鉛筆画・デッサンで初心者が知っておくべき風景画テクニックとは?

風景画の描き方

 どうも。私は、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

 さて、風景の鉛筆画や鉛筆デッサンは、自然や都市の美しい風景を自身の手で描くことで、創造力と技術を養う素晴らしい方法です。

 初心者の人にとっては、最初の一歩が難しく感じられるかもしれませんが、適切なステップとテクニックを学べば、誰でも楽しく描けるようになれます。

 この記事では、初心者の人が風景の鉛筆画や鉛筆デッサンを始めるために必要な基本ステップ、効果的なテクニック、必須のツール、上達するための練習方法、そして初心者の人でも挑戦しやすい風景の鉛筆画や鉛筆デッサンのアイデア集をご紹介します。

 それでは、早速見ていきましょう!

  1. 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンの魅力とは?
    1. 創造力と観察力の向上
    2. リラックス効果とストレス解消
    3. 技術の向上と自己成長
    4. 表現の自由と個性の発揮
    5. 社交の場とコミュニティ形成
  2. 初心者向け風景の鉛筆画や鉛筆デッサンの基本ステップ
    1. ステップ1 – 素材とツールの準備
    2. ステップ2 – 観察と構図の決定
    3. ステップ3 – ラフスケッチの作成
    4. ステップ4 – ディテール(詳細)の追加
    5. ステップ5 – 陰影のつけ方
    6. ステップ6 – 最終チェックと仕上げ
    7. ステップ7 – 練習とフィードバック
  3. 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンに必要なツールとその選び方
    1. 鉛筆の選び方
    2. 消しゴムの選び方
    3. スケッチブックの選び方
    4. 固定用具の選び方
    5. ブレンディングツールの選び方
    6. カッターナイフとシャープナーの選び方
    7. 参考資料の活用
  4. 初心者が知っておくべき風景の鉛筆画や鉛筆デッサンのテクニック
    1. 基本の線描法
    2. 遠近法の理解と応用
    3. 陰影のつけ方
    4. 構図の取り方
    5. ディテール(詳細)の描写
    6. 自然なテクスチャの表現
    7. 定期的な練習とフィードバック
  5. 効果的な練習方法で風景デッサンの腕を上げる
    1. 定期的なスケッチ習慣を身につける
    2. 観察力を鍛える練習
    3. ディテールに焦点を当てる
    4. さまざまな角度から描く
    5. 時間制限を設けるスケッチ
    6. 各種モノクロ素材での練習
    7. 他のアーティストの作品を模写する
    8. 定期的なフィードバックを受ける
  6. 初心者の人でも挑戦しやすい風景デッサンのアイデア集
    1. 公園の風景
    2. 街角の風景
    3. 海辺の風景
    4. 山や丘の風景
    5. 森の風景
    6. 川や湖の風景
    7. 農村の風景
    8. 風景の鉛筆画や鉛筆デッサン完成度を高める構図や構成について
  7. 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンでよくある質問とその解決方法
    1. 質問1 – 遠近法がうまく描けない
    2. 質問2 – 陰影のつけ方がわからない
    3. 質問3 – ディテール(詳細)をどこまで描けばいいのか
    4. 質問4 – どうしても構図がうまく取れない
    5. 質問5 – モチベーションが続かない
  8. まとめ 

風景の鉛筆画や鉛筆デッサンの魅力とは?

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンは、自然や都市の風景をスケッチブックや紙に描き出すアートの一形態です。初心者の人からプロまで、多くの人々が風景の鉛筆画や鉛筆デッサンに魅了される理由はその多様性と表現力の豊かさにあります。

 本章では、風景の鉛筆画や鉛筆デッサンの魅力について掘り下げます。

創造力と観察力の向上

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンを始めることで、創造力と観察力が飛躍的に向上します。風景を描くには、細部まで注意深く観察し、その特徴を捉える必要があるからです。

 このプロセスは、自然や建築物の美しさを再発見し、自身の視点で新たな表現を生み出す力を養います。

 特に初心者の人にとって、最初のうちは難しく感じるかもしれませんが、練習を重ねることで、次第に細部への気付きや表現力が身についていきます。

リラックス効果とストレス解消

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンには、リラックス効果とストレス解消の効果もあります。自然の中で静かに座り、風景を描くことで、日常のストレスから解放される瞬間を味わうことができます。

 また、鉛筆画や鉛筆デッサンに集中することで、心が落ち着き、リフレッシュすることができます。特に現代の忙しいライフスタイルにおいて、風景デッサンは心の健康を保つための素晴らしい手段となるでしょう。

 尚、実際に戸外で制作するほかにも、写真集やネットからのダウンロードやスクリーンショットなどを基にして制作することでも、上達していくことができます。

技術の向上と自己成長

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサン続けることで、技術の向上と自己成長を実感することができます。初めは基本的なスケッチから始め、徐々に陰影のつけ方や遠近法を学ぶことで、リアルで立体的な風景を描けるようになれます。

 このプロセスを通じて、自身の成長を感じることができるため、モチベーションも高まります。さらに、作品を見返すことで、過去の自身と比較して進歩を実感することができることも魅力の一つです。

表現の自由と個性の発揮

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンは、表現の自由と個性を発揮する絶好の機会です。同じ風景を描くにしても、描く人によってその表現方法は異なります。

 色使いや線のタッチ、構図(※)の取り方など、個々のスタイルが作品に現れます。これにより、同じ風景でも多様なアプローチが可能となり、オリジナリティあふれる作品も制作することができます。

※ 構図については、この先で触れます。

社交の場とコミュニティ形成

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンは、他のアーティストと交流する機会にも恵まれます。デッサンクラスやワークショップ(体験型の講座)、オンラインコミュニティなど、風景の鉛筆画や鉛筆デッサンを通じて多くの人々とつながることができます。

 これにより、他の人の技術やアイデアを学べて、自身の作品に新たなインスピレーション(ひらめき)を得ることができます。

初心者向け風景の鉛筆画や鉛筆デッサンの基本ステップ

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンを始めるにあたり、基本的なステップを押さえることは重要です。初心者の人が、スムーズに風景の鉛筆画や鉛筆デッサンを楽しめるべく、本章の各ステップを参考にしてください。

ステップ1 – 素材とツールの準備

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンを始める前に、必要な素材とツールを揃えましょう。基本的には鉛筆、消しゴム、スケッチブックがあれば始められます。 

 消しゴムは、深く消すためのプラスチック消しゴムの他に、細かい部分を消すために練り消しゴムもおすすめです。また、外で描く場合は携帯用のスケッチブックや折りたたみのイスがあると便利です。

ステップ2 – 観察と構図の決定

 あなたが初心者の場合には、風景の鉛筆画や鉛筆デッサンの第一歩は、描きたい風景を観察し、「とにかくあなたが楽しんで描くこと」が最優先です。最初から、「構図」だの「構成」だの「構想を練る」と、色々考えてしまうと挫折につながります。^^

 あなたが、5作品ほど描いて、「描くことにある程度慣れて」きて、「描く以上は各種展覧会や公募展にも出品したい」と考えるならば、「構図」・「構成」・「構想を練る」を取り込むことは必須です。

 「何となく描いた絵」や「モチーフだけ上手に描いた絵」では入選できません。それは、あなたの制作する画面全体を使い切って、より魅力的な仕上がりにするためには必要になることです。

 そうすることによって、作品を観てくださる人や審査員を魅了できる「内容の濃い」仕上がりになります。

 描きたい風景の中で、最も魅力的な部分を見つけ、その要素をどのように配置するかを考えます。視点や焦点を定めることで、作品にメリハリが生まれるので、最初は簡単な風景から始め、徐々に複雑な風景に挑戦していきましょう。

※「構図及び構成」や「構想を練る」については、この記事の最終部分に掲載の2記事を参照してください。

ステップ3 – ラフスケッチの作成

 次は、ラフスケッチを作成します。大まかな形や位置関係を鉛筆で軽く描いていきます。この時の鉛筆の持ち方は、人指し指・中指・親指で「つまむように」やさしく軽く持ち、肩と腕を使って大きな動作で行うことです。

 この時に使う鉛筆は、2BやBの柔らかい鉛筆で行うことがオススメです。それは、力を入れなくても濃い色の線が描けて、消す際にも簡単に消えるからです。

 この段階では細部にこだわらず、全体の位置や大きさとバランスを意識して描くことが重要です。ラフスケッチが整うと、デッサン全体の構成が見えてきます。

 尚、ここでのポイントは、一旦休憩をはさんで、改めて全体の輪郭線が正しく描けているか点検を行うことです。そうすることで、修整すべき点が複数見つかるということはよくある事なのです。

 点検を怠って、制作を進めていくと、あるところで「辻褄が合わない」ことに直面してしまうことが良くあります。さらに、制作の途中から「大きな修整」は難しくなることは記憶しておきましょう。

ステップ4 – ディテール(詳細)の追加

 ラフスケッチが完成しましたら、詳細を描き込みますが、改めて輪郭線を整理する際には、あなたがデッサンを2Bで行っていたとすれば、2段階明るいHBで優しく整えましょう。

