どうも。私は、プロ鉛筆画家の中山眞治です。
さて、人物デッサンを始めたいけれど、どこから始めれば良いかわからない初心者の皆さんへ。この記事では、初心者が、最初に知っておくべき基本ガイド及び、描く際のコツや重要なポイントから、ステップバイステップでの練習方法までをご紹介します。
鉛筆画や鉛筆デッサンを楽しく学びながら、自身のペースでスキルを向上させていくための参考にしてください。
人物の鉛筆画や鉛筆デッサンは、難しそうに思えるかもしれませんが、基本を押さえれば誰でも描けるようになれます。このガイドを通じて、鉛筆画や鉛筆デッサンの楽しさを実感しましょう。
それでは、早速どうぞ!
1 人物の鉛筆画や鉛筆デッサンの基本と絵画教室に長く通ってはいけない理由
人物の鉛筆画や鉛筆デッサンは、絵画やイラストの基礎となる重要なスキルです。初心者の人が、人物の鉛筆画や鉛筆デッサンを学ぶためには、いくつかの基本的なポイントを押さえることが大切です。本章では、人物の鉛筆画や鉛筆デッサンの基本について解説します。
(1) 鉛筆画や鉛筆デッサン制作の際の環境造り
心地よく集中できるためには、適度な室温や湿度の空調や、あなたの落ち着ける音楽などもあるといいですね。自宅での制作の場合には、そのようにしましょう。
一方、絵画教室の場合には、音楽はありませんが、イスに腰かけてイーゼルに向かえますし、初期段階で「光と影」の重要な学習をするための「石膏モチーフ」が、各種揃っていますので、講師のアドバイスを受けながら基本をしっかりと学べます。
しかし、自宅ではあっても、あなたのやる気次第では上達も可能です。ただし、この場合には、適切な学習教材が必要です。
筆者はその昔、グラフィック社の東京武蔵野美術学院・監修「鉛筆デッサン」と、視覚デザイン研究所の「構図エッセンス」を購入して学習しました。現在も、継続して使用しています。
(2) 絵画教室に長く通ってはいけない理由
ところで、絵画教室へ通う際には問題もあります、講師から教えてもらっても、結局はその講師の持っている能力以上のものは吸収できませんし、そもそもその講師の能力がどれほどなのかもわかりません。
その講師に、教室へ通うたびに、あなたの作品に「手を入れる」ことをされているうちに、あなたはその絵画教室をやめられなくなってしまいます。つまり、モチーフを変えるたびに、講師を頼るようになってしまうからです。
そこで、通い始めて、5作品ほど絵画教室で描いて、「基本」だけ教えてもらい、その後はあなたは独学で学習しましょう。筆者もそのようにして進んできました。期間で考えるならば、せいぜい半年から一年の学習といったところでしょうか。
(3) 人物の鉛筆画や鉛筆デッサンの基本姿勢
絵画教室では、鉛筆画や鉛筆デッサンを始める前に、まずは正しい姿勢を保つことが重要です。背筋を伸ばして、足を組まずにイスに深く座ることで、長時間の制作でも疲れにくくなれますし、リラックスした状態で描くことで、集中力を高めることもできます。
また、スケッチブックや紙と鉛筆の角度にも注意して、自然な動きで線を描けるように調整しましょう。
(4) 人体のプロポーションを理解する
人物の鉛筆画や鉛筆デッサンの基本は、人体のプロポーション(比率)を理解することから始まります。人体は頭部を基準にして、体全体のバランスを取ることが求められます。
例えば、成人の平均的なプロポーション(比率)は、約7.5~8頭身とされています。この基準を覚えておくことで、全体のバランスが崩れにくくなります。
(5) 骨格と筋肉の構造を学ぶ
人物の、鉛筆画や鉛筆デッサンをよりリアルに描くためには、骨格と筋肉の構造を理解することも必要です。骨格は体の基本的な形を作り、筋肉はその上に肉付けされる形で存在します。
