人物デッサンの基本と鉛筆画テクニック: 初心者から上級者へのステップバイステップガイド

人物画の描き方

 どうも。鉛筆画家の中山眞治です。さて、いきなり冷え込んできましたので、樹々の葉の色づいてくるのが楽しみですね。元気でお過ごしですか?^^

 ところで、人物デッサンの魅力は、そのリアルさと深みにあります。そして、鉛筆だけで表現できる人物の感情や特徴は無限です。

 このガイドでは、人物デッサンの基本から鉛筆画の上級テクニックまで、あらゆるレベルの描き手にとっての参考となるでしょう。

 初心者の人は基本の構図や陰影の取り方から学び、中級者以上の人はさらに深いレベルのテクニックや繊細な表現方法を習得することができます。

 美しい人物デッサンは練習と情熱、そして適切なアドバイスによって実現します。このガイドを手に、あなたも次のレベルへステップアップできます。

 それでは、早速見ていきましょう!

人物デッサンの基礎: 構図と陰影の基本テクニック

なぜ構図と陰影が重要か

 人物デッサンの中核となるのは、明確な構図と陰影の技法です。これらを正確に表現することで、平面的な紙上に立体感や深み、そして感情を描き出すことが可能になります。

構図の基本

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志 氏

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志 氏

 構図はデッサンの土台となる部分です。まず、人物のポーズや配置、バランスを考え、画面の中での位置関係を決定します。

 モチーフである人物の目線や視線の方向、主要な動線などもこの段階で意識すると、作品全体の印象が変わります。

シルエットの捉え方: 人物の外形をシンプルな線で捉えることから始めましょう。制作の最初には、大まかに全体の部分部分を大きな「カタマリ」と捉えて描き始めます。

比率の確認: 頭の大きさに対する体の長さなど、基本的な比率を確認しながら描くことが重要です。尚、比率については、この先で説明しています。

※ 構図については、この記事の最下部に掲載している記事を参照してください。

陰影の技法

 陰影は立体感を表現するための鍵です。光の方向や強さによって変化する陰影を理解して、それを表現することで、人物がリアルに浮かび上がります。

光の方向を決定: 光源とその方向を明確にして、それに基づく陰影を入れていきます。

陰影の強弱: さまざまな硬度の鉛筆を使用して、陰影の深さや薄さを描き分ける技法を習得します。大雑把に言えば、人物の影にはB系統の鉛筆で、人物そのものにできている影にはH系統の鉛筆を使います。

練習のポイント

 上達を早めたい場合には、何でもそうですが、たえず取り組むことが近道です。毎週の休日だけでは間が空きすぎます。平日にも帰宅してから取り組める日を作りましょう。また、楽しんで取り組むことが一番重要です。

 筆者の場合には、休日のほとんどすべてを早朝からと、平日も毎日2時間取り組んで、0経験から、3年半で個展の開催まで到達できました。

 あなたは、それほどのめり込まなくても良いのですが、上達したいのであれば、その気持ちの加減によって、取り組みの頻度を考えましょう。

 そして、繰り返しの練習が上達のカギですが、定期的に自身の作品を振り返り、どの部分が改善されたか、どの部分がまだ課題として残っているかを確認し、次回の練習に活かすことが重要です。

 この基本をしっかりと掴むことで、人物デッサンの魅力を最大限に引き出すことができるでしょう。

鉛筆画の深み: 繊細な表現方法をマスターする

第1回個展出品作品 人物Ⅵ 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画は、繊細な表現が可能なアートの形式の一つです。一見シンプルに見えるこの技法ですが、その奥には無限の表現の幅と深みが広がっています。

 本章では、鉛筆を使って絵画の深みを増し、感動的な作品を作るためのテクニックを探求していきます。

鉛筆の選び方とその特性

 適切な鉛筆を選ぶことは、繊細な表現をする上での第一歩です。異なる硬さや特性を持つ鉛筆は、それぞれ異なる効果やニュアンスを作品にもたらします。

(H系統の)硬い鉛筆の利点: 細かい線や細部を描くのに適しています。明瞭な明暗差や微細な表現に最適です。

(B系統の)柔らかい鉛筆の特性: 影の階調や、柔らかい質感を出すのに適しています。深みや豊かな表現に欠かせません。

関連記事:初心者必見!鉛筆画・デッサンで最適な鉛筆の選び方とその特性ガイド

細やかな陰影技法

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 大寺聡 氏

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志 氏

 陰影技法は、鉛筆画の繊細な表現の中心となる技法です。光と影を使いこなすことで、立体感や質感、そして作品の雰囲気を高めることができます。

クロスハッチング: 線を交差させることで、異なる濃淡や質感を生み出す技法です。この技法で用いる線は、縦横斜めの4種類の他、球体であればその球体の輪郭に沿った線などを使うことによって、リアルな陰影を表現できます。

きれいに見せるための手法: 紙や専用のツールを使って、鉛筆の線を滑らかにすることで柔らかな影を作り出せます。具体的には、ティシュペーパーや擦筆などを用いて、擦ることで微妙な陰影を表現できます。

 しかし筆者は、あえて擦らずに、鉛筆を優しく筆圧をできるだけ加えないで使い、微妙な陰影を表現しています。

質感の表現

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志 氏

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 高沢哲明 氏

 質感や感触を表現する能力は、鉛筆画の魅力を最大限に引き出す鍵となります。物の質感や人物の感情まで、細部にわたる表現で深みを増やしていきます。

布や髪の毛の質感: 鉛筆の動かし方や硬さを変えることで、異なる素材の感触を表現できます。

皮膚の繊細な表現: 複数の陰影技法を組み合わせることで、リアルな肌の表現を目指します。

 このように、鉛筆だけでもさまざまな表現が可能です。技法やテクニックを磨きながら、自身のスタイルを見つけ、鉛筆画の深みと繊細さを追求してください。

初心者向け: 人物デッサンのスタートライン

        第1回個展出品作品 人物 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

 人物デッサンは、アートの領域で最も魅力的で挑戦的なテーマの一つです。しかし、初心者がこの道をスタートする際のハードルは低くはありません。

 本章では、デッサンの基礎をしっかりと学び、確実に第一歩を踏み出すためのガイドを提供します。

まずは観察から

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志 氏

 良いデッサンは、鋭い観察から始まります。人物の動きや姿勢、表情の微妙な変化を捉えることが、リアルな描写の第一歩です。

日常の観察: 人々の動きや日常のシーンを観察し、メモや簡単なスケッチを続けることで観察力を養います。

感情の読み取り: 表情や姿勢から、その人の感情や思考を読み取る練習をします。

基本的な構成の理解

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志 氏

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志 氏

 人物を描く際の基本的な構成や比率を理解することは、デッサンの品質を大きく左右します。

頭と体の比率: 人間の体の比率やバランスを基本から学ぶことで、自然な形に近づけます。

顔のパーツの配置: 顔のパーツの位置関係やサイズを理解することで、表情の豊かさを表現します。

簡単な練習方法

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志 氏

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 大熊弘文 氏

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志 氏

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志 氏

 実際に鉛筆を手に取り、練習を始める前に、効果的な練習方法を知っておくことが大切です。

シルエットの練習: 人物の外形をシンプルな線で捉え、形やバランスの感覚を養います。

パーツごとの練習: 手や足、顔のパーツなどを個別に練習し、徐々に全体の構図に組み入れます。

 人物デッサンの世界は深く、挑戦的ですが、基礎をしっかりと身につけることで、あなたもその魅力に浸れるでしょう。

中級者・上級者へのステップアップ: 上級テクニックの探求

第1回個展出品作品 人物Ⅳ 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

 アートの道を歩み続ける中、中級者や上級者としてさらなる高みを目指す際には、高度な技法や独自の表現方法を追求する必要があります。

 本章では、上級テクニックの世界に足を踏み入れ、さらなる成長を促す方法を解説します。

複雑な構図と動きの捉え方

 一歩進んだデッサン技術として、複雑なシーンや動きをリアルに描写するスキルが求められます。

動的なポーズ: シンプルなスタンドポーズを超え、動きのあるポーズをリアルに捉える方法を学びます。

多重構図の構成: 複数の人物や背景を含むシーンの構築方法や、それらの要素間のバランスを探求します。

繊細な質感・感触の表現

キッチンにて 水滴Ⅴ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治

 上級者としての技術を磨く上で、異なる素材や質感の再現は欠かせません。

水や反射の描写: 光の反射や透明感を持つ水などの素材の描写技法を習得します。

微細な質感や感触: 皮膚の毛穴や布の繊維など、微細な細部をリアルに表現するテクニックを探求します。

個人のスタイルの確立

 アートの道を深く進むには、独自のスタイルや個性を持つことが不可欠です。

過去の名作の研究: 歴史的な名作や、現代のアーティストの作品を研究し、着想を得ます。

実験的な手法の探求: 伝統的な手法にとらわれず、新しい材料や方法を試すことで、独自の表現を開発できます。

 中級者や上級者としての道は、常に新しい発見や挑戦が溢れています。上級テクニックを習得しつつ、自身のスタイルを確立することで、アートの世界での存在感を高めてください。

練習と情熱: 効果的な練習法とモチベーションの維持方法

       第1回個展出品作品 人物Ⅰ 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

 アートの技術は継続的な練習によって磨かれますが、同時に情熱やモチベーションの維持も欠かせません。本章では、効果的な練習方法と、情熱を維持し続けるための戦略を提案します。

日々の練習を積み上げるテクニック

 継続的な練習は技術向上の鍵です。しかし、ただ無意識に練習するだけでは、大きな効果は望めません。

目標設定: 短期・中期・長期の目標を設定し、それに向けた計画的な練習を心がけます。

質の高い練習: 量だけでなく、特定の技術やテーマに焦点を当てた質の高い練習を実施します。

この部分の内容は、先へ続きます。

モチベーションを維持する秘訣

 情熱は時に減退するものです。しかし、それを維持・再燃させる方法は存在します。

新しい挑戦: 常に新しい技法やテーマ、材料を取り入れることで、アートへの興味を保ちます。

他者との交流: アートコミュニティに参加したり、他のアーティストとの交流を通じて、新しい視点や発想を得ます。

 筆者の場合、人物・静物・風景・心象風景の順序で、新たなモチーフを常に意識しながら制作を続けていますが、「今度は○○を描きたいな」という具合に、それぞれのジャンルに次回に描きたいものをいつも探しているような状態です。

 これによって、モチベーションを維持しながら、新たな挑戦を自然に行えている感じです。

 新たな着想を得るためには、展覧会に行って意識にとまる作品があれば、その構図やレイアウトを自身の作品では、どのように展開できるかを考えています。しかし、そっくりの真似は絶対にやめましょう。著作権法に抵触します。

 これは提案ですが、あなたが構図の本を1冊購入しているのであれば、順に並んでいる構図に従って、あなた自身が考えるモチーフと配置で実践していきましょう。そうすれば、制作の手が止まることはありません。

アートとの関係性を深める方法

 アートを生活の一部として取り入れ、日常との関係性を深めることが大切です。

日常の中のアート: 日常生活の中での小さな美しさや興味のあるものを見つけ、それを表現の源泉とします。あなたの、ジョギングやウオーキングの最中に、目にとまる景色やモチーフをスマホやデジカメに収めましょう。

 筆者は、ウオーキングの際に、可愛い雑草の花や、河べりの状況や、雲の形や、樹々の様子、などもデジカメに収めて作品にしています。それ以外のモチーフとの合成でも、作品は制作できるからです。

感受性を磨く: 音楽、文学、映画など、他のアートの形式を楽しむことで、感受性を磨き、自身の表現の幅を広げます。

 アートの練習と情熱は、手を動かすだけでなく、心の中にも深く根ざしています。効果的な練習法とモチベーションの維持法を活用し、持続的な成長を追求してください。

成功の秘訣: 実践者から学ぶ人物デッサンのコツ

      第1回個展出品作品 マリリン・モンロー 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

 人物デッサンの技術や感覚を磨くためには、先達の経験や知識を学ぶことが非常に有益です。本章では、実際に成功を収めたデッサンの実践者たちからのアドバイスやコツを紹介します。

リアルな表現力を追求する方法

 実践者たちが最も重視するのは、リアルな人物表現です。

微細な細部の捉え方: 肌の質感や髪の流れなど、微細な部分を丁寧に表現する技法を磨きます。

生命感を出すポイント: 人物の瞳や姿勢に生命感を持たせることで、デッサンに命を吹き込みます。

実践者が語る失敗と挑戦

 失敗は成功へのステップです。実践者たちの失敗経験から学び、自身の技術を高めることができます。

過去の失敗例とその教訓: 実践者たちが過去に犯したミスや、その際の学びを共有します。

継続的な挑戦の重要性: 新しい技法やテーマへの挑戦を継続することはとても重要です。さまざまなモチーフとさまざまなポーズを描くことによって、あなたの技術は進化していきます。

独自のスタイルを見つけるコツ

        国画会展・会友賞 誕生2013-Ⅱ F130 鉛筆画 中山眞治

あなた独自のテーマの必要性

 アートの世界で成功するためには、独自のスタイルや個性が必要です。あなた固有のテーマを持つことで、それがあなたのブランディングにつながります。

 さまざまな作品がある中で、ただ描いているだけでは主張が弱いのです。このテーマであれば、「あなたの作品が思い浮かぶ」という具合になれるように、あなた独自のこだわったテーマを見つけましょう。

 尚、今回の人物画の話ではありませんが、因みに筆者は、「誕生」をテーマとして描いています。それは、今までにもたくさん描いてきた作品ですが、いまだにそのテーマでも描いています。前掲の作品はその一部です。

着想の源と独自テーマの確立プロセス

 あなたが感動できる名作を鑑賞することで、多くの着想を得ることができます。または、あなたのイメージを作品にすることもできるはずです。イメージに合うモチーフを、あなたの好きな構図に落とし込むことで実現できます。

 平たく言えば、あなたが展開していきたいと思える「ストーリー」をメインテーマに据えて、そのあとで構図や、人物画であれば、モデルを選択するということです。

 尚、このモデルの選択とは、現物のモデル・写真集・ネットの画像・スクリーンショットなど何でも使いましょう。背景に困れば、あなたの撮りためた画像の合成でも良いのです。

 その際には、現実に見ている景色をデフォルメすれば、どのようにも修整することができますので、モチーフは無限にあるということです。

 尚、成功の背景には、継続的な努力と独自のアプローチが欠かせません。実践者たちの経験や知識を学ぶことで、人物デッサンの技術や感覚をさらに磨き上げる手助けとしてください。

まとめ

        第1回個展出品作品 少年 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

 アートの世界で成功を追求する際には、テクニックや感覚を磨くことは不可欠ですが、それだけでは充分ではありません。

 真の成長は継続的な練習と、自らの情熱やモチベーションの維持、そして実践者たちの経験や知識からの学びを組み合わせることで実現できます。

 日々の練習は、目標設定を明確にして計画的に進めることが重要です。練習の質と量を高めることで、短期間での成果を実感することができます。しかし、練習だけでは技術の向上は限られてしまいます。

 それをサポートするのが、情熱やモチベーションの維持です。新しい技法やテーマを取り入れ、他のアーティストとの交流など、自らを刺激する方法を常に探求することで、燃え尽きることなくアートへの情熱を保つことができます。

 さらに、先達や実践者たちの経験を学ぶことは、自らのアートの道を歩む上での大きな助けとなります。彼らの成功体験はもちろん、失敗や挑戦を通じて得られた教訓は、私たちにとって貴重な指南書となるでしょう。

 また、彼らが語る独自のスタイルの確立方法や発想の得方は、あなた自身のアートの方向性を見つけるヒントになります。

 結論として、アートの技術や感覚を高めるためには、日々の練習、情熱の維持、そして実践者からの学びを組み合わせることが重要です。

 これらをバランス良く取り入れながら、自身のアートの道を歩み続けることで、より高い成果を追求することができるでしょう。

 尚、あなたが展覧会や公募展へ出品を希望する際には、ただモチーフを上手に描けるだけでは入選できません。

 それは、あなたの制作する画面全体を使って、作品全体を魅力的な構成にする必要があるのです。その内容について興味のある人は、次の関連記事も参照してください。

関連記事:鉛筆画・デッサンの魅力を最大限に引き出す!構図導入の必要性と方法とは?

 ではまた!あなたの未来を応援しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました