どうも。私は、プロ鉛筆画家の中山眞治です。
さて、デッサンは芸術の基本です。この記事では、鉛筆を使って静物の美しさをどのように捉えるかを解説します。初心者向けの基本的な描き方から、上級者が挑戦したい応用技術まで、幅広いレベルに対応しています。
練習方法、構図のコツ、光と影の捉え方など、デッサンの魅力を存分に伝えますので、アートへの理解を深め、あなただけの表現力を磨くための一歩を踏み出しましょう。
それでは、早速どうぞ!
デッサン入門 – 初心者が知るべき基本
第1回個展出品作品 夜の屋根 1996 F10 鉛筆画 中山眞治
デッサンは、芸術世界への第一歩です。本章では、デッサンの基本を初心者に向けて紹介します。
デッサンの基礎の理解
デッサンとは、鉛筆や木炭(チャコール)などで描く素描のことであり、静物、風景、心象風景、人物、動物などさまざまな被写体をリアルに捉える技術であり、3Dの立体を2Dの平面へ落とし込むことを指します。
そこで、初心者の人にはまず、静物から始めることをおすすめします。シンプルな形から徐々に複雑な形へと進むことで、観察力と描写力が養われます。下の画像のような石膏のモチーフが絵画教室にはあります。
自宅でも取り組む場合には、白い卵や白いコーヒーカップなどの、形状が簡単なものから始めることがおすすめですし、バナナやジャガイモ・ニンジン・玉ねぎ・ニンニクなどもおすすめです。
尚、なぜ白いモチーフが良いのかというと、微妙な陰影がはっきりと確認できて、観察しやすいからです。
特に、曲面にできている陰影は、下の画像のように、一様に真っ黒ではなくて、中央部が濃い影であり、下の部分にはむしろ床面の反射光を受けて、微妙に明るいのです。そして、床面との接点に一番濃いトーンを使うことになります。
・引用元:アートラボゼロプラス
必要な道具を揃える
基本的なデッサン用具には、鉛筆(2H・H・HB・B・2B・3B・4B)、練り消しゴム、スケッチブックが含まれます。
初心者の人は、まずこれらの基本的な道具を揃えましょう。鉛筆は硬さによって異なる線の質を出すことができ、さまざまな表現が可能になります。
関連記事:鉛筆画・デッサン初心者~中級者必見!簡単に上達するためのベストツール一覧
絵画教室に通うべき理由
絵画教室では、扱いやすいイーゼルがあり、モチーフもたくさんあって、特に初心者の人が取り組みやすい材料が豊富です。
そして、ほど良い温度と湿度が確保されているので、イスに足を組まずに深く腰掛けることで、長時間の制作でも疲れにくい状態を維持しながら、絵画の制作に集中できます。
描き方のコツは、あなたがイーゼルにスケッチブックを載せた状態で、頭を大きく動かすことなく、目線の移動だけで、モチーフと画面を移動できるようにすることです。
また、スケッチブックの左右どちらでもよいのですが、あなたの描きやすいアングルの確保が必要です。画面のすぐ脇で、モチーフを見られるようにセッティングしましょう。これらの細かいことも講師が教えてくれます。
尚、デッサンを始める際は、線の描き方から、直線、曲線、影の付け方など基本的な技法を練習します。筆圧の強弱、線の太さ、細さでさまざまな表現ができます。
静物を描く際は、形と大きさ、比率を正確に捉えることが重要です。シンプルな物体からスタートし、徐々に複雑な物体へと挑戦していきましょう。前掲の画像3種類などは、取り組みの最初にはふさわしいでしょう。
絵画教室に通う際の注意点
描き方の基本的なことは、絵画教室の講師に教わることが一番の近道です。ただし、絵画教室へはいくら長くても1年も通えば充分でしょう。1週間に1度通うとして、半年でも良いくらいです。
その理由は、講師を超えることはできないからです。よっぽど素晴らしい才能のある人であれば別ですが、そうでもないことが多いのです。手っ取り早く講師の才能を知る方法は、その先生の作品を見てあなたがすばらしいと思えるかどうかです。