解剖学的な知識を持つことで、より自然でリアルな鉛筆画や鉛筆デッサンが可能になります。書籍やインターネットで解剖学の基礎を学びながら、実際の鉛筆画や鉛筆デッサンに取り入れてみましょう。
骨格の上の筋肉の付き方は、その筋肉の付き方の状態によって、一番外側の肌に凹凸ができていますので、その微妙な形状を表現するためにも、微妙な陰影を施すことによって、リアルな描写につなげられるからです。
(6) 線の種類と使い方
鉛筆画や鉛筆デッサンでは、線の使い方が非常に重要です。輪郭線、陰影をつけるためのハッチング(※1)、クロスハッチング(※2)など、さまざまな線の種類があります。
これらの線を使い分けることで、立体感や質感を表現することができます。まずはシンプルな線から練習を始め、徐々に複雑な技法に挑戦してみましょう。
※1 ハッチングとは、複数の平行線を描き込むことです。
※2 クロスハッチングとは、制作時にトーンで埋めたい部分に対して、効率的にトーンを重ねていく方法で、縦横斜めの4種類の描線によって、トーンを施していくことを指します。
尚、描きにくい方向の線があった場合には、スケッチブックや紙の向きを変えれば描きやすくなります。
(7) ラフスケッチを描く
鉛筆画や鉛筆デッサンをする際には、ラフスケッチから始めることが基本です。ラフスケッチは、モチーフ全体の配置やバランスを確認するための下描きです。
細かいディテール(詳細)にこだわらず、大まかな形や動きを捉えることに集中しましょう。この段階で配置及び大きさやバランスがしっかりしていると、後の仕上げがスムーズに進みます。
また、この最初のアプローチは、特に入念な点検をしておきましょう。その理由は、制作の途中で大きく変更することが難しくなるからです。方法としては、一旦休憩して、改めて見直してみることで修整すべき箇所が見えてきます。
(8) 観察力を養う
人物の鉛筆画や鉛筆デッサンにおいて、観察力は非常に重要です。描きたい人物をよく観察して、細部までしっかりと捉えることで、リアルなデッサンが可能になります。
観察力を養うためには、日常的にスケッチを続けることは効果的です。あなたが目にする、街ゆく人物を色々な角度から観察し、異なるポーズや表情を描いてみましょう。
ただし、何の配慮もなく、ジロジロ見ていたり、勝手に描いていると「無用なトラブル」に巻き込まれることもありますので注意が必要です。^^
(9) 継続的な練習の重要性
最後に、人物の鉛筆画や鉛筆デッサンの上達には継続的な練習が不可欠です。毎日20~30分の「完全に集中できる時間」を作り、毎回完結できる「クロッキー(速写)」でも良いでしょうし、あるいは、完成を目指して毎日コツコツと制作を進めていくのでも効果を得られます。
しかし、一週間に一日くらいは充分な時間を作って、落ち着いて人物の鉛筆画や鉛筆デッサンに取り組みましょう。
また、自身の作品を見返し、改善点を見つけ出すことも大切です。継続的な努力は、確実に結果へ繋がります。この基本を押さえて、人物の鉛筆画や鉛筆デッサンを楽しみながら練習していきましょう。
2 初心者におすすめの鉛筆画や鉛筆デッサンツールと材料
人物の鉛筆画や鉛筆デッサンを始めるためには、適切なツールと材料を揃えることが重要です。本章では、初心者でも使いやすい基本的なアイテムを紹介し、効率的に鉛筆画や鉛筆デッサンを進めるためのアドバイスを提供します。
(1) 鉛筆の選び方
鉛筆画や鉛筆デッサンの基本ツールとして、鉛筆の選び方は非常に重要です。鉛筆画や鉛筆デッサン用の鉛筆は、硬さによってH系統(ハード)からB系統(ソフト)で分類されます。
初心者の人には、同じメーカーの2H・H・HB・B・2B・3B・B4の合計7本の購入をオススメします。この、同じメーカーにこだわる理由は、メーカーによって「描き味」や「濃度」が若干異なるからです。
