毎日10分で変わる!初心者から中級者の鉛筆画・デッサン練習のルーティンとは?

鉛筆画

 どうも。私は、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

 さて、絵画の世界で上達することは、誰にとっても魅力的なことであり、特に鉛筆画・デッサンは、その基礎を学び、技術を磨くのに最適な方法の一つです。しかし、忙しい日常では長時間の練習は難しいでしょう。

 そこで、わずか毎日10分から始められる、デッサン練習ルーティンを提案します。この短時間練習法は、初心者から中級者への道を着実に歩み、絵画制作技術を効果的に向上させることができます。

 それでは、早速見ていきましょう!

  1. 鉛筆画・デッサンの基本技術:初心者が中級者になるためのステップバイステップガイド
    1. デッサンの基礎を固める:適切な持ち方から始めよう
    2. 形と比率を捉える:観察力を鍛える
    3. 陰影を理解する:立体感を表現するテクニック
    4. 細部にこだわる:細部の強化
    5. 練習を習慣に:毎日のルーティンで上達を加速
  2. 鉛筆画・デッサン力を高める!10分の練習で見違える絵の上達法
    1. 明暗差をマスターする:光と影のバランス
    2. 線の流れを意識する:動的な表現を追求
    3. ポーズと構図の実験:効果的な配置を理解する
    4. スピード練習で反射神経を鍛える
    5. 色彩感覚を磨く:モノクロで色の理解を深める
  3. 時間がないあなたに最適!短時間で効果的な鉛筆画練習法
    1. 速描きにチャレンジ:直感を養う
    2. 一点集中描写(フォーカスドローイング):一点集中の練習
    3. 基本形状の繰り返し:形の理解を深める
    4. 描写の種類:線の太さと強さを変える
    5. 陰影技法:影の効果をマスターする
  4. 毎日の練習で大きく成長!初心者から中級者へのデッサンスキルアップの方法
    1. 基本の「かたち」を徹底的に練習する
    2. 比例と構成を意識したスケッチ
    3. 視点を変えてみる
    4. 単色の線画でリアルな表現を追求する
    5. 身の回りの物を題材に使う
  5. 短期間で上達を実感!効率的な鉛筆画・デッサンの練習ポイント
    1. 正確な視測法を身につける
    2. 複雑な形状を基本形に分解
    3. 濃淡の階調(グラデーション)をマスターする
    4. 繰り返し描くことの大切さ
    5. 描画スピードの種類
  6. まとめ

鉛筆画・デッサンの基本技術:初心者が中級者になるためのステップバイステップガイド

  第2回個展出品作品 洋ナシのある静物 2000 F1 鉛筆画 中山眞治

デッサンの基礎を固める:適切な持ち方から始めよう

​​ 鉛筆画・デッサンの世界において最も基本的なスキルは、鉛筆の持ち方です。適切なグリップは描画の精度を高め、疲労を減らし、長時間作業を可能にします。

 このステップでは、指の位置と鉛筆の角度を調整することで、軽いタッチから力強い線まで自在に操れる技術を習得しましょう。

 まず、制作対象の全体の大きな輪郭を捉えるためには、人指し指・中指・親指でつまむように持ち、大きく腕を動かすイメージで優しく描線しましょう。この場合には、Bや2Bなどの柔らかい鉛筆で、優しくゆったりと自由に描線することがコツです。

 尚、制作時の姿勢は、足を組まずにイスに深く腰掛け、絵画教室であればイーゼル上のスケッチブックのすぐ脇にモチーフが見えるような状態にして、頭を動かさず視線だけ動かして制作できるようにしましょう。

 このような姿勢で制作できれば、疲労感が抑えられて長時間制作できます。

形と比率を捉える:観察力を鍛える

​​ デッサンの上達には、モチーフを正確に見る能力が不可欠です。日々の練習においては、簡単な幾何学形から始め、次第に複雑な形へと進んでいきましょう。

 そして、物の大きさや距離感を正確に捉え、それをスケッチブックや紙上に再現することが、中級者への道を切り拓く鍵となります。

           引用元:アートラボゼロプラス

陰影を理解する:立体感を表現するテクニック

​​ 光と影の関係を理解することは、デッサンで立体感を表現する上で必須です。光が当たる角度や強さを観察し、それを鉛筆の濃淡で表現する練習を行います。この技術は、デッサンの現実性を大きく向上させるでしょう。

