鉛筆画・デッサン入門:初心者が簡単に上達できるコツとは?

鉛筆画

 どうも。私は、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

 さて、鉛筆画や鉛筆デッサンの世界へようこそ!この記事では、鉛筆画の基本技法から、初心者でも簡単にトライできる上達方法までをご紹介します。

 線の描き方、陰影の付け方、立体感の出し方など、具体的なステップを通じて、あなたも一歩一歩確実にスキルアップできるでしょう。

 また、日々の練習で意識すべきポイントを押さえ、効果的に技術を向上させるためのアドバイスもご提供します。

 初めての人も、これからさらに腕を磨きたい人も、このガイドで鉛筆画の楽しさと奥深さを体験してください。

 それでは、早速見ていきましょう!

  1. 鉛筆画や鉛筆デッサンの基本:線の描き方から学ぶ
    1. 線の種類を理解する
    2. 適切な持ち方と動かし方
    3. 筆圧の加減をマスターする
    4. 線を使った表現技法
  2. 鉛筆画や鉛筆デッサンのための陰影技法入門
    1. 初心者の人は最初は楽しんで描くことが極めて重要な理由
    2. 陰影の基本原則を学ぶ
    3. グラデーション(階調)の描き方
    4. コントラスト(明暗差)を利用する
    5. 環境光と反射光の影響
  3. 立体感を表現するポイント
    1. 形状と視点の理解
    2. 光と影の効果的な活用
    3. 画面深度の作り方
    4. パースペクティブの適用
    5. 細部への注意
  4. 日々の練習で重要なこと
    1. 鉛筆画や鉛筆デッサン練習のためのモチベーションを維持する方法
      1. まず、あなたの住んでいる場所の展覧会に出品しよう
      2. あなたの画歴を効率よく構築する方法
      3. 公募展での入選はあなたの画歴になります
    2. 定期的な練習スケジュールの設定
    3. 練習の目標を明確にする
    4. 反復練習による技術の定着
    5. フィードバック(批評)の取り入れ
    6. 記録と振り返り
  5. 鉛筆画や鉛筆デッサン初心者の人が避けるべき一般的な間違い
    1. すぐに高度な技術に挑戦する
    2. 過度な比較と自己批判
    3. 不適切な道具の使用
    4. 練習の継続性がない
    5. 基本的な形状の練習を怠る
  6. 鉛筆画や鉛筆デッサンの上達例:ビフォー&アフター
    1. 初期作品と現在作品の比較
    2. 練習による具体的な改善点
    3. 上達に影響を与えた要因
  7. 質問と答え:鉛筆画や鉛筆デッサンに関するよくある疑問
    1. 鉛筆画や鉛筆デッサンを始めるために必要な道具は何ですか?
    2. 鉛筆の硬度はどのように選べばよいですか?
    3. 鉛筆画や鉛筆デッサンで陰影をうまく表現するにはどうすればいいですか?
    4. 線の種類とその効果は?
    5. 鉛筆画や鉛筆デッサンの練習において注意すべきことは?
  8. まとめ

鉛筆画や鉛筆デッサンの基本:線の描き方から学ぶ

第2回個展出品作品 洋ナシのある静物 2000 F1 鉛筆画 中山眞治

線の種類を理解する

 鉛筆画や鉛筆デッサンで最も基本となるのは、線の描き方です。まずは、直線、曲線、破線など、線の種類を理解しましょう。それぞれの線が持つ表現力を学び、どのように使い分けるかが重要です。

 例えば、直線は構造を示すのに適しており、曲線は柔らかさや動きを表現するのに役立ちます。

 尚、鉛筆・スケッチブック・練り消しゴムの特性などの詳細は、次の関連記事を参照してください。また、練り消しゴムは、「光」や「動物の毛並」などっを描く際にも便利に使えるので、一読な価値があります。

関連記事:

適切な持ち方と動かし方

 鉛筆の持ち方は、一般的な書き物の場合とは異なります。鉛筆画や鉛筆デッサンで、制作当初のモチーフ全体の輪郭を描く際には、鉛筆を人指し指・中指・親指でつまむように優しく軽く持ち、腕や肩を使って描くイメージです。

 大きな輪郭線を描くには、そのような方法によって、画面上の位置やバランスを取ることだけに集中して全体を捉えましょう。そうすることで、やがて、「この線だ」と思える線に出会えます。

 その要領で輪郭全体を描き込みます。全体を描き終えましたら、不要な線は「練り消しゴム」で整理しましょう。

 そして、全体のバランスを改めて整えたい場合には、当初の鉛筆画や鉛筆デッサンに使用した鉛筆よりも2段階明るい鉛筆を使うべきです。その理由は、濃い鉛筆でしっかり輪郭線を描いてしまうと、不自然な絵になってしまうからです。

 具体的には、あなたが当初2Bで描写していたとすれば、HBで優しく輪郭線を整えるということです。Bを使っていた場合には、Hを使います。

 そして、その際の鉛筆の握り方は、「文字を書くときの握り方」へ変更して描きます。持ち方一つで、線の質感が大きく変わるため、さまざまな持ち方を試して自分に合ったスタイルを見つけましょう。

筆圧の加減をマスターする

 筆圧の強弱は、鉛筆画や鉛筆デッサンにおいて重要な表現手法の一つです。当然ですが、鉛筆を強く押し付けると濃く、力を抜くと薄い線が引けます。

 この筆圧の加減を使いこなすことで、陰影やテクスチャ(感触)を効果的に表現できるようになれます。線の太さや濃さを変えることで、立体感や深みを出す練習をしてみましょう。

線を使った表現技法

 線の描き方には多様な技法があります。クロスハッチングは、縦横斜めの4種類の交差する線を使って影をつける技法で、立体感を出すのに適しています。

 この場合、描きにくい方向の線は、スケッチブックや紙を動かすことによって、簡単に引くことができますし、画面上のトーンの濃度をより濃くする場合には、クロスハッチングを複数回繰り返すことによって実現できます。

 また、点描は点を打つことで濃淡を表現する技法で、非常に繊細な描写が可能になります。この技法を駆使することで、鉛筆画の幅も広がります。

 これらの基本をマスターすることで、鉛筆画や鉛筆デッサンの技術が格段に向上し、さまざまな被写体を自在に描くことができるようになれます。練習を重ね、あなたのスタイルで表現する楽しみを味わってください。

鉛筆画や鉛筆デッサンのための陰影技法入門

第2回個展出品作品 ランプの点(とも)る静物 2000 F30 鉛筆画 中山眞治 

初心者の人は最初は楽しんで描くことが極めて重要な理由

 あなたが初心者の場合には、構成だの構図だの構想を練るだのと、一切考えないで描き進んでいきましょう。それは、あなたが最初からいろいろ考え込んでしまうと「手が止まってしまい」やがて挫折してしまうからです。

 最初の5作品くらいまでは、あなたが「楽しんで」描くことだけに集中しましょう。そして、あなたが「描く以上は各種展覧会や公募展にも出品したい」と考えるのであれば、その時点でたくさんの構図の載っている本を1冊購入しましょう。

 そして、色々な構図の中から簡単なものを選んで、あなたの描きたいモチーフをその構図に従って配置すればよいので、決して難しいものではありません。

 この「構図」にのっとった制作の見通しを立てることが「構想を練る」ということなのですが、これらのノウハウは、観てくださる人の目を惹きつけ、審査員にも強烈なアピールをすることができるようになれます。

 関心のある人は次の2記事も参照してください。最初の取り組みについての説明は、この先に続いていきます。

関連記事:

陰影の基本原則を学ぶ

 鉛筆画や鉛筆デッサンにおいて陰影は、モチーフの形の立体感を生み出すために不可欠であり、最初に理解すべきは光の理論です。

 光がどの方向から来て、モチーフにどのように当たっているかを把握し、それによってどの部分が明るくなり、どの部分が影になるかを確認します。

 光と影の境界線にも注意を払い、これが被写体の形をどのように表現しているかを観察しましょう。

 つまり、部屋の奥深くへ差し込んでいる光のエッジは、窓から入り込んですぐの光のエッジとは違って弱くなっていきます。

 このような観察を、制作に活かすことで、モチーフのリアリズム(写実)を表現できるのです。部屋の中の光源に近い影でも、光に近いところにできている影ははっきりとしていますし、離れたところにある影は淡くなっていますよね。

 真夏の炎天下の樹木の影は、くっきりと濃い影であることを思い出してください。このように、光の強さによって、影のでき方には違いがある事を制作に活かしていきましょう。

グラデーション(階調)の描き方

 陰影をスムーズに描くためには、グラデーションの技術が重要です。鉛筆を使い、徐々に筆圧を変えていくことで、自然な遷移を表現できます。

 暗い部分から始めて徐々に筆圧を軽減していくか、逆に徐々に筆圧を増していくことで、リアルな陰影が生まれます。

 そして、線の密度を「クロスハッチング」によって変えることも、グラデーションを表現する一つの方法です。

コントラスト(明暗差)を利用する

蕨市教育委員会教育長賞 灯(あかり)の点(とも)る静物 2000 F30 鉛筆画 中山眞治

 陰影においてコントラストは視覚的なインパクトを高める要素です。強いコントラストは被写体をよりドラマティックに見せ、視覚的な興味を引き寄せます。

 コントラストを効果的に使用するには、最も明るい部分と最も暗い部分のバランスを取ることが重要です。このバランスを意識することで、作品に深みとリアリズム(写実)をもたらすことができます。

環境光と反射光の影響

 環境光と反射光も陰影を描く際に考慮すべき要素です。環境光は部屋の明かりでモチーフの全体的な明るさを決定し、反射光はモチーフの隠れた部分や影の中に見られる微妙な光です。

 これらの光を理解し、それに応じて陰影を加えることで、よりリアルな三次元感を出すことが可能になります。

 この技法を身につけることで、鉛筆画や鉛筆デッサンにおける陰影の描写がより正確で表現力豊かになれます。定期的な練習を通じて、これらの技術を自然と使えるようになれることが大切です。

 上の作品の中の、コーヒーミルに当たっている反射光やコーヒーポットに映り込んでいるランプの光や、カップ&ソーサーにある反射光などの描写がリアルな表現につながっています。

 このように、ランプではなくても、ロウソクなどの灯(あかり)でも良いので、納得のいく配置が決まりましたら、部屋の灯を消して、画像に収めておきましょう。

 そして、パソコンなどへ取り込んで描きながら、時々改めて実物を見るようにして制作しましょう。これによって、必ず素晴らしい作品が描けるようになれます。

 また、黒いA4くらいの下敷きを用意して、その上にモチーフを配置して灯を点すと、なんとも言えない映り込みの素敵な世界が広がります。あなたも一度試してみませんか?

 その際には、火の取り扱いには充分注意しましょう。何か問題が発生しても、当方は一切関知しませんので宜しくお願い致します。^^

立体感を表現するポイント

      第1回個展出品作品 風神 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

形状と視点の理解

 立体感を表現するには、まず被写体の形状と、それを見る視点を正確に理解することが重要です。

 モチーフのそれぞれの面が、どのように向いているかを捉え、それを基に描くことで、よりリアルな三次元表現が可能になります。視点によって変わる形状の見え方を意識することが、立体的な描写への第一歩です。

光と影の効果的な活用

国画会展 入選作品 誕生2001-Ⅱ F80 鉛筆画 中山眞治

 立体感を出すためには、光と影の扱いは非常に重要です。光が当たる部分と影が落ちる部分を明確にすることで、モチーフの形が強調できます。

 光の方向と強度、影の長さと濃さがモチーフの形状を如実に表すため、これらを適切に表現することが求められます。

 尚、あなたが強調したい主役のモチーフのハイライトを際立てたい場合には、そのモチーフの背景に濃いトーンを持ってくることで、「輝いて見える」ほどの効果を出すことも可能になります。上の作品を改めて確認してください。