あなたが、5作品ほど描いてみて、「これからも鉛筆デッサンや鉛筆画を続けていきたい」と思えるようになれましたら、鉛筆の種類を少しづつ広げていきましょう。
尚、硬めの鉛筆は細かい線や細部の描写に適しており、柔らかめの鉛筆は、初期の輪郭を取る際の鉛筆画や鉛筆デッサン及び、陰影やグラデーション(階調)の表現に役立ちます。詳細は次の記事を参照してください。
関連記事:
(2) スケッチブックや紙の選び方
鉛筆画や鉛筆デッサンをするための、スケッチブックや紙も重要な要素の一つです。初心者の人は、中程度の、表面が少し粗い紙肌のスケッチブックを選ぶと良いでしょう。
このような紙肌は鉛筆の乗りが良く、修整もしやすい特徴があります。市販されているスケッチブックは、持ち運びやすく練習にも最適です。詳細については、次の関連記事も参照してください。
関連記事:
(3) 消しゴムの種類と使い方
鉛筆画や鉛筆デッサンにおいて、消しゴムは重要な役割を果たします。通常のプラスチック消しゴムに加え、練り消しゴムも揃えると良いでしょう。
練り消しゴムは柔らかく、軽くタップするだけでも鉛筆の線を薄くすることができるため、微調整やハイライトを強調する際に便利です。
尚、練り消しゴムは、「光を描く」ことや「人物や動物の毛を描く」際にも威力を発揮する優れものです。関心のある人は、次の関連記事も参照してください。
関連記事:
(4) 鉛筆削りとカッター
筆者の使っている鉛筆削りです
筆者の使っている鉛筆ホルダーです
鉛筆の先を適切に保つためには、扱いやすい鉛筆削りやカッターが必要です。特に、カッターを使うことで鉛筆の芯を長く削り出すことができて、細かい作業もしやすくなります。
削り方を工夫することで、描きやすさが大きく変わるため、適切な道具を選びましょう。少し長めに芯を削り出した場合には、横に寝かせて幅広いトーンを入れることもできます。
尚、鉛筆削りでは削れなくなった長さの鉛筆は、上の画像にありますような、「鉛筆ホルダー」に差し込んで、カッターで削れば使い切ることができます。
(5) フィキサチーフ・スプレー
完成した作品(鉛筆画や鉛筆デッサン)を保存するためには、フィキサチーフ・スプレーを使用することをオススメします。
このスプレーは、画面の鉛筆を定着できますので、鉛筆の線が擦れてしまうのを防ぎ、作品を長持ちさせる効果があります。使用する際は、通気の良い場所で適量をスプレーするように注意しましょう。
気温の低い時には、バケツや洗面器に湯を張り、温めてよく振って、画面からおよそ30cmほど離して噴霧しましょう。また、吹きかけすぎると、若干黄ばむこともありますので注意しましょう。
(6) トレース台の活用
トレース台の画像です
初心者の人が、正確なプロポーションや形を学ぶためには、トレース台(※)を活用するのも一つの方法です。
トレース台を使うことで、お手本をなぞりながら、鉛筆画や鉛筆デッサンの基礎を習得することができます。ただし、トレースばかりに頼らず、観察力を養うことも重要です。
※ トレース台とは、紙の下から光を当てることで、イラストや文字を透かすことができます。トレーサーとも呼ばれおり、絵や文字を複写したい時に大変便利です。
トレース台は、漫画家やイラストレーターが使っているイメージが強いですが、絵や文字を写す以外にもさまざまな使い方があります。上の画像を参照してください。
(7) その他の便利アイテム
クリップボードの画像です
その他にも、鉛筆画や鉛筆デッサンを効率的に進めるための便利なアイテムもあります。例えば、クリップボードは外でのスケッチに便利で、絵を固定するのに役立ちます。
また、メッシュバッグやケースを使って道具を整理すると、いつでもスムーズに作業を開始できます。
これらの道具と材料を揃えることで、初心者でも快適に人物の鉛筆画や鉛筆デッサンを始めることができます。適切な道具を使うことで、鉛筆画や鉛筆デッサンの楽しさと上達の実感を得やすくなるでしょう。