細部にこだわる:細部の強化

​​ 初心者から中級者への移行期には、細部への注意が必要です。一見些細に見える質感や微妙な線の違いも、作品全体の質を左右します。さまざまな質感を表現できるように、異なる描画方法を試し、自分なりのスタイルを見つけ出しましょう。

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 高沢哲明 氏

練習を習慣に:毎日のルーティンで上達を加速

​​ 最後に、これらのスキルは継続的な練習を通じてのみ習得可能です。毎日の練習ルーティンを作り、少しずつでも確実にスキルを伸ばしていくことが大切であり、一日10分の練習でも、大きな進歩を遂げることができます。

 このようなステップバイステップガイドを実践することで、初心者から中級者へとスムーズにスキルアップすることが可能になります。鉛筆画・デッサンの技術を磨き、アートの旅を次のレベルへと高めましょう。

鉛筆画・デッサン力を高める!10分の練習で見違える絵の上達法

   第2回個展出品作品 胡桃のある静物 2000 F1 鉛筆画 中山眞治

明暗差をマスターする:光と影のバランス

 効果的なデッサンには、明暗差の理解が不可欠です。光と影を使い分けることで、形の立体感を強調しましょう。

 毎日の練習で、さまざまな照明下での物体の見え方を観察し、その明暗差(コントラスト)をスケッチブックや紙上に再現する練習を行います。このテクニックは、わずか10分の練習でも劇的な変化をもたらします。

線の流れを意識する:動的な表現を追求

 線の流れは、動きやエネルギーを表現する上で重要な要素です。鉛筆を使って、流れるような線を描く練習をしてみましょう。

 力強く、または柔らかく、線の質感を変えることで、絵に力強さをもたらすことができます。このスキルは、たった10分の練習で絵の印象を大きく変えることも可能です。

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 大寺聡 氏

ポーズと構図の実験:効果的な配置を理解する

 良いデッサンは、バランスの取れた構図から生まれます。短い時間を使って、さまざまなポーズや物体の配置を試してみましょう(構図については、この記事の最終の関連記事を参照してください)。

 これにより、視覚的に魅力的なデッサンを作るための感覚を養うことができます。構図に対する意識を高めることで、練習の効率が上がり、上達が加速します。

第2回個展出品作品 潮騒 2000 F100 鉛筆画 中山眞治

スピード練習で反射神経を鍛える

 スピードは、デッサンスキルを磨くための重要な要素です。時間を設定し、その中でできるだけ多くのスケッチを完成させることに挑戦します。

 このプロセスは、決断力と直感を鍛え、瞬時に形を捉える能力を向上させます。毎日10分のスピード練習は、描画技術を次のレベルへと押し上げるのに役立ちます。

色彩感覚を磨く:モノクロで色の理解を深める

 鉛筆画・デッサンでは色彩を使いませんが、異なるグレーのトーンを使って色の概念を理解することができます。

 モノクロームで表現することで、色の相互作用とバランスに敏感になります。10分間の異なるトーンの練習を積むことで、カラー作品に取り組む際でも色彩感覚が研ぎ澄まされるでしょう。

 これらのテクニックは、毎日のわずかな練習時間を最大限に活用し、デッサン力を着実に高めるためのものです。練習は短くても、その積み重ねが大きな進歩をもたらします。

第1回個展出品作品 野菜 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

時間がないあなたに最適!短時間で効果的な鉛筆画練習法

第1回個展出品作品 葡萄 1997 F6 鉛筆画 中山眞治

速描きにチャレンジ:直感を養う

​​ 短時間での練習法の中でも、速描きは直感的なスキルを養います。目の前の対象を1-2分で捉え、素早くスケッチブックや紙上に表現することで、重要な形状や線を瞬時に認識する力が身につきます。これをクロッキーとも言います。

 毎日、数分の速描きは、見たものを迅速に処理し、重要な要素を捉える能力を高める素晴らしい練習法です。

一点集中描写(フォーカスドローイング):一点集中の練習

​​ 集中力を高めるためには、一点集中の練習が有効です。10分間、一つの対象を集中して描くことで、深い注意力と集中力を養うことができます。

 この練習法は、鉛筆画・デッサンの技術を向上させるだけでなく、日常生活における集中力の向上にも寄与します。

基本形状の繰り返し:形の理解を深める

​​ 基本的な形状を繰り返し描くことは、形の理解を深めます。円、四角、三角などのシンプルな形から始め、それらが複雑な形にどのように組み合わさるかを学びます。この練習は、描きたい対象を基本的な形に分解して考える力を養います。