尚、絵画教室の先生に、ちょくちょく画面に手を入れてもらうことがクセになってしまうと、あなたは独自の作品を描くことができなくなってしまいます。できるだけ、あなた自身で描くことを心がけましょう。
そして、基本的なことを教わった後は絵画教室をやめ、「構図の基本書」を1冊購入して、自宅で制作しましょう。
イーゼルは、小さな物も販売されていますので、1万円もしないで購入できます。下の画像は、筆者が現在も使用しているものです。木製で高さは92cm程度です。
それに合わせたイスは、ホームセンターなどで販売している、20cm程度の高さの「踏み台」で対応できます。場合によっては、いらない電話帳や雑誌などを積み上げて代用できます。
光と影を意識する
デッサンにおいて、光と影の取り扱いは極めて重要です。光が当たる部分と影の部分をしっかりと捉えることで、立体感が生まれます。光の方向、強さに注目し、それに応じた影を描き加えます。
本章を通して、デッサンの基本を押さえ、芸術への第一歩を踏み出しましょう。練習と経験を積むことで、徐々にあなただけのスタイルを確立していけます。
静物画の魅力とは – 鉛筆画・デッサンの世界
第2回個展出品作品 洋ナシのある静物 2001 F1 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画・デッサンは、その繊細さと深みで多くの芸術愛好家を魅了しています。本章では、静物画の魅力と、それを鉛筆画・デッサンでどのように表現するかを探ります。
静物画デッサンの基本
静物画デッサンは、物の形、質感、光と影を捉える練習に最適です。鉛筆だけで、異なる質感や光の反射を表現することは、デッサンの基本技術を磨くことに役立ちます。
あなたも、家庭にある身近な品々をモチーフにして練習を始めることができます。使い古した調理器具や、野菜や果物ですら充分モチーフになるからです。
第1回個展出品作品 静物Ⅰ 1996 F10 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画・デッサンの技法
鉛筆画・デッサンでは、筆圧の強さ及び線の太さや濃さを変えることで、深みや立体感を表現しますが、異なる硬さの鉛筆を使い分けることで、よりリアルな静物画を描くことができます。
線で形を捉えて、柔らかい鉛筆で影をつけ、背景に濃いトーンを入れることで、モチーフが前に出てきます。
第1回個展出品作品 トルコ桔梗 1996 F6 鉛筆画 中山眞治
光と影の捉え方
静物画において、光と影はモチーフの形と立体感を形成します。光の方向と強さに注目し、それに応じた影を描くことで、作品にリアリティ(現実性)と深みを与えることができます。
光と影のバランスを考えながら、繊細なグラデーション(階調)を鉛筆で表現することが重要であり、モチーフ同士の光の反射や映り込み、また床面からモチーフへの反射など、微妙な陰影の描写をすることでリアリティーが増します。
静物画に表現を込める
第1回個展出品作品 休日 1996 F10 鉛筆画 中山眞治
静物画は、ただ物を描くだけではありません。描かれるモチーフの一つ一つに、作者のメッセージや感情を込めることができます。明暗の施し方や形、配置によって、静かながらも強い印象を与える作品を作ることも可能です。
上の作品では、仕事から解放された休日の「解放感」を表現しました。休日というものは、「自由でのんびりできる」かけがえのないものです。そういう点では、この作品は、心象静物といった感じの作品になりました。
鉛筆画・デッサンによるモノトーンでの制作では、光と影の劇的な対比によって、油彩画にも負けないほどの、鮮烈な印象を演出することさえ可能です。
本章を通して、静物画デッサンの基本とその魅力を理解し、あなただけの作品を生み出す第一歩を踏み出しましょう。
上級者のためのデッサンテクニック – 細部の描写と表現