 その理由は、濃い色の鉛筆でしっかり輪郭を取ってしまうと、不自然な作品になってしまうからです。そして、詳細を描き進む際には、鉛筆の握り方を「文字を書くときの握り方」へ変更して行いましょう。

 あなたの強調したい部分の、風景の特徴や質感を表現するためには、樹の葉や建物の細かい部分などを丁寧に描いていきます。

 ここでは、鉛筆の硬さを使い分けて陰影をつけることで、立体感を出すことができます。練り消しゴムでハイライト部分を拭き取って、光を強調することも効果的です。

ステップ5 – 陰影のつけ方

 デッサンに深みを加えるためには、陰影の表現が欠かせません。光の当たる部分と影になる部分をしっかりと観察し、それをデッサンに反映させます。

 鉛筆の硬度や筆圧を調整して、濃淡を描き分けることで、リアルな風景を表現できます。陰影を正確に描くことで、平面的なデッサンが立体的に見えるようになります。

 尚、この場合の陰影を入れていく順序は、一番濃い色のところから徐々に明るいところへと描き込んでいくことで描きやすさが増します。

 また、陰影を濃くする方法として、クロスハッチング(縦横斜め)の手法を使って、面の様子を見ながら徐々に、陰影の濃度を調整しましょう。描きにくい方向の線があった場合には、スケッチブックや紙の方を動かせば無理なく描けます。

ステップ6 – 最終チェックと仕上げ

国画会展 入選作品 誕生2001-Ⅱ F80 鉛筆画 中山眞治

 作品が完成しましたら、最終チェックを行います。全体のバランスや細部の描写に問題がないか確認し、必要に応じて修整を加えます。

 仕上げとして、それまであなたが一番濃い色として扱ってきた部分が3Bだったとすれば、その部分を4Bで改めて陰影を入れて、消しゴムで不要な線を消したり、練り消しゴムでハイライトを追加したりします。

 これにより、鉛筆画や鉛筆デッサン全体が引き締まり、完成度が高まります。尚、あなたが一番目立たせたい部分のハイライトを利かせる方法は、簡単なことですが、背景や隣り合わせに「濃いトーン」を持ってくることで、引き立てられます。

 上の作品を参照してください。

ステップ7 – 練習とフィードバック

 最後に、風景の鉛筆画や鉛筆デッサンは継続的な練習が重要です。定期的にの鉛筆画や鉛筆デッサンを行い、自身の作品を見直すことで技術を向上できます。また、第三者からフィードバックを受けることも成長の一助となります。

 オンラインコミュニティやデッサンクラスで作品を共有し、アドバイスをもらうことで、新たな視点や技術を学ぶことができます。

風景の鉛筆画や鉛筆デッサンに必要なツールとその選び方

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンを楽しむためには、適切なツールを選ぶことが重要です。特に、ツールの選び方が作品の質に大きく影響します。ここでは、風景の鉛筆画や鉛筆デッサンに必要なツールとその選び方について解説します。

鉛筆の選び方

 鉛筆は、最初に使う範囲として、2H・H・HB・B・2B・3B・4Bの7本あれば充分です。H系統の鉛筆は硬く、薄い線を描くのに適しており、細部の描写や下描きに向いています。

 B系統の鉛筆は柔らかくて、濃い線を描くのに適しており、陰影や濃淡を表現するのに役立ちます。これらの鉛筆を使い分けることで、鉛筆画や鉛筆デッサンに深みと立体感を加えることができます。詳細は次の関連記事を参照してください。

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消しゴムの選び方

 消しゴムも重要なツールの一つです。プラスチック消しゴムは、深く食い込んだ線を消すことができます。

 一方、「練り消しゴム」は柔らかく「消しカス」も出ず、細かい部分やハイライトを表現する際に非常に便利ですし、練って「しゃもじ」のような形にすることで、トーンの濃度を落としたい場所に軽く押し当てることで、調整することもできます。

 練り消しゴムは形を自由に変えられるため、細部の修整や光の表現に最適です。また、「光を描く」「毛並みを描く」「複雑な柄や模様を描く」際などの特殊な用途でも実力を発揮します。詳細は下の関連記事を参照してください。

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スケッチブックの選び方

 スケッチブックは、紙質とサイズが重要です。紙質は中程度の厚さで、紙肌も中程度の粗さの物は、鉛筆が乗せやすいです。これにより、描き心地の良さと、消しゴムを使用してもスケッチブックや紙の破れにくさを確保できます。