画面深度の作り方

      国画会展 会友賞 誕生2013-Ⅱ F130 鉛筆画 中山眞治

 トーンの濃淡を使って光と影を表現する際には、前景を薄暗く・中景を暗く・遠景を明るくすることで、画面深度を強調できます。上の作品を改めて確認してください。

 メリハリのある陰影画法での制作は、画面の中のこまごまとしたモチーフを細密に描き込むことよりも、観てくださる人や審査員に対する印象を深くすることが可能になります。

パースペクティブの適用

出典:イラスト・マンガ描き方ナビ https://www.clipstudio.net/oekaki/archives/152885

 遠近法(パースペクティブ)は、立体感を表現する上で欠かせない技術です。一点透視図法や二点透視図法を用いて、空間の奥行きとモチーフの位置関係をリアルに描くことができます。

 これらの技法をマスターすることで、観てくださる人へ、実際にその場にいるかのような感覚を提供することが可能になります。

細部への注意

 最後に、細部への注意も立体感を出す上で重要です。

 細かいテクスチャ(感触)やパターン、反射や光の屈折など、細部に富んだ描写をすることで、モチーフが持つリアルな質感が伝わります。これにより、作品全体の立体感が向上し、より引き込まれる作品に仕上がります。

 これらのポイントを意識することで、あなたのデッサンには深みとリアリズム(写実)が増し、強い立体感を表現することができるようになれるでしょう。

 しかし、一方では、あなたが描こうとしているモチーフ全部を克明に描くことがすべて良いわけではありません。それは、あなたが見ている画面の中で、あなたの感動を観てくださる人に伝わりやすくする工夫が必要なのです。

 そのための手法としては、主役や準主役のモチーフには「細密な描写」を施し、それ以外の脇役には、複雑な形や模様があっても、省略して描く・何となくわかる程度に描く、ということが必要なのです。それによって、主役が引き立てられるからです。

 あるいは全体を細密に描いても、主役と準主役には鮮明な「ハイライト」を入れる一方で、それ以外の脇役には、実際にはハイライトがあっても、そのハイライトの加減を抑えて描くことで主役と準主役を引き立てられるのです。

日々の練習で重要なこと

     第2回個展出品作品 トルコ桔梗 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

鉛筆画や鉛筆デッサン練習のためのモチベーションを維持する方法

まず、あなたの住んでいる場所の展覧会に出品しよう

 この方法は実に簡単です。あなたの住んでいる、市や区の展覧会への出品を一番近い目標にしましょう。そして、出品規定を取り寄せるかネットで確認して、その出品規定の中の一番小さな大きさで出品を予定するのです。

 入選できましたら、その次の年には出品規定の一番大きなサイズで、出品点数最大(おそらく2~3点)で出品しましょう。これによって、あなたの「入賞」の確率が高まります。

 その次に目指す目標は、都道府県の展覧会への出品です。同じく、まずは出品規定を取り寄せるかネットで確認して、出品規定最大の大きさと点数で出品しましょう。

 場合によっては、あなたの出品したかった公募展の出品規定最大の大きさと点数で出品して、入選できれば都道府県の展覧会はパスすればよいでしょうし、落選した場合には、その作品で都道府県の展覧会へ出品すればよいのです。

あなたの画歴を効率よく構築する方法

 あまり大きな声では誰も教えてはくれませんが、「入選できなかった作品」は発表したことにならないので、別の公募展や都道府県の展覧会へ出品できるのです。

 ただし、公募展へ出品できる大きさと、都道府県の展覧会へ出品する大きさが共通ならば良いのですが、そうでない場合には、公募展の出品規定最大の大きさが通る都道府県の展覧会へ出品することになることは覚えておきましょう。