第2回個展出品作品 蕨市教育委員会教育長賞 灯(あかり)の点(とも)る静物 2000 F30 鉛筆画 中山眞治
デッサンの上級者にとって、細部の描写と表現は作品の質を格段に向上させる重要な要素です。本章では、これらの高度な技術に焦点を当てます。
細部への注意深い観察
上級者のデッサンでは、モチーフの細部への注意深い観察が必須です。細かな質感、微妙な光の変化、影の複雑さなど、細部の観察は作品に深みを与えます。実物をじっくりと観察し、その特徴を細かく捉える練習をしましょう。
細部描写の技術
細部を描く際には、細密さと繊細さが求められます。細かい線を使って質感を表現し、微妙な影のニュアンスを捉える技術が重要です。異なる硬さの鉛筆を使い分け、細かい部分には極細の線を、大きな部分には幅のある線を使用します。
表現の豊かさ
上級者のデッサンでは、ただ細部を正確に描くだけでなく、その表現に豊かさを加えることも大切です。
あなたが、複数のモチーフを一つの画面に収める場合には、その中の主役と準主役を決めて細密描写を施し、それ以外のわき役などには、「意識的に手を抜く」ことも必要です。そうすることによって、主役や準主役が引き立ちます。
脇役を細密描写しないか、あるいは、脇役のモチーフのハイライトを抑えて描くことによっても、主役や準主役が引き立ちます。
あなたの描こうとしているモチーフや構成・構図によって、あなた自身の感動を観てくださる人に伝える努力が必要です。全部のモチーフを細密に描き、ハイライトの調整もしないとなると、「何を言いたいのか分からない作品」になってしまいます。
特に、細かい模様や柄のあるモチーフをしっかり描いてしまうと、観てくださる人の視線をその部分に集めてしまいますので、それが脇役の特長だったとすると、主役や準主役へ視線を集めにくくなることを記憶しておきましょう。
逆に、主役に、細かい模様や柄のあるモチーフを細密に描き込むことは理想的であるとも言えます。このように、テクニックの足し算引き算も考えて制作していきましょう。
総合的な構成とバランス
細部の描写に集中する一方で、作品全体の構成とバランスを見失わないように注意が必要です。全体の調和を保ちながら、あなたの強調したいところに注目が集まるように構成することが、上級者デッサンの鍵です。
本章を通して、上級者向けのデッサンテクニックの細部の描写と表現方法について学び、さらに高いレベルのアート作品を目指しましょう。
光と影の捉え方 – デッサンにおけるリアリズム
国画会展 入選作品 誕生2001 F80 鉛筆画 中山眞治
デッサンにおいて光と影を捉えることは、作品にリアリズム(写実)をもたらす重要な要素です。本章では、鉛筆画・デッサンでの光と影の表現方法を探ります。
光と影の基本原則
光と影を理解することは、デッサンの基本です。光が物体に当たる角度と強度によって、影はさまざまな形と濃淡を生み出します。これを理解し、観察することで、物体の形や質感、空間の深みを表現することができます。
影の描き方の技術
影を描く際には、光源の位置と強さを常に意識する必要があります。影は単なる暗いエリアではなく、その中にもグラデーションや細かなディテールが存在します。異なる硬さの鉛筆を使い分け、繊細な影のニュアンスを表現しましょう。
光の効果的な表現
第2回個展出品作品 誕生2006-Ⅱ F100 鉛筆画 中山眞治
光の表現は、デッサンに立体感を与える鍵です。光が当たる部分は、周囲よりも明るく、時には白く残しておくことで、輝きや質感を表現できます。光の反射や透過を捉えることで、作品に生命感や神秘性を与えることもできます。
リアリズムへの応用
光と影を適切に捉えることは、写実的な鉛筆画・デッサンを描く上で不可欠です。モチーフの形状、質感、空間の状況をリアルに表現するためには、光と影のバランスを熟考し、繊細なグラデーションと明暗の差を作り出す必要があります。
本章を通して、光と影を捉えることでデッサンにリアリズム(写実)をもたらし、より高度なアート作品を生み出す方法を学びましょう。
