り方にすると、細くてシャープな線を描けます。
- 柔らかい幅広の線を描く: 鉛筆を斜めに持ち、手全体を使って動かします。これにより、柔らかくて幅の広い線が描けます。次の画像を参照してください。
出典画像:リアル絵の基本 リアル絵・デッサンの鉛筆の持ちかたhttps://realdrawing.jp/pensilart-basic/howtohold-pencil
鉛筆の使い方のコツ
鉛筆絵を描く際の、基本的な鉛筆の使い方のコツをいくつか紹介します。
- 筆圧の調整: 筆圧を変えることで、線の濃さや太さを調整できます。軽い筆圧で描くと薄く、強い筆圧で描くと濃くなります。
- 角度の調整: 鉛筆の角度を変えることで、描く線の幅や質感を変えることができます。平らな面を使うと広い面積を素早く塗ることができます。
- 定期的な削り直し: 鉛筆の先が丸くなると細かい線が描きにくくなるため、定期的に鉛筆を削り直すことが必要です。
尚、鉛筆が、鉛筆削りで削れないほど短くなった場合には、次の画像のような「鉛筆ホルダー」が2~3本あれば、そこへ短くなった鉛筆を差し込んで、カッターやナイフで削れば使い切ることができます。
筆者の使っている鉛筆ホルダーです
オススメの鉛筆と使い方
初心者の人には、中間の硬度(HBや2B)の鉛筆から始めることをオススメします。これらの鉛筆は、柔らかすぎず硬すぎず、扱いやすいのが特徴です。また、複数の硬度の鉛筆を使い分けることで、より豊かな表現が可能になります。
- HB: 細かいディテールと基本的な線を描くのに適しています。
- 2B: 描き始めの、全体のデッサンをする際に適しています。軽く優しく描いても画面にトーンが乗るので、練り消しゴムで修整する際にも簡単に消せて楽です。また、影をつけたり、濃い部分を描くのに適しています。
鉛筆絵を始める際には、適切な鉛筆を選び、基本的な使い方をマスターすることが成功への第一歩です。これらの基礎をしっかりと身につけることで、より高度な技術に挑戦する準備が整います。
尚、初心者の人が最初に揃えるべき鉛筆の種類は、2H・H・HB・B・2B・3B・4Bの7本あれば、当面の制作ができます。
描くことに慣れて、これからも鉛筆絵を続けていきたいと思えるようでしたらば、種類の幅を広げていきましょう。どこでも購入できる鉛筆の幅は、10Hから10Bまであります。詳細は次の関連記事を参照してください。
また、スケッチブックや紙及び練り消しゴムについても重要なので、関連記事を掲載しておきます。
関連記事:
線の描き方と影のつけ方
鉛筆絵において、線の描き方と影のつけ方は非常に重要な技術です。これらのスキルをマスターすることで、作品の質が大幅に向上します。本章では、線の描き方と影のつけ方について解説します。
線の描き方の基本
線の描き方は、鉛筆絵の基礎中の基礎です。線の質は描く対象(モチーフ)や表現したい質感によって変わります。
- 直線の描き方: 直線を描く際は、手首や肘を固定し、腕全体を動かすことで、安定した直線を描くことができます。
- 曲線の描き方: 曲線を描く時は、手首を柔軟に動かし、リズミカルに描くことがコツです。練習を重ねることで、滑らかな曲線が描けるようになれます。
- クロスハッチング: 縦横斜めの線を交差させて、影や質感を表現する技法です。角度や間隔を変えることで、さまざまな効果を得ることができます。描きにくい方向の線は、スケッチブックや紙の方を動かすことで無理なく描くことができます。
影のつけ方の基本
影をつけることで、絵に立体感と深みを加えることができます。適切な影のつけ方を学ぶことは、鉛筆絵をプロフェッショナルに見せるために不可欠です。
- グラデーション: 鉛筆を軽く持ち、滑らかに動かして徐々に濃さを変えることで、自然なグラデーション(階調)を創れます。練習を重ねることで、滑らかな移行が可能になります。
- ブレンディング: ティッシュや指、専用のブレンディングツールを使って鉛筆の線をぼかすことで、滑らかな影を創ることができます。この技法を使うと、よりリアルな影が表現できます。
- ポイントシェーディング: 点を使って影を表現する方法です。点の密度や間隔を変えることで、影の濃さを調整します。この技法は、柔らかい影やテクスチャ(感触や風合い)を表現するのに適しています。
線と影の応用技法
国画会展 入選作品 誕生2001-Ⅱ F80 鉛筆画 中山眞治