 とにかく、各種展覧会や公募展への出品は、あなたにとって「とてつもない身近な目標」になるはずです。

公募展での入選はあなたの画歴になります

 また、あなたの希望する公募展も、都道府県の展覧会もどちらもダメだった場合には、別の公募展へ出品しましょう。そうやって、入選できなかった作品は、色々な公募展へ出品すべきです。

 筆者も、某公募展で入選できなかった作品を別の公募展へ出品したところ「奨励賞」を獲得できた経験がありますので、せっかく描いた作品には「日の目」を見せてあげましょう。

 そうすることによって、入選以上の結果を得られた作品は、あなたの「画歴」に掲載できるからです。ただし、繰り返しになりますが、その際には「構図」を研究し、充分に「構想を練る」ことが必要です。

定期的な練習スケジュールの設定

 鉛筆画や鉛筆デッサン技術を磨くには、一貫した練習が必須です。毎日決まった時間に練習を行うことで、技術は確実に向上します。

 少なくとも週に数回、特定の時間を練習に割り当てることが重要です。短時間でも構わないので、練習を日常のルーティンにすることが進歩の鍵になります。

練習の目標を明確にする

 効果的な練習のためには、その日の目標を明確に設定することが重要です。

 例えば、特定の描画技術の向上、新しいスタイルの試み、あるいは特定の作品の完成など、具体的な目標を持つことで、練習の焦点を絞り、効率的にスキルアップを図ることができます。

 尚、一日で必ず仕上げ切らなければならないということはありませんので、時間をかけて納得がいくまでしっかりと取り組むことを考えましょう。

 そして、ここが肝心なのですが、鉛筆画も文章と同じように、一日置いて改めて観てみることも必要です。次の日になって改めて観てみると、修整すべき点が何箇所も見つかるということは、現在の筆者でも良くある事なのです。

 また、「これ以上メリハリはつけられないか?」と自身に何回も問うてください。つまり、もっとトーンの濃いところを濃くすべきではないのかと考えてください。

 それによって、あなたの主役として捉えたモチーフが、さらに輝くことができるからです。作品の完成度を高めるためには、この「自らに何度も問う」行程は欠かせません。

反復練習による技術の定着

 技術を習得するには反復が必要です。同じ技法を繰り返し練習することで、手が記憶し、より自然に、より正確に表現できるようになれます。たとえ基本的な技法であっても、定期的に復習し、さらなる習得を目指すことが大切です。

 尚、あなたが構図の研究に着手した場合には、色々な構図を順を追って取り組んでみてください。モチーフもその時々でいろいろ用いることで、驚くほどのスピードで上達していけます。

 この場合、構図による分割点(線)などへ主役や準主役を配置するようになると思いますが、その際には、そのモチーフを削除・省略・拡大・縮小・つけたしなどを施して、「あなたの都合の良い状態」にして制作すればよいのです。

 何も、「あるがまま描かなくてはいけないというような決まりはない」のです。この具体例では、風景などでも「実際には電柱や電線があっても」省略して描くことによって、あなたの感動を作品化することができます。

 これを「デフォルメ」といいます。このように、あなたの感動した・見てもらいたい部分を強調するために、都合良く変更して強調することが重要です。

フィードバック(批評)の取り入れ

 成長を加速させるためには、他人からのフィードバックを積極的に取り入れることは効果的です。

 絵画教室であれば、講師や仲間からの指摘を聞き、それを自身の練習に生かすことで、見過ごしていた問題点を改善し、技術を向上させることもできます。

記録と振り返り

 自身の進歩を記録することも大切です。作成した作品の写真を撮ったり、スケッチブックを日付ごとに整理したりすることで、時間の経過とともに自身の成長を視覚的に確認することができます。