3 ステップバイステップで学ぶ人物の鉛筆画や鉛筆デッサンの描き方
人物の鉛筆画や鉛筆デッサンを学ぶためには、ステップバイステップで進めることが効果的です。本章では、初心者の人でも理解しやすい段階的な手順を紹介します。
(1) ステップ1 – 基本的な形を捉える
まず、人物の基本的な形を大まかに捉えることから始めます。円や楕円、四角形などのシンプルな形を使って、頭、胴体、手足の位置を決めます。
この段階では細かいディテール(詳細)にこだわらず、全体の姿及び位置やバランスを取ることに集中します。
(2) ステップ2 – 骨格を描く
次に、基本的な形に骨格を追加します。頭部から背骨、骨盤、腕や脚の骨の位置を描き込みます。
この骨格を基にして、人物のポーズや動きを把握することができて、骨格を理解することで、自然なポーズや動きのある人物を描くことが可能になります。
(3) ステップ3 – 筋肉の配置を考える
骨格が描けましたら、その上に筋肉の配置を考えます。大まかな筋肉の形を描き入れ、体のボリュームや質感を表現します。筋肉のつき方や動きに注意しながら、立体感を持たせることが重要です。
(4) ステップ4 – 主要な輪郭線を描く
筋肉の配置ができましたら、次に主要な輪郭線を描きます。輪郭線は、人物の外形を決める重要な線です。
この段階では、各部位の形やプロポーション(比率)をしっかり整えます。細かい部分にも注意しながら、全体のバランスを保つことがポイントです。
(5) ステップ5 – ディテールを追加する
主要な輪郭線が描けましたら、次にディテール(詳細)を追加します。顔の表情や手の指、衣服のしわなど、細部にわたる描写を行います。
ディテールを描くことで、人物の個性やリアリティ(現実性)が増します。ここでのポイントは、焦らずに、ゆったりとした気持ちで楽しんで丁寧に描き込むことです。
(6) ステップ6 – 陰影をつける
ディテールが描けましたら、次に陰影をつけていきます。光の方向を意識しながら、明るい部分と暗い部分を描き分けます。
陰影をつけることで、立体感が生まれ、人物がよりリアルに見えるようになります。ハッチングやクロスハッチングなどの技法を使い分けると良いでしょう。
(7) ステップ7 – 最後の仕上げ
最終的に、全体を見直して最後の仕上げを行います。細かい修整を加え、全体のバランスを再確認します。
必要に応じて、ハイライト部分を改めて拭き取ったり、追加もして仕上げます。完成した作品をフィキサチーフ・スプレーで定着させれば、作品を長持ちさせることができます。
これらのステップを順番に踏むことで、初心者の人でも効率的に、人物の鉛筆画や鉛筆デッサンを学ぶことができます。
各ステップを丁寧に進めることで、描写力が向上し、リアルな人物の鉛筆画や鉛筆デッサンを描けるようになれるでしょう。継続的な練習を通じて、自身のスキルを磨いていきましょう。
4 初心者が押さえておくべきの鉛筆画や鉛筆デッサンの基本テクニック
第1回個展出品作品 マリリン・モンロー 1996 F10 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画や鉛筆デッサンを始めたばかりの初心者の人にとって、基本的なテクニックを押さえることは重要です。これらのテクニックを身につけることで、鉛筆画や鉛筆デッサンの基礎をしっかりと固め、上達のスピードを速めることができます。
(1) 線のバリエーションを学ぶ
鉛筆画や鉛筆デッサンにおいて、線の使い方は非常に重要です。初心者の人はまず、さまざまな種類の線を描く練習をしましょう。
直線、曲線、ジグザグ線、点線など、線のバリエーションを試すことで、描画の幅が広がります。また、線の太さや濃淡を変えることで、描写に奥行きや立体感を持たせることもできます。