線と影の基本を押さえましたら、次に応用技法に挑戦しましょう。これらの技法を使うことで、より複雑で魅力的な作品が創れます。
- 輪郭線の強弱: 物体の輪郭線に強弱をつけて描くことで、遠近感や奥行きを表現できます。手前の部分は濃く、遠くなるにつれて薄く描くと効果的です。上の作品を確認してください。
- 反射光の表現: 光が当たって反射する部分を描くことで、物体の質感をリアルに表現できます。下の作品を参照してください。
- 多重層の影: 影が重なり合う部分を描くことで、複雑な構造や透明感を表現できます。各層の影を微妙に調整しながら描くことが重要です。
線の描き方と影のつけ方をマスターすることは、鉛筆絵の基本技術を超えて、より高度な表現力を身につけるためのステップです。
これらの技術を駆使することで、作品にリアリティ(現実性)と深みを加え、観てくださる人を引き込む魅力的なアートを創り上げることができます。
初心者からプロまで、これらの基本と応用技法をしっかりと習得し、あなたのスタイルを確立しましょう。
蕨市教育委員会教育長賞 灯(あかり)の点(とも)る静物 F30 2000 鉛筆画 中山眞治
明暗の表現方法
鉛筆絵において、明暗の表現は作品に立体感とリアリズム(写実)をもたらす重要な技術です。
明暗を巧みに使うことで、描いた対象物(モチーフ)がまるでそこにあるかのように見せることができます。本章では、明暗の表現方法について解説します。
明暗の基本概念
明暗の表現は、光源と影の関係を理解することから始まります。光の当たり方によって、モチーフには明るい部分と暗い部分が生じます。
- ハイライト: 光が最も強く当たる部分で、最も明るくなります。鉛筆ではこの部分を白く残します。
- ミッドトーン: 中間の明るさの部分で、物体の自然な色を表現します。HB鉛筆など中間の硬さの鉛筆が適しています。
- シャドウ: 光が当たらない部分で、最も暗くなります。柔らかい鉛筆(2Bや4Bなど)を使って濃く描きます。
光源と影の関係
光源の位置と強さによって、影の形や濃さが変わります。光源を意識して描くことで、リアルな明暗を表現できます。
- 単一光源: 1つの光源がある場合、影は一方向に伸びます。この場合、明るい部分と暗い部分のコントラスト(明暗差)がはっきりします。
- 複数光源: 複数の光源があると、影が複雑になります。各光源からの影を確認して描くことが必要です。
グラデーションの作成方法
鉛筆を使って滑らかなグラデーション(階調)を創ることは、明暗を表現するための基本技術です。
- スムージング: 鉛筆で細かく描いた線を、指及びティッシュペーパーやブレンディングツールでぼかし、滑らかなグラデーションを創ります。これにより、自然な明暗を表現できます。
- レイヤリング: 複数の層を重ねて描くことで、深みのあるグラデーションが作れます。薄く描いた層の上に、少しずつ濃くなるように重ねていきます。
- クロスハッチング: 線を交差させて影を作る技法です。線の密度を調整することで、濃淡を表現します。縦横斜めの線を繰り返して入れることで、徐々に濃度を深めていくことができます。
立体感を出すテクニック
出典画像:イラスト・マンガ描き方ナビ 光と陰で印象を変える!シェーディングテクニックhttps://www.clipstudio.net/oekaki/archives/164537
立体感を強調するためのテクニックをいくつか紹介します。
- キャストシャドウ: モチーフが他の面に落とす影を描くことで、奥行きを表現できます。影の輪郭を柔らかくすることで、自然な感じが出ます。
- 反射光: 光が反射してモチーフの暗い部分を少し明るくする効果を描きます。これにより、モチーフの立体感が強調できます。
- エッジのソフトニング: 明暗の境界を少しぼかすことで、自然な立体感を出せます。急激な明暗の変化を避け、滑らかな移行を目指します。上の画像のコアシャドウの上下部分がそれに該当します。
実践練習と応用
明暗の表現方法をマスターするためには、継続的な練習が重要です。以下の練習を試してみてください。
- スケッチ練習: 日常のモチーフを観察し、光と影の関係をスケッチします。異なる光源の下での明暗を試すことで、技術を磨けます。
- 模写練習: プロの作品を模写することで、明暗の使い方を学びます。特に、光の方向と影の形に注目して描いてみてください。
