どうも。私は、プロ鉛筆画家の中山眞治です。
さて、鉛筆画・デッサンの世界へようこそいらっしゃいました!動物モチーフとしてのウサギを鮮やかに描くための構図術、エスキースのコツ、そして画面構成の基本から、見る人を魅了する作品作りの秘訣まで。
初心者の人から中級者の人に向けて、ステップバイステップで美しい鉛筆画の制作プロセスをナビゲートします。
画面のバランスを取る黄金比の活用から、線のメリハリをつける仕上げ方まで、実践的なガイドであなたの技術を次のレベルへと導きます。
それでは、早速見ていきましょう!
- 初心者の人から中級者の人へ!鉛筆画・デッサンのモチーフ選びとウサギの描き方
- 鉛筆画・デッサンで魅力的な構図を作るための構想術
- 鉛筆画・デッサンを一歩ずつ進める: 準備から本制作まで
- 鉛筆画・デッサンのエスキースに黄金比を取り入れるテクニック
- 鉛筆画・デッサンのレイアウトをプロのように考える方法
- 視線を引き付ける!鉛筆画・デッサンのための構図と配置の秘訣
- 鉛筆画・デッサンでの正確なサイズ測定:本制作前の準備
- 鉛筆画・デッサンの本制作画面で構図を決める:基本線の引き方とその効果
- 鉛筆画・デッサンの構図を整える:エスキースから本制作画面への遷移
- 鉛筆画・デッサンの進行中における輪郭線の整理法とその重要性
- 鉛筆画・デッサンで深みを出す技法:明暗のコントラストを強調する方法
- 中心点の扱いの重要性
- まとめ
初心者の人から中級者の人へ!鉛筆画・デッサンのモチーフ選びとウサギの描き方
動物を描くことで上達する鉛筆画・デッサンのメリット
動物画といえば、歴史上の海外の有名な画家は、デューラー・ブリューゲル・ベラスケス・ジェローム・ゴヤ・ジェリコー・マネ・クールベなど、まだまだたくさんの有名な画家がいらっしゃいます。
そして動物は、あなたのペットでも、近所のペットをスケッチにいくのもよいでしょうし、撮りためた写真を合成して制作することもできます。ネットからのスクリーンショットやダウンロードという手もあるので選択肢が多いですね。
撮りためた画像で、構図にそれぞれのモチーフをいかに構成していくかをじっくりと考えることは、室内で落ち着いて時間を気にせずに取り組めるので、絵画の制作に没頭できる至福の時間を満喫できます。
鉛筆画・デッサンに最適なモチーフ選びのコツとアイデア
あなたが動物のモチーフを考える際には、あなたの描きたい動物が一番良いのですが、思い当たらない場合には、来年の「干支」の動物にするのも手段の一つです。また、手頃なところで、犬や猫から始めるのも良いでしょう。
特に、制作当初の場合には、前述していますが、ネットからのスクリーンショット・ダウンロード・写真集などの「静止画」を使いましょう。動物に、いくら言い聞かせても「じっと」してはくれませんから。^^
そして、今回の制作例では、テーマの主体である構図として、①視線②逆3角形、及び(地平線を傾けて動きを出す・抜けを作る)を意識して制作していきます。
それは、構図基本線上に、今回のモチーフを落とし込んで制作するということであり、構図基本線の配置に対して、どのように描いていくかということを考えることでもあります。
今回は、黄金分割線上に乗ってはいませんが構図基本線はそれを意識して進めます。あなたが今回の記事を参考にして制作する場合には、まず主役・準主役及び脇役など全体のレイアウトはどうするかも決めていきましょう。
尚、あなたが、私の制作例に使っていないモチーフで、同じような構図で制作しても何ら問題ありませんが、私の制作例をそのまま使うことは、著作権がありますのでできません。あしからずご承知おきください。
鉛筆画・デッサンで魅力的な構図を作るための構想術
競争に勝てるオリジナリティーの必要性
あなたは、主役・準主役及びレイアウトはどうするかを決めていく際には、できるものであれば、あなた独自のテーマを考えてみましょう。
それは、例えば、寛ぎのひと時をシリーズ化、季節を象徴する花・果物・野菜で季節を表現、夜の街をシリーズ化、夕暮れ時を専門的に描くなど、あなたが描きたいと思えるテーマを見つけることであり、静物、人物、動物、風景すべてに言えることです。
その専門的なテーマが、あなたのオリジナリティーとなり、他の画家たちとの差別化を図れて、独自性を強調できるからです。ここは、いきなり大きな情報になりますが、あなたがこれから制作を進める際に、一番に考えるべき重要な点です。
これが、あなた独自のブランディングの構築になるということです。「この作風の絵はあの人の作品だな」と思われるようになりましょう。やみくもに描くことは、意味が少なく、効果的な展開には結びつきません。
どの上級者であっても、この部分は常に考え続けている点なので、早い段階から、あなたがこの点に気づいて検討を進めることは、重大な意味を持ちます。この点は、画家にとって一生考え続けていく部分だからです。
効果的な画面構成を計画するための戦略
今回の作品の制作にあたっては、以前から著名な画家の方々が取り上げることのある構図を意識して制作します。それは、モチーフであるAがBを見て、BはCを見る、Cは鑑賞者である我々を見るというものです。
そして、この3つのモチーフの配列を逆3角形の構図に落とし込むということであり、地平線を傾けて動きを出し、抜けを作って外界へ抜ける解放感も表現します。
今回の制作にあたっては、ネットで画像を取り込み、それぞれの画像を組み合わせて、この構図を構成することにします。
鉛筆画・デッサンにおける脇役の意外な効果とその活用方法
今回の主役は、こちらを向いている一番手前に横たわったウサギが主役です。その他の背後2匹のウサギは準主役であり、画面右上の抜けや画面左奥の樹木群が脇役ということになります。
そして、画面左奥は樹木を密集させて、観てくださる人の視線を画面右上の「抜け」へと導きます。また樹木群の隙間には、「抜け」よりも濃いトーンを入れて、「抜け」を引き立てます。
尚、我々の方に向いているウサギの視線は、我々に対して「緊張感」を与えることができるということをも記憶しておきましょう。静物画であれば、観てくださる人に向かって転がってくるボールなどでも緊張感を出すことができます。
鉛筆画・デッサンを一歩ずつ進める: 準備から本制作まで
鉛筆画・デッサンのアイデアを形にする:効果的な準備のステップ
次に、あなたが手始めにすることは、次のようの順序です。
簡単スケッチで構図を探る:初心者向けの試行錯誤法
まずは、あなたの身の回りにあるA4サイズの紙を用意して、それを正確に半分に切り、今回のあなたの作品のまずはメモ描き程度で自由に構想を練りましょう。
構図を決める:鉛筆画・デッサンのためのエスキースと基本線の重要性
下絵(エスキース)のサイズを実際に測って、構図分割線を入れていきます。
そして、構図基本線を入れるならば、その線はボールペンで入れておくと、そこへ鉛筆で描き込んでいけば何度でも試行錯誤できます(具体的な描線法はこの先で説明します)。
最終的に、あなたの気に入ったモチーフをあなたの気に入ったレイアウトに据えて、あるいは構図上の不足する部分を他のモチーフも加えたり、削除・修正・強調・変形して補うことにより、エスキースを造ることができます。
鉛筆画・デッサン本制作への道:ステップバイステップガイド
エスキースが実際の制作画面よりも小さい時には、拡大していくことになりますので、そのことを頭に入れて画面に向き合いましょう。多少の違いは本制作画面で修整するくらいの気持で取り組めば問題は少ないはずです。
尚、エスキースには次のような構図基本線を描き込みましょう。
鉛筆画・デッサンのエスキースに黄金比を取り入れるテクニック
効果的な鉛筆画・デッサンのためのエスキース作成方法
あなたが取り組む、本制作に入る画面の縮尺をかけたエスキースの画面に、構図基本線を描き込みましょう。
あなたが、本制作に入る画面の大きさをF10のスケッチブックのサイズで取り組むとして、そのエスキースはA4の紙を正確に2つに切ったもので制作する場合には、次のようになります。
F10の短辺は454mm・長辺が528mmなので、あなたが手元に用意したエスキースは、その短辺のサイズは148mmなので、F10の短辺のサイズ454mmで割ると、0.3259という数値が出ます。
鉛筆画・デッサンでバランスの取れた構図を作る基本線の引き方
そして、F10の長辺は528mmなので、この長さに上記の縮尺(0.3259)をかければ、172.07となりますので、あなたのエスキースの長辺を172mmにすれば、あなたが本制作に入るF10を正確に縮尺したエスキースの土台ができます。
今回の制作にあたっては、黄金分割というよりも√3の構図基本線に近いのですが、主役の顔の位置が黄金分割で区切られた升目にちょうどかかるので、黄金分割構図基本線を使って制作を進めることにします。
効果的な画面分割:構図を美しく見せる基本線の配置
そこで、このエスキースの土台画面に、黄金分割構図基本線(横向き)を引く場合には、縦横共にそれぞれの長さ÷1.618で値を求めます(具体的な説明はこの先で行います)。
この値を、画面横の場合であれば、上記画像のように左右からそれぞれ2つの分割点(線⑤⑥)を求めることができます。縦の場合でも、上記画像の⑦⑧のように、上下からそれぞれ2つの分割点(線⑦⑧)を求められます。
そして、上記画像のように、画面の縦横の2分割線(③④)と画面上の対角線(①②)を引くことによって、この黄金分割構図基本線は完成します。
鉛筆画・デッサンのレイアウトをプロのように考える方法
そして、描き込んだ基本線の黄金分割の升目を基準にモチーフを描き込んでいきますが、この点につきましても順を追ってご説明していきます。また、この時に、モチーフと各導線との交わり方や、導線の導き方も同時に考えます。
今回の制作例では、一番手前で我々の方を見ているウサギが主役ですが、右上の光の差し込んでいる空間部分が外界へ抜けていく構成もおこなうことにします(以後「抜け」と呼びます)。
画面の「抜け」を使った効果的な構図テクニック
この「抜け」があることによる効果は、観てくださる人の息苦しさを解消できます。それは、観てくださる人の意識がその「抜け」の先にある外界のひらけた空間に向けられて、解放感を与えられるからです。
そして、その効果は動物以外のどのジャンル(花・静物・人物・風景・心象風景)にも応用できますので、あなたのあらゆる作品に充分役立てることができるはずです。
エスキースと基本線を組み合わせる:整合性のある画面作り
今回の完成時のイメージは、各構図基本線を使ってモチーフの高さや、あるいは中心点になるように画面構成を考えます。
そして、今回の制作例では、主役のウサギの顔が黄金分割構図基本線で区切られたマス目(ZGIK)の中にかかるようにレイアウトして、主役の横たわった体全体も画面に納まる大きさで描き込んでいきます。
視線を引き付ける!鉛筆画・デッサンのための構図と配置の秘訣
主役のウサギをより目立たせることができるように、それ以外のモチーフにはトーンを入れていきます。
主役のウサギを目立たせるためにも、準主役の左右のウサギにはトーンが入りますが、主役のすぐ後ろ右側のウサギに入っているトーンよりも、左奥にいるウサギの方へは更にもう一段濃いトーンを入れましょう。
そして、背景にも濃いトーンを入れていきます。また主役には、うるさくならない程度に毛並みを細密描写して強調します。この毛並みの描き方については、一番最後のあたりで、練り消しゴムの先端をとがらせて「描いていく」ことになります。
鉛筆画・デッサンにおける画面構成のための配慮点
制作していくうえでは、主役以外のモチーフを細密に描き込み過ぎてしまうと、観てくださる人の視線を、その部分に集中させてしまいますので注意が必要です。あくまでも細密に描写するのは主役・準主役だけと認識しておきましょう。
これらのことを、エスキースに「描いては消し描いては消し」を繰り返して、いかにして基本線を有効に使ったレイアウトや充分な強調ができるかを考えて完成させます。
鉛筆画・デッサンでの正確なサイズ測定:本制作前の準備
スケッチブックのメーカーによっては、若干寸法が異なることがありますので、本制作前には実際に鉛筆画・デッサンを制作する画面のサイズを確認して、正確な構図基本線を引きましょう。
このことは、スケッチブック以外にも、例えばパネルに水張りをした画面で制作する場合のF100やそれ以上の大きさの画面にも共通して言えることです。
あなたも制作を始める際には、実際に描き込む画面のサイズに合わせて構図基本線を引きましょう。これは最も重要な点であり、毎回必ず行う必要があります。
鉛筆画・デッサンの本制作画面で構図を決める:基本線の引き方とその効果
繊細な鉛筆画・デッサンの構図:基本線を引く際のコツ
この各種基本線は、Bや2Bなどの柔らかい鉛筆の軽いタッチで描き込みます。
この時筆圧を強く描き込んでしまうと、のちの工程で練り消しゴムでは消しきれなかったり、跡が残ってしまうので、そのためには筆圧をかけ過ぎず優しく描くことが必要です。
構図のマスターへ:鉛筆画・デッサンの構図基本線の引き方
黄金分割構図基本線を引いた既成のF10で制作を進める場合には、筆者の使っているF10のスケッチブックのサイズは短辺が454mmで長辺は528mmです。
これにより、454mm÷1.618=280.5なので、280.5mmが縦の画面の黄金分割点となります。この分割点は、上下どちらからでも設定することができます(線⑦⑧)。
また、長辺の黄金比率を求めるならば、528mm÷1.618=326.3となり、326mmの位置が黄金分割点になります。この分割点は、左右どちらからでも設定することができます(⑤⑥)。
尚、あなたの使うスケッチブックの大きさに合わせて、正確な分割点(線)を描き込みます。実際に測って描線することを忘れないようにしましょう。
鉛筆画・デッサンの構図を整える:エスキースから本制作画面への遷移
- 黄色線:構図基本線(対角線・画面縦の2分割線・画面横の2分割線)
- 青色線:黄金分割線(上下左右の各2本)
- 桃色線:モチーフの逆3角形の構図を表す線
- 赤色線:黄金分割線⑦を中心部分で若干傾斜をつけた線
鉛筆画・デッサンの基礎から応用まで:エスキースでの正しい配置方法
描き始めにける全体の輪郭のバランスの重視
構図基本線上に、先ほど制作したエスキースを落とし込んでレイアウトします。実際に描き始める際には、まず全体を大づかみでとらえて描き進んでいきます。
この場合、本制作画面に描線していく際には、人指し指・中指・親指でつまむように鉛筆を持ち、全体の輪郭を一番に気にして描き込んでいきます。
そして、動物画の場合には、目の位置や角度と鋭さなどを最初のうちに輪郭線を入れていき、顔や全体を構成するほうが描きやすいことが多いです。
描き進むための効果的なツールの使い方と進め方
また、この段階では、今後あなたの制作作品によっては、必要ならば長め・短めの定規やコンパスもどんどん使いましょう。フリーハンドで直線や曲線を描くことは、制作を続けていく中でゆっくりと慣れていけばよいのです。
主役の顔の位置は、ZGIKの升目にかかるように配置します。また、黄金分割構図基本線の⑤と⑥を使って、背後の直立する樹木を設定します。
この直立する樹木では、画面の中でも強い黄金分割線を使うことによって、地平線の傾きに安定感を与えられます。
また、このトーンの一番濃い樹木が主役の背後にあることによって、手前の主役のウサギを引き立てる効果を狙います。
鉛筆画・デッサンの画面制作におけるテクニック:エスキースから完成形へのステップバイステップガイド
モチーフに基づいて実際にレイアウトしますが、今回の制作例では、上記の黄金分割構図基本線を意識しながら、上の画像のような状態を目標にして描き進んでいきます。
全体の輪郭線が描けて、不要な輪郭線を「練り消しゴム」で整理できましたら、鉛筆の握り方を「文字を書くときの握り方」へ変更しましょう。
そして、一段進んで細部を全体に描き込んでいきます。その作業も終了しましたら、全体のバランスをよく確認しながら、再度不要な線を整理して、もう一段進んで細部に描き込みをしていきます。
このような順序で、完成へと進んでいくことになりますが、あくまでも全体のバランスをよく確認しながら、主役・準主役が効果的に表現・強調できているかを常に考えながら描き進んでいきましょう。
構成力向上の秘訣:鉛筆画・デッサンで斜線の導線を上手に使う方法
制作にあたっては、構図基本線を意識してレイアウトしますが、作品によって画面に納まりきれない部分は画面の外にハミ出てよいのです。あなたの描く画面には、あなたの必要とする部分だけを切り取って描きましょう。
それは、モチーフ全体を無理に画面に収めようとすれば、窮屈になってしまうからです。逆に、画面からハミ出ることによって、画面の外への広がりが表現できることになります。
このことは、どの作品を描いていくうえでも言えることで、重要なことなので記憶しておいてください。
尚、画面最下部の底線(CD)上にモチーフを「乗っけた」ようにレイアウトすることは、重大な禁じ手なのでこれも覚えておきましょう。
理想の鉛筆画・デッサンを創る:あなたの想像を画面上に映す技術
制作例では、画面左上の角(A)からの斜線②は、主役のウサギの耳の頂点を通り、足先を抜けて画面右下の角Dへ到達させます。
また、画面右上の角(B)からの斜線①は、右後ろの準主役のウサギの耳のすぐ脇を通って主役のウサギの前足のすぐ脇を抜けて、画面左下の角Cへ到達しています。
つまり、斜線が通っていることを画面上のレイアウトや、モチーフの凹凸なども含めて暗示するということです。尚、作品によっては「水滴」や「枯葉の虫食い」なども上手に使いこなせられれば、導線に活用できることも記憶しておきましょう。
鉛筆画・デッサンの基本:描き始めの構図とレイアウトのポイント
絵画の制作では、実際のモチーフの形状を構成上修整することがあります。これは、どの画家もほとんど行っていることでデフォルメと呼ばれており、鉛筆画・水彩画・油彩画・アクリル画すべての制作技法について言えることです。
デフォルメは、風景画の場合であれば、実際の景色には電柱や電線があっても、作者の意図する一番見映えのする画面にするために省略してしまうことがあります。
それは、現存する状態に修整を加える事であり、「省略」「削除」「変形」「強調」「つけたし」「拡大」「縮小」など何でもアリです。
また、これらの構図基本線との重ね合わせは、構図の成り立ちを示すためでもあり、その暗示も含めて画面全体のバランスをとっているのです。
尚、制作例の画面上の主役のウサギの耳は、本来少し違った位置にありましたが、この導線を意識した位置へ変更しています。
鉛筆画・デッサンの進行中における輪郭線の整理法とその重要性
- 黄色線:構図基本線(対角線・画面縦の2分割線・画面横の2分割線)
- 青色線:黄金分割線(上下左右の各2本)
- 桃色線:モチーフの逆3角形の構図を表す線
- 赤色線:黄金分割線⑦を中心部分で若干傾斜をつけた線
鉛筆画・デッサン全体が整ってきたらモチーフそれぞれの輪郭線以外を整理する場合の注意点
最初に描き込んだ、全体の輪郭を取った際のたくさんの線を練り消しゴムで整理しますが、こののちトーンを入れていくところにある線はそのままにしておきましょう。
なぜならば、そこへはこれからトーンを入れていくので消す必要がないからです。そして、モチーフにかかっている線や抜けの中にある線は消しておきましょう。
仕上げに向かって、明るい部分にするところにある無駄な線は目立ってしまうので、必ず消しておく必要があります。
また、練り消しゴムで消したところは、その後トーンを入れていくと、消していないところと比較すると鉛筆の乗り具合が少しだけ違ってくることがあります。このため、できるだけ「練り消しゴム」で消す部分は少なくすることを心がけましょう。
鉛筆画・デッサンで深みを出す技法:明暗のコントラストを強調する方法
メリハリのある鉛筆画・デッサンの仕上げ方法:プロの仕上げテクニックを学ぶ
「練り消しゴム」でたくさんの線を整理した後は、いよいよ各モチーフのレイアウト後の制作工程に入りますが、その際には一番暗いところからトーンを入れていきましょう。
制作例の描き始めでは、特に画面上一番暗いトーンを使うのは、ウサギたちが横たわる地表であり樹木です。
尚、樹木は一番手前の樹木を一番濃く(3B)徐々に遠くに行くにしたがって、淡くしていきます(2B→HB→2H)。これによって、空気遠近法による遠近感を表現できます。また、緩やかな傾斜の地平線部分には最終的に5Bを使っています。
この部分が手前に比べて濃いトーンであることによって、画面右上の「抜け」がより明るく感じられるようになることから、その先に何か明るい、解放感に満ちた別世界があるようなイメージを与えられます。
デッサンの悩みを解消:うまくいかない時の鉛筆画修正法
ところで、例えば楕円形のモチーフやボトルなど左右対称なモチーフなどが、どうしてもうまく描けないということもあるでしょう。
このような時には、まず定規を用意して、そのうまく描けないモチーフへ縦の中心線を薄く引きましょう。そして、うまく描けている側の線を中心線から測って、反対側の位置に鉛筆で点を打ちましょう。
その方法で2~3cm間隔で同じように下へ点を打っていき、最後はその並んだ点を結べば描けます。尚、この場合、その点は強く描いてしまうと後から消すのに苦労しますので、2Bや3Bの軟らかい鉛筆で、優しく描き込みましょう。
デッサンのコツ:「激怒する先生」を避ける鉛筆画・デッサンの工夫
こんな話を絵画教室の先生が聞いたら、「激怒もの」ですが、そんなことはどうでもよいのです。あなたが楽しく鉛筆画を描くことができることが最優先事項です。
今回の制作例では、背景の樹木や地平線には定規を使っています。制作例によっては円形のモチーフもあるでしょう。このような場合には、コンパスを使いましょう。ただし、「激怒する先生」がそばにいる時はやらないようにしましょう。^^
そして、制作を繰り返していくうちに、これらの直線や円あるいは曲線などについても慣れていけます。経験が増えていけば、どなたでもできるようになります。
光っているべき部分の強調の仕方は、隣接している黒をもう一段黒くする
完成が近くなってきましたら、全体を観察してみて、今一つ迫力が出ない場合には、背景の黒さのトーンを思い切ってもう一段階黒くしましょう。
また、抜けなどの明るく白に近いところでも、淡いトーンを入れておく必要があります。それは、今回の制作例の中で一番明るい部分は、主役のウサギの顔や白い毛並みです。主役には一番明るいトーンを使う必要があるからです。
つまり、一番明るい主役の白さは、下地の紙の色ということになります。そこで、右上の「抜け」には10Hのトーンを入れてあります。背景に、明るいところであってもトーンが入ることで、主役の白い部分が生きてくるのです。
このハイライトであるべきところが、もう一つ明るくない場合には、その明るくなるべきところと隣接している部分の黒さの度合いが足りていない場合があります。
中心点の扱いの重要性
今回の制作例では、画面中心点にモチーフがかかっていますが、モチーフの中心が画面寸法上の中心点と重なっているわけではないので問題はありません。
しかし、肖像画や面積を多く取る必要のあるモチーフを描く場合など、意識的に中央にモチーフを配置する場合は別として、複数のモチーフで構成する画面では、できるだけ画面の中心点を避けて制作しましょう。
それは、画面の寸法上の中心点に主役・準主役のモチーフの中心を重ねてしまうと「動きが止まってしまう」ので注意が必要なのです。
まとめ
鉛筆画・デッサンは初心者から中級者にとって、豊かな表現力と技術の向上を図る絶好の練習素材です。ウサギのような動物モチーフは、その柔らかい毛並みや愛らしい姿で、鉛筆・デッサンの濃淡を駆使した細部の表現の練習に理想的です。
このブログでは、単なる基本技術に留まらず、鉛筆画・デッサンの魅力を最大限に引き出すための構図の考え方、エスキースの描き方、そして画面のバランスを整える黄金分割の利用法までを包括的に解説しています。
まず、モチーフの選定から始め、ウサギの鉛筆画・デッサン制作の構想を練る過程を紹介。メモ描きから構図分割基本線の入った下絵(エスキース)の作成、そして本制作に至るまでのプロセスを詳細にガイドします。
特に、下絵(エスキース)の段階での黄金分割の基本線の引き方や、画面全体のレイアウトの重要性については、初心者にも理解しやすいように解説しており、実践的なアドバイスを多数提供しています。
さらに、鉛筆画を描く際のサイズ感、構図基本線の引き方、そして本制作画面への構図基本線の落とし込み方に至るまで、具体的な手法を伝授しながら、視線を意識した制作により、観る人の目を惹きつける作品作りのコツも披露しています。
そして、画面の各要素が整い始めたところで、細かい線の整理や輪郭線の強調、光と影のコントラストを活かしたメリハリのある描き方へと進みます。
仕上げの段階では、明暗をより際立たせ、作品に深みとリアリティをもたらすためのテクニックを指南。デッサンに苦戦した際の対処法も、ユーモアを交えて紹介しています。
最終的に、中心点をいかに扱うかにも焦点を当て、バランスのとれた完成度の高い作品を目指すための方法を説いています。
この一連のプロセスを通じて、初心者から中級者までが鉛筆画の技術を磨き上げ、観る人を魅了する作品を創出できるようサポートすることを目的としています。
尚、この構図記事の他にも、あなたが展覧会や公募展へ出品を希望する際には、ただモチーフを上手に描けるだけでは入選できません。
それは、あなたの制作する画面全体を使って、さまざまな構図や発想を駆使することにより、作品全体を魅力的な構成にする必要があるのです。その内容について興味のある人は、次の関連記事も参照してください。
関連記事:鉛筆画・デッサンの魅力を最大限に引き出す!構図導入の必要性と方法とは
ではまた!あなたの未来を応援しています。
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