 持ち運びを前提とするならば、A4やA5サイズがオススメです。スパイラル式のスケッチブックは、ページをめくりやすく、描きやすいので便利です。

 自宅で取り組む場合には、F10号での取り組みをオススメします。その理由は、あなたがやがて、あなたの住んでいる市や区の「各種展覧や公募展へ出品」したいと考えた際にでも、出品できる大きさだからです。

 尚、市や区の公募展では、F6号から出品できるところもありますので確認してみましょう。

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固定用具の選び方

画板の画像です

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンを行う際には、スケッチブックを安定させるための固定用具も必要です。画板は、スケッチブックを固定して安定した描画を可能にしてくれます。

 軽量で、持ち運びしやすいものを選ぶと良いでしょう。また、立ったまま描く場合にはイーゼルも便利です。折りたたみ式のイーゼルは、持ち運びが簡単で、屋外での使用に適しています。

参考:イーゼル・ディスプレイ – アウトドアイーゼル 通販 | ゆめ画材 (yumegazai.com)

ブレンディングツールの選び方

 モノトーンの鉛筆画や鉛筆デッサンでは、ブレンディングツール(擦筆…ぼかし道具)を使用して滑らかなグラデーション(階調)を作成することもできます。

 ティッシュペーパーや紙製のブレンディングスティック(擦筆)は、鉛筆の線をぼかして柔らかい陰影を作るのに役立ちます。これにより、リアルな質感や立体感を表現することができます。

カッターナイフとシャープナーの選び方

 鉛筆の芯を細く鋭くするためには、カッターナイフや鉛筆削りが必要です。カッターナイフは、芯を細く削る際に使い、細かい描写を可能にしてくれます。

 一方、鉛筆削りは迅速に芯を削るための便利な道具です。両方を用意しておくことで、状況に応じて使い分けることができます。

 尚、鉛筆が、鉛筆削りで削れないほど短くなった際には、上の画像のような「鉛筆ホルダー」に差し込んでカッターやナイフで削れば、使い切ることができます。

参考資料の活用

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンの際には、参考資料も役立ちます。写真やスケッチガイドを使用することで、デッサンの構図や細部の描写に役立ちます。特に初心者の人は、参考資料を見ながら描くことで、技術を向上させることができます。

 また、現地でのスケッチが難しい場合には、写真を参考にすることで、リアルな風景を描くこともできます。

初心者が知っておくべき風景の鉛筆画や鉛筆デッサンのテクニック

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンは、美しい自然や街の風景を描き出す魅力的なアートです。初心者の人がスムーズに始められるよう、基本的なテクニックを理解しておくことが重要です。

 本章では、風景の鉛筆画や鉛筆デッサンを始める際に知っておくべきテクニックを解説します。

基本の線描法

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンの基本は、正確な線を描くことから始まります。まず、手の動きを滑らかにするために、鉛筆を軽く持ち、腕全体を使って線を引くようにします。

 初めは、直線や曲線の練習を繰り返し行い、手の動きを慣らすことが大切です。また、風景の中の形状や輪郭を大まかに捉えるために、ラフなスケッチを繰り返すことが基本技術の向上につながります。

遠近法の理解と応用

     国画会展 会友賞 誕生2013-Ⅱ F130 鉛筆画 中山眞治

 遠近法は、風景の鉛筆画や鉛筆デッサンにおいて重要なテクニックの一つです。遠くの物体が小さく、近くの物体が大きく見える現象を利用して、立体感を表現します。消失点を設定し、そこに向かって平行線を引くことで、遠近感を出すことができます。

 これにより、リアルな風景を描くことが可能になります。練習方法として、身近な風景や建物を観察し、遠近法を取り入れて描くと良いでしょう。

 尚、画面深度を深めるためのコツは、前景を「薄暗く」・中景を「暗く」・遠景を「明るく」することで、効果を高めることができます。この件も含めて、改めて上の作品を確認してください。

陰影のつけ方

 陰影の表現は、鉛筆画や鉛筆デッサンに深みを加えるために不可欠です。光の方向を確認し、光が当たる部分を明るく、影になる部分を濃く描くことで、立体感が生まれます。鉛筆の硬度を使い分けることで、滑らかなグラデーション(階調)を創り出せます。

 また、ハッチング(短い線を並べる)やクロスハッチング(縦横斜めの交差する線で面を埋める)などの技法を使って、テクスチャー(感触及び風合い)や質感を表現することも重要です。