- 創作練習: 自身のアイデアで明暗を駆使した作品を描きます。独自のスタイルを見つけるために、さまざまなテクニックを試しましょう。
明暗の表現を習得することで、あなたの鉛筆絵はよりリアルで魅力的なものになります。基本をしっかり押さえた上で、応用技術を駆使し、あなただけのスタイルを確立してください。
テクスチャの描き方
出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 高沢哲明 氏
鉛筆絵におけるテクスチャ(感触や風合い)の表現は、作品に深みとリアリズム(写実)を加えるための重要な要素です。
異なる表面の質感を正確に描くことで、視覚的に豊かなアートを創り出すことができます。本章では、テクスチャの描き方について解説します。
テクスチャの基本概念
テクスチャ(感触や風合い)とは、物体の表面の質感を視覚的に表現する方法です。樹の粗い表面や布の柔らかさなど、異なる質感を描き分けることで、リアルな絵を完成させることができます。
- 視覚テクスチャ: 見た目の質感を表現する方法で、視覚的にモチーフの表面の特徴を伝えられます。
- 触覚テクスチャ: 実際に触ったときの感覚を表現する方法で、絵に立体感とリアリティ(現実性)を与えられます。
テクスチャの種類と描き方
出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 石原崇 氏
いくつかの代表的なテクスチャとその描き方を紹介します。
- 木目の描き方: 樹の表面は独特の模様があります。鉛筆を使って木目のラインを描き、その後に細かい線や点で質感を追加します。硬さの異なる鉛筆を使い分けることで、リアルな木目を表現できます。
- 布の質感: 布の柔らかさを表現するためには、クロスハッチングや陰影技法を用います。折り目やシワを細かく描き、光と影を使って立体感を出します。
- 金属の光沢: 金属の表面は反射が強いので、ハイライトを強調することが重要です。濃淡のコントラスト(明暗差)をはっきりと描き、反射光の部分を白く残すことで光沢感を出せます。
テクスチャの描写技法
テクスチャを効果的に表現するための基本技法を紹介します。
- クロスハッチング: 線を交差させて描く技法で、密度を調整することで異なる質感を表現できます。例えば、粗い紙の質感を描く際には、この技法が有効です。
- ドットテクニック: 点を使って質感を表現する方法です。点の密度や大きさを変えることで、砂や石のような表面を描くことができます。
- スムージング: 鉛筆の線をぼかすことで、滑らかな質感を創り出します。指及びティッシュペーパーや専用のブレンディングツールを使って、肌のような柔らかな質感を表現できます。
実践的なテクスチャの描き方
実際にテクスチャ(感触や風合い)を描く際のステップを具体的に紹介します。
- 観察と分析: 描きたいモチーフの表面をよく観察し、その質感を分析します。どのようなパターンや特徴があるかを理解することが重要です。
- スケッチ: まずは軽くスケッチを描き、全体の形や構造を把握します。この段階では、細かいディテール(詳細)にこだわらず、全体のバランスを意識します。
- ディテールの追加: 質感を表現するための細かいディテールを追加します。クロスハッチングやドットテクニックを駆使し、リアルな質感を描き込みます。
- 仕上げ: 最後に全体のバランスを見直し、必要に応じて調整します。濃いトーンをさらにもう一段濃くしたり、ハイライト部分を再度「練り消しゴム」で丹念に拭き取ることで、ハイライトや影を強調し、立体感をさらに引き立てられます。
テクスチャの練習方法
テクスチャ(感触や風合い)の表現力を向上させるためには、継続的な練習が不可欠です。以下の方法で練習を続けてみてください。
- 日常の観察: 日常生活の中でさまざまなモチーフの表面を観察し、その質感をスケッチします。
- 模写練習: 写真や実物を見ながら、その質感を模写します。特に、異なる質感を持つモチーフを組み合わせて描くと良いでしょう。
- 創作練習: 自身の創造力を活かし、さまざまなテクスチャを取り入れた制作を計画します。独自のスタイルを見つけるために、自由に描いてみましょう。
テクスチャの描き方をマスターすることで、あなたの鉛筆絵は一層リアルで魅力的なものになります。基本技術をしっかりと身につけ、応用力を高め、あなただけの表現方法を見つけてください。
構図とバランスの取り方
日美展 文部科学大臣賞・デッサンの部大賞 誕生2023-Ⅱ F30 鉛筆画 中山眞治
鉛筆絵において、構図とバランスの取り方は作品の魅力を大きく左右します。良い構図は視覚的な興味を引き、作品全体に調和をもたらします。本章では、効果的な構図とバランスの取り方について解説します。
構図の基本概念
制作の当初では、「構図」「構成」「構想を練る」といったことは何も考えずに、あなたが「楽しんで描く」ことが最も重要なことです。最初からいろいろ考えてしまうと、「修行状態」になり、挫折につながってしまうからです。^^
難易度は徐々に上げていくことが鉄則です。複雑な形状及び模様や柄は、避けましょう。咲き姿の複雑な花もやめておいた方が無難です。花を描く場合には、「造花」で白い、チューリップやコスモスにしましょう。
そして、描くことにある程度慣れて、描く以上は「各種展覧会や公募展へも出品したい」と考えるのであれば、「構図」「構成」「構想を練る」は必須になります。
構図とは、絵の中での要素の配置や並び方を指します。良い構図は視線の誘導を助け、作品のテーマやメッセージを強調できます。関心のある人は、この記事の最終部分に関連2記事が掲載してありますので参照してください。
尚、構図の簡単な例をあげれば、次のようなものがあります。
- 三分割法: 画面を縦横それぞれ3分割し、交点に重要な要素を配置する方法です。この方法はバランスを保ちつつ、視覚的な興味を惹けます。
- 黄金比: 自然界に多く見られる比率で、視覚的に心地よいとされています。黄金比を使って要素を配置することで、調和の取れた構図が創れます。
- 中心構図: 主題を中央に配置する方法で、強いインパクトを与えます。シンメトリー(左右対称)を利用することで、安定感を持たせることができます。この構図は、人物画などで用いることが多いです。
バランスの取り方
バランスは、作品全体の安定感や調和を決定します。視覚的な重さを均等に配置することで、自然な見た目を創り出せます。
- 対称バランス: 左右対称や上下対称に要素を配置することで、安定感を持たせます。シンメトリカル(左右対称)な構図は、落ち着いた印象を与えます。
- 非対称バランス: 異なる大きさや形の要素をバランスよく配置する方法です。動きやダイナミズム(力強さ)を表現したい場合に適しています。
- 視覚的重さ: トーンの濃淡や形の大きさ、テクスチャの密度などを考慮して、視覚的な重さを調整します。重要な要素が目立ちすぎないようにバランスを取ることが重要です。
効果的な構図の例
坂のある風景Ⅰ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治
いくつかの効果的な構図の例を紹介します。
- リーディングライン: 人工的または自然な形で観てくださる人の視点を作品の核となる部分に引き付ける構図上のテクニックです。視線を誘導するための線を利用する方法であり、道や川など、自然のリーディングライン(導線)を使うことで、視覚的なストーリーを創り出せます。上の作品を確認してください。
- フレーミング: 主題を囲むように要素を配置する方法で、視点を集中させる効果があります。窓や門などの自然のフレームを利用すると効果的です。
- 対角線構図: 対角線を利用して要素を配置することで、動きや深さを表現します。この構図は、視覚的な興味を惹きやすく、ダイナミック(動的)な印象を与えます。
坂のある風景Ⅱ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治
構図の応用技法
国画会展 会友賞 誕生2013-Ⅱ F130 鉛筆画 中山眞治
基本的な構図の技法を応用して、より複雑で魅力的な作品を作るための方法を紹介します。
- 重なりと層: 複数の要素を重ねて描くことで、奥行きや立体感を出せます。前景、中景、遠景を意識して配置することで、視覚的な深みを創り出せます。
- ネガティブスペース: 要素と要素の間の空白(ネガティブスペース)を意識して構図を作ることで、視覚的なバランスが取れて、空白を効果的に使うことにより主題が際立ちます。