この場合に使用する紙は、スケッチブックや専用の紙を使うのではなく、不要な紙で試しましょう。「チラシの裏」などでも充分です。
(2) シェーディングの基本
シェーディング(陰影技法)は、鉛筆画や鉛筆デッサンに立体感を与えるために欠かせない技術です。光源の位置を確認し、明るい部分と暗い部分を描き分ける練習をしましょう。
ハッチング(平行線を重ねる技法)やクロスハッチング(縦横斜めの交差する線を重ねる技法)を使って、グラデーション(階調)を作り出すことができます。
シェーディングの基本を理解することで、人物の姿及び表情や質感をリアルに表現することができます。
(3) プロポーションとバランスを保つ
鉛筆画や鉛筆デッサンにおいて、プロポーション(比率)とバランスは非常に重要です。人物や物体を描く際には、各部位の比率を正確に捉えることが求められます。
例えば、顔の鉛筆画や鉛筆デッサンでは、目、鼻、口の位置関係や大きさを正確に描くことが重要です。
初心者の人は、基本的な比率を覚え、全体のバランスを取る練習を繰り返すことで、自然なデッサンが描けるようになれます。詳細は、次の関連記事を参照してください。
関連記事:
(4) 観察力を養う
鉛筆画や鉛筆デッサンの上達には、観察力を養うことが欠かせません。描きたい人物や対象をじっくりと観察し、その特徴を捉えることが重要です。
姿及び表情や質感、光の当たり方など、細部まで注意を払って観察することで、リアルな描写が可能になります。日常的にスケッチを続けることで、観察力を鍛えることができます。
(5) ジェスチャードローイング
ジェスチャードローイング(※)は、対象の動きや姿勢を素早く捉える練習方法です。短時間で多くのスケッチを描くことで、動きやリズムを感じ取り、流れるような線を引く練習になります。
これにより、デッサンにダイナミズムが加わり、活き活きとした表現が可能になります。
※ ジェスチャードローイングとは、広い意味では、クロッキーの範囲に入りますが、モデルから受けた印象を大切に表現する手法のことです。
参考:クロッキーとは?クロッキーのやり方・描き方コツを解説 – イラスト・漫画(マンガ)教室 egaco(エガコ) (smiles55.jp)
(6) パースペクティブ(遠近法)の基本
出典:【パース入門講座】遠近感のある絵が描きたい!【透視図法】 | イラスト・マンガ描き方ナビ (clipstudio.net)
遠近法は、デッサンにおいて奥行きや空間を表現するための重要な技術です。
初心者の人は、基本的な1点透視図法や2点透視図法を学び、実際の鉛筆画や鉛筆デッサンに取り入れる練習をしましょう。遠近法を理解することで、立体的な空間をリアルに描くことができます。
(7) 練習の習慣を持つ
最後に、鉛筆画や鉛筆デッサンの上達には継続的な練習が不可欠です。毎日少しずつでも鉛筆画や鉛筆デッサンを続けることで、技術は確実に向上します。自身の作品を見返し、改善点を見つけていくことも大切です。継続的な努力が、確実に結果に繋がります。
これらの基本テクニックを習得することで、初心者の人でも鉛筆画や鉛筆デッサンのスキルを着実に向上させることができます。継続的な練習を通じて、自身の鉛筆画や鉛筆デッサンスタイルを確立し、表現の幅を広げていきましょう。
尚、人物だけではなく、静物(花を含む)、動物、風景、心象風景などにも、順番に取り組んでいくことで、それぞれの描き方を工夫したり考えることで、鉛筆画や鉛筆デッサンを描くことの技術とセンスが育っていきます。
5 人物の鉛筆画や鉛筆デッサンの練習方法:実践的なアプローチ
人物の鉛筆画や鉛筆デッサンで上達するためには、実践的なアプローチが必要です。以下の具体的な練習方法を取り入れることで、効果的にスキルを向上させることができます。