デッサンでアートスキルを磨く – 練習方法とアドバイス
第1回個展出品作品 人物Ⅳ 1996 F10 鉛筆画 中山眞治
デッサンは、アートスキルを磨く上で基礎となる重要な練習です。本章では、効果的なデッサンの練習方法とアドバイスを提供します。
定期的な練習の重要性
アートスキルを磨くには、デッサンを定期的に行うことが不可欠です。毎日または数日に一度、一定時間をデッサンに費やすことで、観察力や描写力を徐々に高めることができます。練習は短時間でも構いませんが、継続することが重要です。
筆者の場合には、当時、日中は仕事を持っていましたので、できるだけ帰宅途中で夕食を済ませて早く帰り、平日は夜の9時から11時まで、休日は「絵が描きたくて目が覚めてしまう」ので、朝の5時くらいから描いていました。
このように、休日は早朝から描きたいので、休日の前夜には早くに眠るようになりましたし、制作に取りかかる際には、寝起きで描き出して、制作に疲れるたびに、その合間合間で食事・掃除・洗濯・買物を入れて、制作を中心にした生活を送っていました。
「制作浸り」になれば、当たり前ですが少しは描けるようになってきます。この生活を2年続けると、当然作品がたまってきました。そうするとやがて、「個展を開催したい」という欲が出てくるものです。
そこで、その時点で早速個展開催の申し込みを行い、そこからさらに1年半後には、全部を合計すると45作品が出来上がりましたので、その中から40枚を選び出して、個展の開催にこぎつけることができました。
異なる被写体での練習
第1回個展出品作品 ブラザーウルフⅠ 1996 F10 鉛筆画 中山眞治
デッサンの練習では、さまざまな被写体を選ぶことが推奨されます。静物、風景、人物、動物など、異なる対象を描くことで、さまざまな描画技術を習得し、柔軟な表現力を身につけることができます。
光と影の練習に注力
デッサンにおいて光と影を正確に捉えることは、リアリズム(写実)を高める上で極めて重要です。異なる光の条件下での練習を行い、光と影がモチーフに与える影響を学びます。これにより、作品に深みと立体感を与えることができます。
具体的には、画面左上から入り込む光によって画面構成をすることは、レンブラントライトと呼ばれて、家の著名なレンブラントが愛した制作方法をまねてみるとか、画面右上からの光で描いてみるとかです。
場合によっては、画面中央にランプやキャンドルを据えて、その周辺にモチーフを置いて描くとか、色々と試行錯誤を楽しめます。その一例としては、次の記事も参照してください。
関連記事:鉛筆画・デッサンの初心者から中級者必見!√2と光を中心とした中空の3角のテクニックで構図力をアップする方法
自己評価とフィードバック
練習した鉛筆画やデッサンを振り返り、自己評価を行うことは成長に欠かせません。また、他者からのフィードバックを受け入れることで、新たな視点を得て、スキルをさらに磨くこともできます。
デッサンを通じてアートスキルを磨くことは、忍耐と継続が鍵です。これらの練習方法とアドバイスを活用し、日々の努力を積み重ねていきましょう。
デッサン用具の選び方 – 鉛筆から紙まで
デッサンを始めるにあたって、適切な用具を選ぶことは非常に重要です。本章では、デッサンに最適な鉛筆、紙、その他の必要な用具の選び方を紹介します。
鉛筆の選び方
デッサンにはさまざまな硬さの鉛筆が必要です。一般的に、2H・H・HB・B・2B・3B・4Bの鉛筆は基本セットとしておすすめします。H系の鉛筆は硬く、細かい線に適しています。
B系の鉛筆は柔らかく、暗い部分や影の表現に適しています。異なる硬さの鉛筆を使い分けることで、作品に深みとニュアンスを加えることができます。
しかし、描き始めの輪郭を取る際の鉛筆には、Bや2Bなどの柔らかい鉛筆で優しいタッチで描いていくことをおすすめします。その理由は、練り消しゴムで修整しやすく、画面に鉛筆の跡がつきにくいからです。