 定期的に過去の作品を見返すことで、どの分野が改善されたか、今後どのスキルに焦点を当てるべきかが明確になります。

 これらの練習のポイントを守ることで、制作技術は着実に向上し、自己表現の幅も広がるでしょう。日々の練習を積み重ねることが、最終的には大きな達成へと繋がります。

鉛筆画や鉛筆デッサン初心者の人が避けるべき一般的な間違い

すぐに高度な技術に挑戦する

 鉛筆画や鉛筆デッサンを始めたばかりの初心者が、陥りやすい間違いの一つは、基本技術を疎かにして、すぐに高度な技法や複雑な被写体に挑戦しようとすることです。

 基礎が固まっていない状態で、難しいテクニックに取り組むと、不完全な技術が身につき、後で修整が必要になる可能性が高まります。まずは基本的な線の描き方、形の描き方からしっかりと習得しましょう。

 尚、それどころか、いきなり難しい作品の制作に挑戦すると、苦しい制作になり、まるで修行のような状態は挫折へとつながります。あくまでも「あなたが楽しんで制作できる」ことが大切なのです。^^

 そのためにも、難易度は順を追って徐々に進めていくようにしましょう。また、静物(花を含む)・人物・動物・風景・心象風景などのように、さまざまなジャンルへ順番に制作していくことも試してみましょう。

 それによって、あなたはさまざまなジャンルの制作ができるようになれます。ただし人物を制作する場合には、最初の内は誰もが知っているような人物を描くのは止めておきましょう。

 幅広く「似てないね」と言われかねないからです。これはけっこう「ヘコム」ので、誰も知らない人物の制作のほうが楽です。^^

過度な比較と自己批判

 他のアーティストと、自身の作品を比較して落胆するのも、初心者の人によく見られる間違いです。人それぞれ進歩のペースは異なりますし、各自が持つ独自の表現スタイルもあります。

 過度の自己批判は、モチベーションを下げるだけでなく、創作意欲を妨げる原因となりますので、自身の成長を楽しみ、小さな進歩を積み重ねることが大切です。

不適切な道具の使用

 適切な道具を使用しないことも、初心者が陥りやすい誤りです。例えば、異なる硬さの鉛筆を使い分けることができないと、求める表現の幅が狭まります。

 初心者の人は、さまざまな種類の鉛筆及びスケッチブックや紙を試して、自身に合った道具を見つけることが重要です。質の良い材料を使うことで、作品の質も向上します。

練習の継続性がない

 定期的かつ一貫した練習を行わないことは、技術向上の大きな障害となります。練習は断続的ではなく、ルーティンとして取り入れるべきです。

 週に数日、短時間でも構わないので、練習を続けることが進歩への鍵です。継続は力なり、という言葉を忘れずに。

 理想を言えば、毎日20~30分間完全に集中して、鉛筆画や鉛筆デッサンによる各種モチーフの部分部分を制作していき、週に一度くらいはまとまった時間を作って、一貫した制作を行うといった具合がオススメです。

 そして、一つの提案ですが、休日などに、自宅で終日制作に取り組む時間を得られた場合には、制作につかれるたびに「家事の消化」を行えば一石二鳥です。

 筆者は、休日には「絵が描きたくて」早朝の4:00頃から起き出して、寝起きのまま制作を始め、疲れるたびに朝食・洗濯・掃除・買物・昼食を間にはさんで取り組んできました。

 夕方には、それらの疲れが出て、夜には酒に頼らなくても、「心地よい疲れ」からぐっすり眠れて、休日明けの朝には爽やかに仕事へ出かけていけました。 

基本的な形状の練習を怠る

 基本的な形状の描画を疎かにするのも初心者の一般的な間違いです。

 円、四角、三角などのシンプルな形からスタートし、これらを正確に描けるようになることが、より複雑なオブジェクトを効果的に表現するための基盤を作ります。形状の正確な描画は、全体の作品のバランスを向上させる助けとなります。

 その次の段階では、2Dではなく3Dの球体、立方体、直方体、三角錐などの制作がおすすめです。そのためにも初歩的な取り組みでは、「絵画教室」で石膏モチーフによる制作で、細かな基本を教えてもらうことが近道です。