(1) ライフドローイングクラスに参加する
ライフドローイングクラスは、実際のモデルを観察しながら描くことができるため、人物デッサンの練習に最適です。
モデルのポーズや動きを直接観察することで、リアルなの鉛筆画や鉛筆デッサンを描くスキルが向上します。また、他の参加者の作品も観られるので、新しい視点や技術を学ぶこともできます。
(2) 写真を使った練習
写真を参考にして、人物の鉛筆画や鉛筆デッサンを行うことも有効な練習方法です。インターネットや雑誌からポーズ写真を集め、それらを基に描いてみましょう。
写真は静止しているため、細部までじっくり観察できる利点があります。異なる角度や表情の写真を使って練習することで、多様な描写力を身につけることができます。
(3) ジェスチャードローイングを取り入れる
ジェスチャードローイング(※)は、短時間で人物の動きやポーズを捉える練習方法です。1分から5分程度の短時間で、多くのスケッチを描くことで、動きのある活き活きとした鉛筆画や鉛筆デッサンが可能になります。
これにより、スピード感とリズム感を養い、鉛筆画や鉛筆デッサン全体のダイナミズム(活力や力強さ)を高めることができます。
※ ジェスチャードローイングとは、モデルの印象を表現するドローイングのことです。
(4) 反復練習の重要性
特定のポーズや動きを繰り返し描くことで、鉛筆画や鉛筆デッサン技術を強化することができます。
同じポーズを何度も描くことで、観察力や線の描き方が向上し、自然な表現が可能になります。反復練習を通じて、苦手な部分を克服し、自信を持って描けるようにしましょう。
(5) 部分練習の取り入れ
石膏モチーフの画像です
人物全体を描く前に、手や顔、足などの部分を集中的に練習することも効果的です。部分練習を行うことで、細部の描写力が向上し、全体を描く際にバランスの取れた鉛筆画や鉛筆デッサンが可能になります。
特に顔の表情や手の動きは重要な要素であり、丁寧に練習することが求められます。
(6) 鏡を使った自己観察
鏡を使って、自分自身を観察しながら描くことも一つの方法です。鏡に映った自身の姿を観察し、ポーズや表情を描くことで、観察力と描写力を高めることができます。
自身の手や顔、体の動きをリアルタイムで観察しながら描くことで、より正確な鉛筆画や鉛筆デッサンが可能になります。
(7) 批評を活用する
鉛筆画や鉛筆デッサンの上達には、他人からの批評を受けることも重要です。友人やクラスメート、オンラインコミュニティで自身の作品を共有し、意見やアドバイスをもらいましょう。
批評を受け入れることで、自身では気づけなかった改善点に気づき、スキルを向上させることができます。
これらの実践的なアプローチを取り入れることで、人物の鉛筆画や鉛筆デッサンのスキルを効果的に向上させることができます。継続的な練習と批評を通じて、描写力を磨いていきましょう。
6 よくある質問とその解決方法
人物の鉛筆画や鉛筆デッサンを学ぶ際には、さまざまな疑問や問題に直面することがあります。本章では、初心者の人がよく抱える質問と、その解決方法について解説します。
(1) 質問1 – 鉛筆画や鉛筆デッサンを始めるために必要な道具は何ですか?
解決方法: 鉛筆画や鉛筆デッサンを始めるために必要な基本的な道具は、鉛筆、消しゴム、スケッチブックです。鉛筆は、同じメーカーの、2H・H・HB・B・2B・3B・4Bの合計7本の鉛筆を揃えると良いでしょう。
この、「同じメーカー」にこだわるのは、メーカーによって「描き味」や「濃度」が若干異なるからです。
消しゴムは練り消しゴムとプラスチック消しゴムを用意すると便利です。スケッチブックや紙は、厚手で中目の粗さの紙肌の製品を選ぶと、鉛筆の乗りが良く描きやすいです。
(2) 質問2 – 人物のプロポーションをうまく取る方法は?
解決方法: 人物のプロポーション(比率)を正確に取るためには、基本的な比率を覚えることが重要です。成人の人体は、頭部の高さを基準にして7.5~8つ分の高さがあります。
また、頭部、胴体、脚の比率をしっかりと把握し、各部位の位置を正確に描くことがポイントです。練習として、簡単なスケッチでプロポーションを確認することを繰り返しましょう。
(3) 質問3 – 鉛筆画や鉛筆デッサンの際に陰影をつけるコツは?
国画会展 入選作品 誕生2001-Ⅱ 鉛筆画 F80 中山眞治
解決方法: 陰影をつける際には、光源の位置を確認することが重要です。
光が当たる部分を明るく、影になる部分を暗く描くことで実現できますし、光の当たっている部分を強調するためには、背景に濃いトーンを配置することで、鮮烈な印象を生み出すこともできます。上の作品を改めて確認してください。
ハッチング(平行線を重ねる技法)やクロスハッチング(縦横斜めの交差する線を重ねる技法)を使って、グラデーション(階調)を表現します。影の濃淡を段階的に描くことで、立体感が生まれます。
(4) 質問4 – 鉛筆画や鉛筆デッサンが上手くなるための練習方法は?
解決方法: 鉛筆画や鉛筆デッサンが上手くなるためには、継続的な練習が欠かせません。毎日少しずつでも描く習慣をつけることが大切です。
また、ジェスチャードローイング(※)など、短時間で多くのスケッチを描く練習方法も効果的です。定期的に自身の作品を見直し、改善点を見つけることで着実に上達できます。
尚、制作を続けていくうえで、一番大切なことは、あなた自身が楽しんで鉛筆画や鉛筆デッサンを行えるということです。そのためにも、最初から複雑な姿並びに形状及び柄や模様の入っている人物や対象物を避けて、鉛筆画や鉛筆デッサンすることが大切です。
描いていく内に慣れて来ましたら、少しずつ難易度を高めていくように心がけましょう。最初から難易度が高い、人物のポーズ及び表情や対象物を描くとなると「修行のような状態」になり、挫折してしまいます。^^
※ ジェスチャードローイングとは、モデルの形を「写実的」に捉えるクロッキーに対して、モデルから受けた「印象」を大切に表現するのがジェスチャードローイングです。
(5) 質問5 – 鉛筆画や鉛筆デッサンのモチベーションを維持する方法は?
解決方法: 鉛筆画や鉛筆デッサンのモチベーションを維持するためには、目標を設定し、達成感を味わえることがポイントです。
具体的には、あなたの住まいの市や区の公募展へ出品を目指しましょう。そのためにも、まずは「出品規定」を取り寄せて確認しましょう。F10号程度ならば出品できると思いますが、場所によっては、F6号くらいから出品できるところもあります。
次の目標は、市や区の公募展で「入賞」を目指しましょう。方法は、「構図」を研究して、「構想」をしっかりと練り、出品規定最大の大きさで、出品規定最多の作品数で出品することによって、入賞の確率が極めて高まります。
この、「構図」や「構想を練る」点で、関心のある人は、この記事の最終部分に、2つの関連記事を掲載してありますので参照してください。
また、好きなテーマや興味のある対象を描くことで、楽しく続けられます。定期的に作品を第三者と共有し、フィードバック(批評)をもらうことも励みになります。
(6) 質問6 – 鉛筆画や鉛筆デッサンの際に手が疲れてしまう場合は?
解決方法: 鉛筆画や鉛筆デッサン中に手が疲れる場合は、定期的に休憩を取ることが大切です。手首や指をストレッチすることで、疲れを軽減できます。
そして、鉛筆の持ち方を見直し、リラックスした握り方にすることも効果的です。必要に応じて、手首をサポートするパッドやクッションを使用すると良いでしょう。
また、イーゼルを鉛筆の握っていない手で掴んでみたり、画面上に不要なA4程度の紙を置いて、そこに手を付くなどすると、身体全体の状態や、腕や肩に余分な負担を軽減できる場合もありますので、試してみてください。
尚、長時間描いていると、肩や首まで凝ってきますが、日常的に鉛筆画や鉛筆デッサンを続けていると、「凝りに慣れる」こともあります(筆者の場合にはそうです)。
(7) 質問7 – 自身の鉛筆画や鉛筆デッサンが第三者と比べて劣っていると感じる場合は?
解決方法: 自身の鉛筆画や鉛筆デッサンが第三者と比べて劣っていると感じる場合でも、自身の成長に集中することが重要です。第三者と比較するのではなく、過去の自身の作品と比べて上達している点を見つけましょう。
また、第三者の作品を参考にすることで、新しい技術やアイデアを学ぶことも大切です。自身のペースで練習を続けることで、確実にスキルは向上します。
これらの解決方法を参考にして、人物の鉛筆画や鉛筆デッサンの疑問や問題を解消し、楽しく継続的に鉛筆画や鉛筆デッサンを学んでいきましょう。楽しんで描き続けられることで、必ず上達します。
7 まとめ
第1回個展出品作品 人物Ⅳ 1997 F10 鉛筆画 中山眞治
人物の鉛筆画や鉛筆デッサンを始めるためには、基本的な知識と適切な練習方法が不可欠です。初心者の人でも、効率的に学べるように、以下にポイントをまとめました。
まず、基本的な道具を揃えることが重要です。鉛筆、消しゴム、スケッチブックなど、必要なアイテムを準備しましょう。鉛筆は、同じメーカーの2H~4Bまでの7本を用意し、スケッチブックや紙は適度な厚さと、紙肌は中目の粗さを選ぶと良いです。
次に、人体の基本構造や、プロポーション(比率)を理解することが大切です。頭部を基準にした体の比率や、骨格と筋肉の配置も学びましょう。これにより、自然なポーズや動きを描くことができます。
観察力を養うためには、日常的なスケッチが効果的です。ライフドローイングクラス(現実から学ぶためのスケッチ)や写真を使った練習を取り入れ、さまざまな角度や表情を描いてみましょう。
また、ジェスチャードローイング(モデルから受けた印象を大切に表現する手法)を取り入れることで、動きやリズムを捉える練習になります。
陰影をつける技術も重要です。光源を確認し、ハッチング(平行線を重ねて描く)やクロスハッチング(縦横斜めの4種類の線を重ねて描く)を使って立体感を出す練習を行いましょう。シェーディングの基本をマスターすることで、デッサンがよりリアルになります。
継続的な練習が上達の鍵です。毎日少しずつでも描く習慣を持ち、反復練習を行うことで技術は向上します。また、第三者からのフィードバック(批評)を受け入れることで、自身のデッサンの改善点に気づくことができます。
最後に、よくある質問に対する解決方法を参考にすることで、鉛筆画や鉛筆デッサンの悩みを解消しやすくなります。必要な道具の選び方やプロポーション(比率)の取り方、陰影のつけ方など、基本をしっかりと押さえて練習を続けましょう。
これらのポイントを意識して練習を続けることで、初心者の人でも着実に人物の鉛筆画や鉛筆デッサンのスキルを向上させることができます。自身のペースで楽しみながら学び、鉛筆画や鉛筆デッサンの楽しさを実感していきましょう。
「好きこそものの上手なれ」という、古い教えでは、「上達する秘訣は、まず好きになることだ」という言い伝えがあります。まさにそのとおりであり、あなたが楽しんで取り組めるようになれることが上達の近道であるとも言えます。
ではまた!あなたの未来を応援しています。
コメント