- 動きの表現: 要素の配置やリーディングライン(導線)を使って、視覚的な動きを表現できます。曲線や斜線を利用することで、動きやエネルギーを感じさせる構図が作れます。
尚、画面深度を深めるテクニックを記しておきます。難しいことは何もありません。前景を薄暗く・中景を暗く・遠景を明るく、することで画面深度が深まります。
この手法は必ず役に立ちますので、構図の導入と同時に展開を考えましょう。上の作品を再度確認してみてください。こんな感じです。
構図とバランスの練習方法
構図とバランスのスキルを向上させるためには、継続的な練習が重要です。以下の方法で練習を続けてみてください。
- スケッチ練習: 日常のシーンを観察し、さまざまな構図でスケッチします。異なる視点やアングルから描くことで、構図の理解が深まります。
- 作品の分析: プロの作品や写真を分析し、どのように構図が取られているかを学びます。特に、視線の誘導やバランスの取り方に注目して分析します。
- 創作練習: 自身のアイデアでさまざまな構図を試して描きます。独自のスタイルを見つけるために、自由に構図をアレンジしてみましょう。
構図とバランスの取り方をマスターすることで、あなたの鉛筆絵は一層魅力的でプロフェッショナルな仕上がりになります。基本技術をしっかりと身につけ、応用力を高め、自分だけの表現方法を見つけてください。
構図について学習を深める効果的な方法は、構図のたくさん載っている本を一冊購入して、「一番簡単な構図」からはじめて、あなたの気に入ったモチーフを組み合わせましょう。そして、徐々に難易度の高い構図へと進んでいくことがベストです。
この手法をとりながら、静物(花を含む)・人物・動物・風景の順番に取り組むことで、急速に上達していく可能性が高まりますし、何でも描けるようになれます。
まとめ(完璧な鉛筆絵を描くための10のステップ)
(1) 鉛筆の選び方と基本的な使い方
- 適切な鉛筆の硬度を選び、適切な持ち方と使い方を学ぶ。
- H系統は細かい線、B系統は影や濃い部分に適している。
- 筆圧と角度を調整して線の質をコントロールする。
(2) 線の描き方と影のつけ方
- 直線、曲線、クロスハッチングなどの基本的な線の描き方をマスターする。
- グラデーション(階調)やブレンディング(ティッシュペーパーや指などで混ぜ合わせる…擦る)を使って自然な影を表現する。
- 立体感を出すためにキャストシャドウや反射光を描く。
(3) 明暗の表現方法
- 光源と影の関係を理解し、ハイライト、ミッドトーン、シャドウを描き分ける。
- スムージング(境界線際を滑らかにする)やトーンのレイヤリング(積み重ね)を使って滑らかなグラデーション(階調)を創る。
- 反射光やエッジのソフトニング(滑らかな階調の調整)でリアルな立体感を出す。
(4) テクスチャの描き方
- 木目、布、金属などの異なる質感を描き分ける。
- クロスハッチング、ドットテクニック、スムージングを使って質感を表現する。
- 日常の観察と模写練習でテクスチャの描写力を高める。
(5) 構図とバランスの取り方
- 三分割法や黄金比を使って視覚的に心地よい構図を作る。
- 対称バランスと非対称バランスで安定感や動きを表現する。
- リーディングライン(導線)やフレーミング(縁取り)を使って視線を誘導する。
(6) リーディングラインの利用
- 視線を誘導するために自然のリーディングライン(導線)を活用する。
- 道や川、建物のラインを使って視覚的なストーリーを創る。
(7) フレーミングのテクニック
- 主題を強調するために自然のフレームを使う。
- 窓や門、木々の間などのフレーミング(縁取り)要素を活用する。
(8) 対角線構図の活用
- 対角線を利用してダイナミック(動的)な構図を作る。
- 視覚的な動きや深さを強調するために対角線を使う。
(9) 重なりと層の技術
- 奥行きや立体感を出すために複数の層を描く。
- 前景、中景、遠景を意識して構図を整える。
(10) ネガティブスペースの活用
- 要素間の空白を意識して視覚的なバランスを取る。
- 空白を効果的に使うことで主題を際立たせる。
これらのステップを実践することで、鉛筆絵の技術を向上させ、プロフェッショナルな作品を作り上げることができます。継続的な練習と観察を通じて、あなただけのスタイルを確立し、魅力的なアートを創作しましょう。
ではまた!あなたの未来を応援しています。