 尚、描き初めにおけるコツは、モチーフを簡略化した形状で捉えて、全体のバランスを取りながら描き進めていくことです。

 例えば人体であれば、足や腕は円筒として捉えたり、上半身部分は次の画像のように「への字」になった立体物として当初捉えて描き進んでいきます。そして、全体のバランスを見ながら修正を加えつつ、徐々に実物の形に近づけていきます。

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志 氏

描写の種類:線の太さと強さを変える

​​ 線の太さや強さを変える練習をすることで、表現の幅が広がります。

 軽いタッチで柔らかな線を描いたり、力強く太い線を描いたりすることで、鉛筆の扱い方が自然と身につきます。10分間に異なる線の特徴を試すことで、より表現豊かな作品を作り出すことができます。

陰影技法:影の効果をマスターする

​​ 影を利用した陰影技法は、鉛筆画・デッサンに深みと現実感をもたらしますので、異なる濃度で影をつけることで、対象物に立体感を出す練習をします。

 光の方向を意識しながら、影の濃淡を実験する10分間は、鉛筆画・デッサンの質を飛躍的に向上させます。

 これらの練習法は、忙しい日々の中でも取り入れやすく、短時間で大きな効果をもたらすことが期待できます。毎日の練習を通して、一歩ずつ鉛筆画のスキルアップを目指しましょう。

午後のくつろぎ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治

毎日の練習で大きく成長!初心者から中級者へのデッサンスキルアップの方法

第1回個展出品作品 静物Ⅱ 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

基本の「かたち」を徹底的に練習する

​​ デッサンスキルの向上には、基本となる「形」を描く練習が不可欠です。円・直線・楕円など、日々の練習を通じてこれらの基本形を正確に描けるようになりましょう。これらのシンプルな形が、より複雑な対象を描く際の土台になります。

 しかし、円・直線・楕円などは最初から上手にはかけなくて当たり前なので、上手にできなくても気にしないようにしましょう。最初の内は、定規・分度器・コンパスなど、使えるものは何でも使いましょう。

 描くことが多くなってくれば、自然と円・直線・楕円など、それぞれの線を描けるようになれます。

比例と構成を意識したスケッチ

​​ 物体の比例と構成を捉えることは、デッサンの質を大きく左右します。毎日の練習では、物体の各部分がどのように関連し合っているかを意識し、その比例を正確にスケッチブックや紙上に表現することが重要です。

 初心者から一歩進んで中級者へと進化するためには、このスキルが必要不可欠です。具体的には、人体であれば何頭身なのか、腕や足の長さは全身の比率は正しいか、顔が大きかったり、小さかったりしていないかなどです。

視点を変えてみる

​​ 同じ対象でも、異なる視点から見ることで全く新しい形状や構成を発見できます。

 毎日の練習で、対象をさまざまな角度から描くことで、空間認識能力と立体描写の理解が深まります。この練習は、デッサンの見方と描き方の柔軟性を高めるために効果的です。

単色の線画でリアルな表現を追求する

​​ 実際のモデルや、物体を観察しながら描く単色の線画(ラフドローイング)は、観察力と表現力を鍛えるのに最適です。

 生きた動きや、微妙な表情を捉えることは、デッサンスキルを中級レベルに引き上げるために役立ちます。リアルな質感や立体感を表現する力が自然と身につくでしょう。

       第1回個展出品作品 少年 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

身の回りの物を題材に使う

​​ 身の回りにある日常的な物を題材にすることは、新しい視点で捉える訓練になります。例えば、家の中にある野菜・果物・家具など、日々異なる物を選んで描くことで、多様な形状や質感に慣れ親しむことができます。

 これらのアプローチは、短時間でも集中して取り組むことで、初心者から中級者へとステップアップするための確実な方法になります。毎日の積み重ねが、デッサンスキルを着実に成長させることを忘れずに、練習を続けていきましょう。

蕨市教育委員会教育長賞 灯の点(とも)る静物 1999 F30 鉛筆画 中山眞治

短期間で上達を実感!効率的な鉛筆画・デッサンの練習ポイント

     第1回個展出品作品 ブラザーウルフⅠ 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

正確な視測法を身につける

​​ 鉛筆画・デッサンで上達するための最初のステップは、物の大きさや位置を正確に捉える視測法を習得することです。

 鉛筆で、対象物の角度や長さを測り、それをスケッチブックや紙上に移す練習を毎日行いましょう。このスキルは、比例感覚を養い、作品全体のバランスを整えるのに役立ちます。

複雑な形状を基本形に分解

​​ 複雑な物体も、基本的な幾何学的形状に分解して考えることで、デッサンがシンプルになります。

 毎日、身の回りの物を基本形に分解する練習をすることで、どんな複雑な形状でも描けるようになります。この方法は、短期間での上達を促進します(先ほどの横たわっている人体の描写部分を参照してください)。

濃淡の階調(グラデーション)をマスターする

​​ 鉛筆デッサンの上達には、異なる濃淡をスムーズに描く技術が不可欠です。

 毎日の練習で、軽いタッチから強い筆圧までを使い分けて、豊かな階調(グラデーション)を生み出す練習をしましょう。この技術は、作品に深みとリアリズムをもたらします。

 この部分では、鉛筆で描線を重ね合わせる手法である「クロスハッチング」を使いましょう。縦横斜めの4種類の線を使って、画面を埋めていきますが、描きにくさがある場合は、スケッチブックの方を動かせば無理なく描線できます。

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 大寺聡 氏

繰り返し描くことの大切さ

​​ 同じ対象を何度も描くことで、視覚記憶と描写能力が向上します。毎日同じ対象を繰り返し描いてみて、それぞれの試みで改善点を見つけてください。この練習は、短期間で細部に対する理解を深め、速度と正確性を高めるのに効果的です。

描画スピードの種類

​ スピードを変えて描くことで、描画の柔軟性と反応速度を養うことができます。

 タイマーを設定して、早描きでのスケッチと、じっくり時間をかけたデッサンの両方を試してみましょう。この練習は、異なるペースでの制作に慣れ、効率的な描画法を身につけるのに役立ちます。

 これらのポイントに焦点を当てた練習を続けることで、短期間での鉛筆画・デッサンスキルの向上が期待できます。毎日少しずつでも練習を積み重ねることが、成長への近道となるでしょう。

まとめ

       国画会展 会友賞 誕生2105-Ⅱ F130 鉛筆画 中山眞治

 デッサンの技術は継続的な練習と適切な学習法によって飛躍的に向上します。鉛筆を用いて毎日練習することで、対象物のサイズや位置関係を正確に把握し、バランスの取れた作品を描く土台を築けます。

 また、複雑な形状を基本の幾何学形に分解する技術は、どのような対象も簡単に描けるようになるための近道です。濃淡の階調をマスターすることで、鉛筆デッサンに必要な深みと現実性を表現できるようになります。

 軽いタッチから強い筆圧を使い分けることは、鉛筆の使い方を理解する上で重要です。さらに、同じ対象を繰り返し描くことで、細部に対する洞察力を磨き、描写スピードの向上にも繋がります。

 描画スピードを変える練習は、柔軟な描写技術と迅速な反応を可能にします。速描きから丁寧な描写までの種類を試すことで、さまざまな描画状況への適応力を養えます。

 そして、身の回りの物を題材に使用することで、実生活に根ざしたリアルな表現を追求することもできます。

 これらの練習法は、短時間でデッサンスキルの向上を実現できます。時間が限られている中でも、毎日わずかな時間でもこれらの練習に取り組むことで、初心者から中級者へのステップアップが可能になります。

 継続は力なり、とはよく言ったもので、毎日の小さな積み重ねが、大きな成長を生み出すのです。効率的な鉛筆画・デッサンの練習ポイントを押さえ、上達への旅を始めましょう。

 尚、あなたが展覧会や公募展へ出品を希望する際には、ただモチーフを上手に描けるだけでは入選できません。

 それは、あなたの制作する画面全体を使って、作品全体を魅力的な構成にする必要があるのです。その内容について興味のある人は、次の関連記事も参照してください。

関連記事:鉛筆画・デッサンの魅力を最大限に引き出す!構図導入の必要性と方法とは?

 ではまた!あなたの未来を応援しています。

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