 これらの一般的な間違いを避けることによって、初心者はより効果的に技術を向上させ、鉛筆画の楽しさを最大限に引き出すことができるでしょう。

鉛筆画や鉛筆デッサンの上達例:ビフォー&アフター

     青木繁記念大賞展 奨励賞 郷愁2001 F100 鉛筆画 中山眞治 

初期作品と現在作品の比較

 鉛筆画や鉛筆デッサンの技術向上を、視覚的に示す最も効果的な方法の一つは、自身の初期の作品と現在の作品を比較することです。

 初めて描いた頃の作品と、数ヶ月または数年の練習を経た後の作品を並べて見ることで、技術の進歩が具体的に感じられます。特に、線のコントロール、陰影の表現、細部への注意がどのように改善されたかを分析することは有益です。

練習による具体的な改善点

 具体的な練習方法が、どのように作品に反映できたかを考えることも重要です。

 たとえば、毎日一時間のデッサンの練習がどのように線の安定性と流れを改善したか、または特定の陰影技法の練習が、立体感の表現でどの程度向上させられたかを確認できます。

上達に影響を与えた要因

 筆者の場合には、絵画教室で基礎を教えてもらいながら、絵画教室で手掛けていた作品以外にも、自宅で調理道具及び野菜や果物などで制作していました。

 平日は、夜の9:00~11:00まで毎日2時間と、土日祝祭日や盆暮れ正月のすべてを朝4:00くらいから描き始めていました。

 そして、住んでいた市の展覧会へ出品し、次には個展の開催、公募展への出品へと歩みを進めました。この流れに沿って、作品の大きさをF10→F30→F50→F80→F100へと大きくしていきました。

 最終的には、公募展での入選が目標でしたので、楽しんで続けていたら、ここまで来たという感じです。

 ここで、重要なことは、個展を開催する場合には、人気のある会場を使用するとしたら、一年半以上前からの申し込みが必要になるということです。つまり、早めに申し込んでおき、その間に「必死になって制作する」という具合です。^^

 このように、「個展の申し込み」を行った後では、疲れただの、気が進まないだの、時間がないだの言っていられなくなり、ひたすら「笑いながら自分との闘い」です。^^

 何しろ、壁面を埋められるだけの作品点数が必要ですし、ちょうどの点数を描いたところで、完成度が低い作品は展示できませんので、展示予定点数よりも5~10点は多く描く必要があるからです。

 筆者は、個展会場が大きかったので、50枚描いて、その中から40枚を個展へ出品しました。この40という数字は、その第1回個展開催時の筆者の年齢が40歳だからでした。

 また、同じ会場で4年後にも第2回目の個展を開催しましが、個展会場が筆者の結婚披露宴会場にもなりました。

 あなたも個展を開催するならば、会場はいろいろありますので、作品の大きさによっても変わりますが、大雑把に25点前後あれば開催できます。そのためには、30点くらいの作品を描いて厳選できるようにすべきでしょう。

 尚、筆者が使用してきた書籍は、30年も前に購入した物なので古い話になってしまいますが、次のようなものです。中古でも良ければ、まだネットで探せるようです。

グラフィック社 鉛筆デッサン 東京武蔵野美術学院・監修

視覚デザイン研究所編 構図エッセンス

質問と答え:鉛筆画や鉛筆デッサンに関するよくある疑問

第1回個展出品作品 夜の屋根 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

鉛筆画や鉛筆デッサンを始めるために必要な道具は何ですか?

 鉛筆画や鉛筆デッサンを始める基本的な道具には、さまざまな硬度の鉛筆(同じメーカーの2H・H・HB・B・2B・3B・4Bの7本あれば当面制作できます)、質の良いスケッチブック、練り消しゴム、鉛筆削りが含まれます。

 これらの基本セットは、あらゆるレベルのアーティストが使用します。初心者はこれだけで多くのテクニックを学べて、試すことができます。

鉛筆の硬度はどのように選べばよいですか?