構図の取り方

 良い構図(※)は、鉛筆画や鉛筆デッサンの魅力を大きく引き出します。一つの手段としては、三分割法を活用すると、バランスの良い構図を簡単に作成できます。

 画面を縦横に三分割し、交点に重要な要素を配置することで、視覚的に引きつけられるデッサンが完成します。

 また、視線の導線を意識し、見る人の目が自然に鉛筆画や鉛筆デッサンの中を移動するような構図を心がけましょう。

※ 構図の件につきましては、既述していますように、この記事最終部分の2記事を参照してください。

ディテール(詳細)の描写

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンでは、細部の描写が作品の完成度を高めます。樹の葉や建物の窓、石の質感など、風景の特徴的な部分を細かく描き込むことで、リアリティ(現実性)が増します。

 ただし、全てのディテールを細かく描き込むのではなく、重要な部分に重点を置き、バランスを取ることが重要です。

 実際の風景は確かに、こまごまとした形状などがたくさんあるものですが、あなたが「観てくださる人へ伝えたい一番感動した部分」には、細密描写をしましょう。

 そして、その部分を引き立てるためには、それ以外の部分には「あえて細かく描かず、何となくわかる程度に描く」ことで、あなたの強調したい部分を際立てられます。

 人間の目は、複雑な形状及び模様や柄に惹きつけられるということを覚えておきましょう。よく、見えているすべての要素を事細かに描いた作品がありますが、そのような作品は「何が言いたいのか分からない絵だ」と言われてしまいます。

 ありのままの事細かな仕事は、写真の世界で充分です。もっとわかりやすく説明するならば、実際の風景では、電柱や電線があっても、作者の意図する「一番見映えのする風景」にするために、それらのものを省略することは普通に行われているのです。

 これをデフォルメと呼び、削除・省略・拡大・縮小・つけたし等、何でもありです。つまり、あなたが観てくださる人へ感動を伝えやすいように、「あなたの都合で」いくらでも修整できるということです。

自然なテクスチャの表現

 自然の風景には、さまざまなテクスチャ(感触や風合い)があります。あなたの強調したい、樹の幹や草地、水面などの質感をリアルに表現することで、鉛筆画や鉛筆デッサンがより活き活きとしたものになります。

 鉛筆の使い方や筆圧を変えて、異なるテクスチャを表現する練習を行いましょう。特に、繊細な部分は軽いタッチで重ねて描いていくことで、自然な仕上がりになります。

定期的な練習とフィードバック

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンの技術は、継続的な練習とフィードバックによって向上します。毎日少しずつでも鉛筆画や鉛筆デッサンを行い、自身の作品を見直すことで、どの部分の改善が必要かを把握できます。

 また、他のアーティストやデッサン仲間からフィードバックを受けることで、新たな視点や技術を学ぶこともできます。

効果的な練習方法で風景デッサンの腕を上げる

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンの技術を向上させるためには、効果的な練習方法を取り入れることが重要です。ここでは、初心者の人から中級者の人までのアーティストが、風景の鉛筆画や鉛筆デッサンの腕を上げるための練習方法を紹介します。

定期的なスケッチ習慣を身につける

 毎日少しずつでもスケッチする習慣をつけることが、技術向上の鍵です。短時間でも良いので、定期的に鉛筆画や鉛筆デッサンを行うことで、手の感覚や観察力が鍛えられます。

 身近な風景を題材に、5分間のスケッチや15分間のスケッチを繰り返すことで、スピードと精度が向上します。日常の風景をスケッチすることで、観察力が磨かれ、細部まで注意を払う習慣が身につきます。

 このような短時間での描写をクロッキーと呼んでいますが、この場合には、スケッチブックではなくても、いらないA4程度の紙を使って、自由に練習しましょう。「チラシの裏」でも良いのです。

参考:森林 ドローイング 60秒 | クロッキードローイング 【絵の練習用サイト】 (croquis-drawing.com)

観察力を鍛える練習

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンでは、観察力が非常に重要です。自然の風景を描く際には、細部に注意を払うことが求められます。効果的な観察力を養うために、次のような練習方法を取り入れましょう。

ディテールに焦点を当てる

 一つの風景の中から特定の部分を選び、そのディテール(詳細)を集中的に描く練習を行います。

 例えば、樹の幹の質感や葉の形、建物の窓やドアの細部などを描くことで、風景全体の表現力が向上します。ディテールに注意を払うことで、デッサン全体のクオリティが高まります。

さまざまな角度から描く

 同じ風景を異なる角度から描くことで、視点の変化に対応する能力が鍛えられます。これは遠近法の理解を深めることにも役立ちます。

 複数の視点から描くことで、風景の全体像をより立体的に捉えることができて、描写の幅が広がります。

時間制限を設けるスケッチ

 時間を制限してスケッチを行う練習も効果的です。5分、10分、30分と異なる時間枠を設け、その中でできる限り多くの情報を描き取るようにします。

 これにより、集中力が高まり、迅速に重要な部分を捉えるスキルが養われます。時間制限を設けることで、鉛筆画や鉛筆デッサンの効率も向上します。

各種モノクロ素材での練習

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンをモノクロで描く練習を行うことで、陰影や質感の表現力が高まります。

 鉛筆並びに木炭及びボールペンやインクを使って、色の情報に頼らずに形や陰影を描き分けることで、基礎的な描写力が養われ、鉛筆画や鉛筆デッサンの基本を固めるのに非常に効果的です。

 尚、これらの素材を組み合わせて制作することも手段になりますが、この種類の中で一番弱いトーンは鉛筆なので、組み合わせる際には慎重に取り扱いましょう。

他のアーティストの作品を模写する

 上手なアーティストの作品を模写することで、技術やスタイルを学ぶことができます。

 模写を通じて、線の描き方や陰影の付け方、構図の取り方など、優れたテクニックを自身のものにすることができます。模写は、自身の鉛筆画や鉛筆デッサンに新たな視点をもたらし、技術向上につながります。

定期的なフィードバックを受ける

 自身の鉛筆画や鉛筆デッサンを他のアーティストやデッサン仲間に見せ、フィードバックを受けることも重要です。

 第三者の視点からのアドバイスや意見を取り入れることで、自身の弱点を知り、改善点を見つけることができます。定期的なフィードバックは、自身の成長を実感するための貴重な機会となります。

初心者の人でも挑戦しやすい風景デッサンのアイデア集

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンは、自然の美しさを描き出す素晴らしいアートです。初心者の人でも楽しみながら上達できる、風景の鉛筆画や鉛筆デッサンのアイデアをいくつか紹介します。

公園の風景

 公園は、風景の鉛筆画や鉛筆デッサンの絶好の場所です。樹々や花、ベンチ、小道など、描く要素が豊富です。

 初めての鉛筆画や鉛筆デッサンには、シンプルな構成で始めると良いでしょう。例えば、一本の木を中心にして、その周りの風景を描くことで、バランスの取れた作品が完成します。

 公園の風景は、自然の美しさと人工物のバランスが取れており、初心者の人でも描きやすいものです。 

街角の風景

出典:【パース入門講座】遠近感のある絵が描きたい!【透視図法】 | イラスト・マンガ描き方ナビ (clipstudio.net)

 街角の風景も初心者の人にオススメの題材です。建物や道、街灯、看板など、さまざまな要素が詰まっています。遠近法を練習するのには最適で、立体感を表現する技術が身に付きます。

 この街並みの建物を制作に取り入れる場合には、上の画像にありますような、透視図法を取り入れることで、リアリティーが増します。

 最初は、シンプルな建物や通りを選び、細部にこだわらず大まかな形を捉えることから始めると良いでしょう。街角の風景は、日常の中にある美しさを再発見するきっかけにもなります。下の作品も参考にしてください。

坂のある風景Ⅱ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治

海辺の風景

 海辺の風景は、リラックスした雰囲気を描き出すのにぴったりです。波の動きや砂浜、貝殻、ボートなど、動きのある風景を描くことで、鉛筆画や鉛筆デッサンにダイナミズムを加えることができます。

 海辺の風景は、波の表現や光の反射を学ぶ良い機会です。初めての鉛筆画や鉛筆デッサンには、穏やかな波やシンプルな砂浜の風景を選ぶと良いでしょう。

山や丘の風景

 山や丘の風景は、自然の雄大さを描くのに適しています。山の稜線や樹々の植栽、雲の動きなど、風景のスケール感を表現する練習ができます。

 遠近法を使って、山の奥行きや高さを描き分けることで、立体的な風景が完成します。初心者の人には、シンプルな丘や小さな山から描き始めると、構図を理解しやすいです。

森の風景

     国画会展 入選作品 誕生2007-Ⅱ F130 鉛筆画 中山眞治

 森の風景は、樹々や植物の多様性を描くのに最適です。光と影のコントラスト(明暗差)を利用して、森の深さや密度を表現する練習ができます。

 樹の幹や葉の質感を描き分けることで、リアルな風景を創り上げることができます。最初は、一部の樹々や森の入り口を描くことで、シンプルな構図を取り入れると良いでしょう。

川や湖の風景

     第1回個展出品作品 昼下がりの桟橋 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

 川や湖の風景は、水面の反射や波紋の表現を学ぶのに適しています。水の流れや反射を描くことで、動きのある風景を作り出すことができます。

 初心者の人には、静かな湖やゆったりと流れる川を題材にするのがオススメです。水面に映る風景を描くことで、鉛筆画や鉛筆デッサンに奥行きが生まれます。

農村の風景

 農村の風景は、田畑や古い建物、農具など、素朴で魅力的な要素が多く含まれています。シンプルな構図で、自然と人々の生活が調和した風景を描くことができます。

 初心者の人には、田畑の風景や農道、納屋などを描くことから始めると良いでしょう。農村の風景は、平和で落ち着いた雰囲気を描き出すのに最適です。棚田に映る夕景など、素敵ですよね。

風景の鉛筆画や鉛筆デッサン完成度を高める構図や構成について

 あなたが、5作品ほど楽しんで描いた後に、最初に「構図」に取り組むとした場合には、「黄金分割」を試してみましょう。その方法は、あなたの描こうとしている風景の中の「ある一本の樹」をその黄金分割の位置に据えるということです。

 あなたの制作する画面の幅に対して、1.618で割ってみてください。例えば、F10サイズで、画面を縦向きで制作するとした場合には、F10の幅は455mmなので、455÷1.618=281.12mm、つまり281mmの位置が黄金分割点です。

 この分割点は、左右どちらからでも設定できます。この位置にあなたの強調したい、「主役」や「準主役」を配置するということです。ぜんぜん難しくありませんでしょう?

 一方、F10の画面の縦のサイズは、530mmなので、縦のサイズに対する黄金分割点も同じように求めることができます。つまり、530÷1.618=327.56=327.5mmの位置が、F10の画面の縦の黄金分割点であり、上下2箇所設定できます。

 それ以外にも、制作する際には、画面縦横の2分割線と、左右の頂点から斜めの基本線を描いて、前述の黄金分割点(線)と併せて、あなたの強調したい主役及び準主役や脇役を配置することで、構図を導入した画面構成ができます。

 このように、構図を導入することは難しいことではありません。事前にいろいろな構図を研究して、簡単な構図から順番に試していくことで、あなたの実力は天井知らずに伸ばしていくことができます。

 尚、「構図や構成」及び「構想を練る」ことは、作品の完成度を高めるばかりか、あなたが各種展覧会や公募展で入選するためには必須のスキルです。

風景の鉛筆画や鉛筆デッサンでよくある質問とその解決方法

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンは魅力的なアートですが、初心者の人や経験者を問わず、さまざまな疑問や問題が生じることがあります。ここでは、風景の鉛筆画や鉛筆デッサンでよくある質問とその解決方法について解説します。

質問1 – 遠近法がうまく描けない

坂のある風景Ⅰ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治

 解決方法: 遠近法の基本を理解し、練習を重ねることが重要です。遠近法は、奥行きを表現するために必須の技法です。まず、消失点を設定し、そこに向かって線を引くことで、遠近感を出す練習をしましょう。

 建物や道路など、身近な風景で遠近法を意識しながら描くと、理解が深まります。また、実際の風景を観察し、消失点がどこにあるかを考えながらスケッチすることで、遠近法の感覚を養うことができます。

質問2 – 陰影のつけ方がわからない

      国画会展 会友賞 誕生2013-Ⅱ F130 鉛筆画 中山眞治

 解決方法: 陰影をつけることで、鉛筆画や鉛筆デッサンに立体感と深みが生まれます。光源の位置を確認し、光が当たる部分を明るく、影になる部分を濃く描き分けることが基本です。

 鉛筆の硬さを使い分け、HやHBの鉛筆で薄い陰影を、Bから4Bまでの鉛筆で濃い陰影をつけると効果的です。

 ハッチング(平行線を重ねる)やクロスハッチング(縦横斜めの交差する線を重ねる)などの技法を用いて、陰影をつける練習を行いましょう。

 尚、画面深度を高めるコツをお教えします。前掲を「薄暗く」・中景を「暗く」・遠景を「明るく」することで、画面深度が増します。改めて上の画像を参照してください。

質問3 – ディテール(詳細)をどこまで描けばいいのか

 解決方法: 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンでは、全てのディテールを細かく描く必要はありません。重要な部分や焦点となる部分にディテールを集中させ、その他の部分は簡略化することで、バランスの取れた作品になります。

 例えば、風景の中で特に目を引く樹や建物のディテールを丁寧に描き、それ以外の部分は大まかに描くことで、視線が自然と焦点に集まります。

 あなたが強調したい、「観てくださる人へ感動を伝えたい部分」を細密描写して、それ以外のところへは「何となくわかる」程度の描き込みをすることで、あなたの強調したい部分が引き立ちます。要は、「意図的に手を抜くことも必要」だということです。

 あるいは、全体を詳細に描きながらも、あなたの強調したい部分のハイライトはしっかりと入れて、それ以外の部分には、実際にはハイライトがあっても、抑えたハイライトにすることで、あなたの強調したい部分を引き立てられます。

質問4 – どうしても構図がうまく取れない

 解決方法: 良い構図を取るためには、一つの手段として、三分割法を活用することも効果的です。画面を縦横に三分割し、交点に重要な要素を配置することで、バランスの良い構図が作れます。

 構図が決まらない場合は、いくつかの異なるアングルからスケッチを試みて、自身にとって最も魅力的な視点を見つけると良いでしょう。また、写真を参考に構図を学ぶことも有効です。

 既述していますが、構図についてはこの記事最終部分に関連記事を掲載してありますので、関心のある人は参照してください。

質問5 – モチベーションが続かない

 解決方法: モチベーションを維持するためには、目標を設定し、達成感を得られるようにすることが大切です。例えば、毎週一つの風景を完成させるという目標を立てると良いでしょう。

 また、絵画教室やオンラインコミュニティに参加し、他のアーティストと交流することで、刺激を受け、モチベーションを高めることができます。自身の成長を感じることで、デッサンに対する意欲が続きます。

 尚、あなたの住んでいる場所の市や区の公募展へ出品を計画することも具体的で良いでしょう。まず最初に、その公募展の「出品規定」を取り寄せるかネットで確認して、構図や構想についてもこの記事の最終部で学習しましょう。

 そして、構図や構想をしっかりと研究したうえで、出品規定最小の大きさの作品で出品してみましょう。仮に入選できた場合には、翌年には、その公募展の出品規定最大の大きさで、出品規定最多の作品数で出品しましょう。

 そうすることで、あなたは、入選どころか「入賞」の確率が格段に跳ね上がります。そしてやがて、都道府県の公募展、全国公募展へと進んでいくことができます。楽しんで目標を追いかけていく内に、いつの間にか「プロ画家」にもなれます。

まとめ 

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンは、自然の美しさや都市の風景を自身の手で描き出す魅力的なアートです。初心者の人でも楽しみながら上達するためには、適切なツール選びと効果的な練習方法、基本的なテクニックを理解することが重要です。

 この記事では、初心者向けに風景の鉛筆画や鉛筆デッサンの基礎知識から具体的な練習方法までを詳しく解説しました。

 まず、風景の鉛筆画や鉛筆デッサンに必要な道具についてです。鉛筆は2H・H・HB・B・2B・3B・4Bの合計7本の硬さを揃え、プラスチック消しゴムと練り消しゴムを用意しましょう。

 スケッチブックは中程度の厚さと紙肌の粗さで、持ち運びしやすいサイズを選びます。画板やイーゼル、ブレンディングツールも揃えて、外でのデッサンでも快適に行えるようにしましょう。

 次に、初心者の人が知っておくべき、風景の鉛筆画や鉛筆デッサンの基本テクニックについてです。まずは正確な線描法を習得し、遠近法を使って奥行きを表現します。

 陰影をつけることで立体感を出し、良い構図を取るために一つの手段として三分割法を活用してみましょう。ディテール(詳細)の描写は重要な部分に集中させて、全体のバランスを取ることがポイントです。

 さらに、効果的な練習方法についても触れました。毎日のスケッチ習慣を身につけ、観察力を鍛えるためにディテールに焦点を当てて描くことが大切です。

 さまざまな角度から同じ風景を描き、時間制限を設けたスケッチを行うことで、スピードと精度を高められます。他のアーティストの作品を模写し、定期的にフィードバックを受けることで、技術向上にもつなげます。

 初心者の人でも、挑戦しやすい風景の鉛筆画や鉛筆デッサンのアイデアとして、公園、街角、海辺、山、森、川、農村の風景を紹介しました。これらの題材を通じて、風景の鉛筆画や鉛筆デッサンの楽しさを実感しながら技術を磨くことができます。

 最後に、風景の鉛筆画や鉛筆デッサンでよくある質問とその解決方法についても解説しました。

 遠近法や陰影のつけ方、ディテールの描き方、構図の取り方、モチベーションの維持など、さまざまな問題に対する具体的な解決策を紹介し、風景の鉛筆画や鉛筆デッサンの課題を克服するためのヒントを提供しています。

 風景の鉛筆画や鉛筆デッサンは、継続的な練習と適切なテクニックの理解によって、誰でも美しい作品を描けるようになれます。この記事を参考に、風景の鉛筆画や鉛筆デッサンの世界に挑戦し、自身だけの魅力的な風景を描き出してください。

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