どうも。私は、プロ鉛筆画家の中山眞治です。
さて、このガイドでは、鉛筆画とデッサンの魅力に迫ります。特に初心者から中級者の人に向けて、ノスリを題材にした描き方をステップバイステップで解説します。
基本的な技術から、陰影の付け方、細部の描写方法まで、実践的なアドバイスを豊富に紹介して、鉛筆画・デッサンの世界にゆったりと浸れるためのガイドをお届けします。あなたも鉛筆だけで、美しいノスリの姿を描いてみませんか?
それでは、早速どうぞ!
選び抜かれたモチーフで鉛筆画・デッサンのテーマを鮮明に!
生きている動物を描くことは、プロでも至難の業です。そこで、あなたの描きたい動物の画像を用意しましょう。それは、図書館から借りてきた写真集でも、あるいは、ネットからダウンロードやスクリーンショットしたものでもよいのです。
今回のモチーフはノスリですので、できれば最初から複雑なポーズや模様・細かい毛並み・羽などのたくさんある画像は避けるか、あるいは複雑な模様や毛並みの部分を省略して、あなたなりに構成してみましょう。
そして、あなたの気に入った背景にするとか、余分な映り込みを省略(デフォルメ)することによって、作品の構成や主役をストレスなく鑑賞してもらえるようにしましょう。
構成と言えば、AがBを見る、BはCを見ている、Cは我々鑑賞者の方を見るという組み合わも、構図として成り立ちます。
今回のノスリでも、そのようなカットを組み合わせて構成するのも面白いのではないでしょうか。類似した内容は、次の関連記事を確認してください。
関連記事:鉛筆画・デッサンで初心者から中級者まで必見!ウサギを複合した構図で描く方法
ノスリの鉛筆画・デッサン:初心者のための基本的な描き方
最初は、細部を気にせずに描いていくのですが、一番気をつけるのは大きさと位置です。それは、制作が進んだ途中の段階から間違いに気づいても、大きさと位置はほとんどの場合に変えられないからです。
そして、全体の大きさと位置の輪郭が決まりましたら、頭と体の比率、それから口バシや目など、大きいところから、小さいところの順に描いていきます。
また、細かなところは後で修整しますので、描き始めは、全体のバランスを取ることだけを考えて描いていきましょう。
筆者の場合には、大雑把に全体の形を描き込んだあとに、真っ先に目を描いていきます。画像の中心として重要なポイントを優先して位置を決め、その中心的なインパクトのあるポイントを軸に全体を整えるという感じです。
鉛筆画・デッサンのためのツールガイド:初めての一歩を踏み出そう
この、写真及びネットからのダウンロードやスクリーンショットを使うことを、どこかの絵画教室の先生が聞いたら「顔を真っ赤にして怒る」人もいるかもしれませんが、そんなことはどうでもよいのです。
最初から、モチーフは立体のものを描きなさいとか、定規を使ってはいけない、コンパスなどはもってのほかというように、あくまでもツールを使わないことにこだわる先生も多いのですが、そなことは無視してかまいません。
とにかく、鉛筆画・デッサン初心者のあなたが、簡単・気軽・自由に、楽しんで描けることが一番重要です。
ただし、その「激怒する人」がそばにいる時に、平然とそれらのものを使うのはやめましょう。あくまでも、自宅での制作時には何でもありと理解してください。ふと、振り返ったら「大魔神」がいたら嫌でしょ。^^
大魔神
基本的なデッサンの細かいことは、あなたが描くことに慣れるにしたがって、継続して考えていけばよいことです。
陰影のマジック:鉛筆画・デッサンのリアリズムを高める技術
画面上にノスリの輪郭が描けましたら、陰影をつけていきます。重要なのは細かいところは気にしないことです。毛並みなどは後でつけられます。
この段階では、作品全体の明暗を徐々に描き進めます。まず初めは、一番濃い色のところから陰影をつけていきましょう。
上記の画像で言えば、羽の下側や胸部や腹部などです。目の周囲も逆光で黒ずんでいますが、眼球は瞳の周りの白い部分が「ぼんやり」とでも判別できる程度には描いておきましょう。
全体のバランスを見ながら進む鉛筆画・デッサンのコツ
ノスリの背景も同じように描き進めていきます。作品全体に同時進行でトーンを入れていきますが、この段階でも大切なのは作品全体のバランスを考えることです。
それは、一つの部分を完全に描き切ってから次に移るというような描き方では、モチーフの濃淡や全体のバランスがとれなくなってしまうからです。
タッチの向きで変わる!鉛筆画・デッサンの効果的な描き方
タッチ(※)の向き(鉛筆を動かす方向)は、毛の流れであったり、そのモチーフに合った方向でつけます。ここまでの制作で大まかな陰影がついているはずですから、少し細かい所にも目を向けて、描き込んでいきます。
(※)タッチとは、画材による点や線及び光と影によってできる明暗の変化や、鉛筆・デッサンで描いた濃淡、明暗など、グラデーションの状態や様子などのことです。
東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 大寺聡 氏
細部への注意:鉛筆画・デッサンの緻密な仕上げ
細かいところを見て描写していくと、どんどん濃淡の色数が増えます。まずは、一番濃い色のところを確定させて、その色に合わせてその他の部分のトーンの濃さを決め、全体の陰影のバランスをとっていくと割とスムーズに描き進められます。
あなたの目で見て、一番濃い色(黒)というところを最初に描いて基準とし、次に、その次に濃い色のところを描くという具合に、徐々に明るい部分を描いていくという制作方法が手順としてスムーズです。
逆に、明るい色から描き進んでいくと、最終的な濃い色がどんどん濃くなっていく傾向になってしまいますので、注意が必要です。もっと言えば、あなたが用意している一番濃い黒よりも、もっと濃い色が必要になってしまうということです。
最終的な完成に近づいて、調整しにくい場合には、今まで一番濃い色であったところを、後から、もう一段濃くして折り合いをつけてもよいのです。あくまでも制作しやすくするための手順と考えてください。
鉛筆画・デッサンでの練り消しゴムの使い方
第1回個展出品作品 ノスリ 1996 F10 鉛筆画 中山眞治
練り消しゴムは、プラスチック消しゴムなどよりも紙を痛めずに優しく消せますが、「消す」というよりは「描く」イメージで、白抜きしたいところに使うと便利です。ハイライト部分は、特に念入りに拭き取っておきましょう。
練り消しゴムの使い方は具体的に、毛並みの一部を練り消しゴムで「描く」ことができます。練り消しゴムを練って細くした先端で、毛並みを「描いていく」のです。
今回の制作例では、翼の中の白い部分などには、一旦周囲をクロスハッチングで面を埋めたところを、練り消しゴムで抜いています。それ以外の部分には、その後、濃い色を入れて仕上げています。
しかし、あまり考え過ぎないようにして、描き進めていきましょう。確定的な筆圧の強い描き方を避けて描くことで、あとから修整はいくらでもできるからです。
インスピレーションを求めて:絵画鑑賞のススメ
そして、やがて慣れてきてから構図も取り入れることを考えればよいでしょう。また、たまには絵を見に行きませんか。筆者の印象では、日展は「きれいなだけで個性的で野心的な作品は少ない」記憶しかありません。
おすすめは第一に国画会の展覧会である「国展(4月末~5月中旬)」、次いで独立美術協会の展覧会である「独立展(10月)」や、新制作協会の展覧会である「新制作展(9月下旬~10月上旬)」です。
展覧会(全国公募展)へ行きましたら、細かな技法ばかりを見るのではなくて、作品から受けるあなたの印象が重要です。
最初の内はよくわからなくても、あなたが強く惹かれる・感性に響いた作品の印象及び、モチーフのレイアウトの手法や、主役・準主役を引き立てるための工夫などを、あなたの作品にどう反映できるかを考えるのです。
やがてそれが、緊張感の出し方や画面構成のバランスなどに発展させることができるでしょう。
筆者は恥ずかしながら、抽象画がいまだによくわかりませんが、印象に残る具象画を見て帰ってくると、その印象を自分の作品に、どのように取り込むことができるかを考えるようにしています。
参考情報
まとめ
この記事では、初心者から中級者までのアーティストが鉛筆画とデッサンの技術を習得するためのガイドを提供しています。
特に、ノスリという魅力的な題材を使用した描画方法に焦点を当て、読者が自身のスキルを高めることができるように解説を行っています。
このブログでは、まず鉛筆画の基本から始め、ノスリの特徴を捉える方法を段階的に解説しています。
初心者の人にも理解しやすいように、線の引き方からスタートし、陰影の技術に進んみ、中級者の人には、細部やリアリズムを追求するテクニックも紹介します。
さらに、鉛筆画における色の濃淡や質感の表現方法にも注目しています。特に、ノスリの羽の質感や目の表情を中心とした全体のとらえ方は、読者にとって新しい発見となるはずです。
陰影の付け方にしても、作品に深みを与えるための重要な要素として、具体的な例を交えながら丁寧に説明しています。
また、ブログ内では、鉛筆画の制作過程を楽しむことの重要性も強調しています。美しいアート作品を創り出す過程を楽しむことで、創造性や表現力をさらに高めることができます。
尚、たまには美術館に足を運び、他のアーティストの作品からインスピレーションを受けることもお勧めです。
最後に、本ブログは初心者から中級者の人々が鉛筆画やデッサンの技術を磨くための貴重なリソースとなることを目指しています。
ノスリを題材に、基本から応用までのテクニックをカバーしており、あなたのアートの旅を豊かにするための一助となることでしょう。
尚、記事の他にも、あなたが展覧会や公募展へ出品を希望する際には、ただモチーフを上手に描けるだけでは入選できません。
それは、あなたの制作する画面全体を使って、さまざまな構図や発想を駆使することにより、作品全体を魅力的な構成にする必要があるのです。その内容について興味のある人は、次の関連記事も参照してください。
関連記事:鉛筆画・デッサンの魅力を最大限に引き出す!構図導入の必要性と方法とは
ではまた!あなたの未来を応援しています。
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