H系ではなく、B系の鉛筆であっても、強く描き込んでしまうと、練り消しゴムやプラスチック消しゴムで消しても、画面に鉛筆の跡がヘコミとなって残ってしまうこともあるのです。
関連記事:初心者必見!鉛筆画・デッサンで最適な鉛筆の選び方とその特性ガイド
紙の選び方
デッサンに適した紙は、質感や厚みに注目して選ぶ必要があります。粗めの紙は、鉛筆の線が際立ち、リアルな質感を表現するのに適しています。
滑らかな紙は細かいディテール(詳細)を描くのに適しています。ハイライト部分は紙の色になりますので、あなたの好みの色を選択しましょう。
しかし、薄いベージュのような色の紙もありますので、実際に紙の表面を他の素材とも比較して選びましょう。詳細は次の関連記事を参照してください。
関連記事:鉛筆画・デッサン初心者~中級者必見!最適なスケッチブックと紙の選び方
その他の用具
デッサンには、鉛筆と紙以外にもいくつかの用具が必要です。消しゴムは、硬いタイプと柔らかいタイプの両方を用意すると良いでしょう。具体的には、あなたが日常的に使っている、プラスチック消しゴムと練り消しゴムがおすすめです。
また、スケッチブックではなくて紙の場合には、デッサンボードやクリップなど、紙を固定するための用具があると便利です。これらの用具は、作品の質を高めるために重要な役割を果たします。
デッサン用具を選ぶ際は、自身のスタイルや描きたい被写体に合わせて選ぶことも大切です。適切な用具を使うことで、デッサンの技術をより効果的に向上させることができます。
ここの部分は、この記事の初めに掲載しています「鉛筆画・デッサン初心者~中級者必見!簡単に上達するためのベストツール一覧」を参照してください。
インスピレーションを形に – デッサンで表現する独創力
第1回個展出品作品 マリリン・モンロー 1996 F10 鉛筆画 中山眞治
デッサンは、アーティストのインスピレーション(ひらめき)を形にする強力なツールです。本章では、独創力を最大限に引き出すデッサンテクニックを紹介します。
インスピレーションの見つけ方
創造的なデッサンを始める前に、インスピレーションを得ることが重要です。自然、日常生活、他者のアート作品など、周囲の環境からインスピレーションを得る方法を探りましょう。
また、異なるアートスタイルや、過去の著名な作家の作品を研究することも、新たなアイデアを生み出す源になります。この部分では、次の関連記事も参照してください。
関連記事:鉛筆画・デッサンで初心者から中級者まで必見!複合した構図で心象風景を描く方法Ⅱ
クリエイティブな表現の追求
デッサンで独創力を表現するには、伝統的な技法にとらわれず、自分なりのスタイルを開発することが重要です。
実験的な線の使い方、大胆な構図、独特の光と影の扱い方など、自分だけの表現を追求しましょう。このプロセスは、アーティストとしての個性を形成し、作品に独自性をもたらします。
デッサンを通じた雰囲気や感情の表現
デッサンは、雰囲気や感情を表現する手段でもあります。澄明な空気感及び神秘的な雰囲気や癒される状況、悲しみ、喜び、平和、など、さまざまな雰囲気や感情を鉛筆画やデッサンを通じて表現する方法を探り出しましょう。
尚、グラデーションの施し方、筆圧の強弱、構図や構成などを通じて、さまざまなニュアンスを伝えることもできます。
独創力の育て方と持続的な維持方法
独創力を育む方法
独創力を育む秘訣は、「何とかインスピレーションを得なくてはならない」、と考えてしまうとなかなか見つからないものです。
かたや、この主役にしたいモチーフに、他のどんなモチーフを組み合わせて、どのような配置にしたら面白いだろうか、と考えると、視野が広がってきます。
そうです。何よりもあなたが、どうすればもっと面白くなるかと「心が遊んでいる状態で」考えましょう。そうすることで、次から次へとイメージが膨らんできます。
その最初の取り組みでは、あなたが描きたい対象をまず探して、関連性を膨らませましょう。例えば、ランプの明かりを中心にして描いてみたい・一輪挿しにあなたの好きな花を活けて描いてみたいなど何でも良いのです。
あるいは、構図の本の中から、どれか一つを選び出して、あなたなりのモチーフをレイアウトしたシミュレーションを行ってみるとかです。
独創力を維持する方法
そして、独創力を持続的に維持するには、常に新しいことに挑戦し、インスピレーション(ひらめき)を得る必要があります。異なるテーマや素材での実験、他のアーティストとの共同作業など、新たな試みを積極的に行うことも重要です。
具体的な一例では、モノトーンであっても、鉛筆の他に、木炭(チャコール)及びインクやボールペンなどでの制作や、場合によっては、同じ画面上で複合した素材による制作ということも手段の一つでしょう。
ただし、この場合には、鉛筆が一番弱い色になりますので、強い他の素材による黒が入ると、バランスを崩しかねませんので、一番暗いトーンにのみ使うなどの制作の検討も必要でしょう。
独創力は構想を練ることから出発する
尚、中級者以上の人は、やみくもに制作するのではなくて、制作にあたってはまず、じっくりと構想を練ることから始めましょう。あなた独自の画面構成や構図を含んだ、あなたの世界を展開するための検討が必要だということです。
つまり、あなたが各種展覧会や公募展へ出品する際には、入選するということは他者との競争に勝てなくては入選できませんので、審査員や鑑賞者を惹きつけるための魅力が必要なのです。
その場合には、次の関連記事から構想を練ることの重要性について、改めて考えてみることも重要になってきます。
関連記事:鉛筆画・デッサンで差をつける:初心者から上級者までの制作構想の重要性とは?
まとめ
青木繁記念大賞展 奨励賞 2001 F100 鉛筆画 中山眞治
デッサンはアートの世界への入口であり、その技術は初心者から上級者まで無限の可能性を秘めています。基本から始めて、徐々に自分だけの表現方法を見つけ、光と影を使いこなし、最終的にはインスピレーション(ひらめき)を形にする旅です。
初心者は、まずはデッサンの基本に焦点を当てることが重要です。シンプルな形から始めて、基本的な鉛筆の使い方、影の描き方を学び、段階的にスキルを上げていきましょう。
一方、上級者は、細部の描写と表現に、より注意を払うことで、作品にリアリズム(写実)と深みをもたらすことができます。このプロセスでは、適切なデッサン用具の選び方が重要で、鉛筆の硬さや紙の質感も作品の質を大きく左右します。
デッサンの醍醐味は、光と影を捉えることにあります。光と影を効果的に描くことで、静物及び風景、人物や動物がリアルに活き活きと描かれます。
これにより、デッサンはただの模写ではなく、見る人に雰囲気や感情を伝えるアート作品へと昇華します。
さらに、デッサンは独創力を表現する素晴らしい手段です。自身の感情や思いを紙の上に表現し、インスピレーションを形にすることで、アーティストとしての独自性を確立することができます。
異なるテーマや素材での実験、他のアーティストとの共同作業を通じて、常に新しい発見を追求することが重要です。
このように、鉛筆画やデッサンは単なる描画技術以上のものです。それは雰囲気、感情、観察、表現の旅であり、アートスキルを磨くための永遠のプロセスです。
尚、あなたが展覧会や公募展へ出品を希望する際には、ただモチーフを上手に描けるだけでは入選できません。
それは、あなたの制作する画面全体を使って、作品全体を魅力的な構成にする必要があるのです。その内容について興味のある人は、次の関連記事も参照してください。
関連記事:鉛筆画・デッサンの魅力を最大限に引き出す!構図導入の必要性と方法とは?
ではまた!あなたの未来を応援しています。
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