 鉛筆の硬度選びは、描きたいモチーフや個人の描画スタイルによります。一般的に、Hシリーズは硬くて薄い線が特徴で、細かいディテール(詳細)の描画に適しています。

 Bシリーズは柔らかく濃い線が引け、シェーディング(陰影技法)やダイナミックな表現に優れています。

 制作当初のデッサンでは、優しく描いても画面に定着の良い、Bや2Bの鉛筆の使用が良いでしょう。優しく描いているので、その後「練り消しゴム」で整理する際にも簡単に消えます。

鉛筆画や鉛筆デッサンで陰影をうまく表現するにはどうすればいいですか?

 陰影を表現する際は、光の方向と強度を常に意識し、それに応じて暗い部分と明るい部分を調整します。

 グラデーション(階調)を使って、自然な遷移を作り出すことが大切です。また、異なる硬度の鉛筆を使い分けることで、よりリアルな陰影効果を得ることができます。

 尚、画面上のトーンを乗せていく方法としては、「クロスハッチング」によって、縦横斜めからの4方向からの線を重ねていくことで、万遍なく穏やかにトーンを乗せていけます。

 描きにくい線は、スケッチブックや紙の方を動かすことによって、何の問題もなく線を描くことができます。

線の種類とその効果は?

 線の種類には直線、曲線、破線などがあり、それぞれが異なる視覚効果を持っています。

 直線は堅牢さや安定感を、曲線は動きや柔らかさを、破線は一時的または不完全な要素を示すことができます。これらを適切に使い分けることで、作品に深みや表現の幅を加えることが可能になります。

 しかし、線の種類にあまりこだわり過ぎず、モチーフをよく観て描くことに集中できれば、おのずと線の種類や描き方はわかってくるはずです。

鉛筆画や鉛筆デッサンの練習において注意すべきことは?

 鉛筆画や鉛筆デッサンの練習では、量より質を重視することが大切です。一つの技術やスタイルに焦点を当て、それを繰り返し練習することで、技術の向上が見込めます。

 また、定期的なフィードバックを受けることで、自身の弱点を認識し、改善点を明確にすることが効果的です。

 尚、一番重要なことは、くつろいで制作できる時間をたっぷりとって、ゆったりとした気持ちで取り組める、環境や精神状態と健康状態を保つということでしょう。

 気分が落ち込んでいたり、気がかりなことが頭から離れなかったり、イライラした気分では、決して良い作品は制作できません。爽やかな気持ちで、まぶしい朝陽を見て・感じて、もしくは、そのように気分転換して進んでいきましょう。

まとめ

    第1回個展出品作品 ブラザーウルフⅠ 1997 F10 鉛筆画 中山眞治

  鉛筆画や鉛筆デッサンの基本から応用まで:初心者も上級者も知っておきたいポイント

  • 基本技術の習得: 鉛筆画や鉛筆デッサンを始める際は、まず基本的な線の描き方から学びましょう。直線、曲線、破線の適切な使用が基礎となります。
  • 陰影技法のマスター: 陰影をうまく使って立体感を出すためには、光の方向を意識して、グラデーションを駆使することが重要です。
  • 立体感の表現: 立体感を表現するには、光と影、色の温度、パースペクティブを理解し適用することが効果的です。
  • 日々の練習の重要性: 練習は定期的に行い、一貫したスケジュールで実施することで、着実にスキルが向上します。目標を設定して、それに向かって努力を続けましょう。
  • 初心者にありがちな間違いを避ける: 高度な技術に挑戦する前に基礎を固め、不適切な道具の使用や過度の自己批判を避けることが大切です。
  • 上達の証としてのビフォー&アフター: 定期的に作品の比較を行い、自身の進歩を確認することで、モチベーションの維持につながります。

 これらのポイントを総合することで、鉛筆画や鉛筆デッサンの技術は格段に向上し、さまざまな表現の可能性が広がります。基本から応用までしっかりと学び、日々の練習を重ねることが、鉛筆画での成功への鍵となるでしょう。

 ではまた!あなたの未来を応援しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました